表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/75

39話 リザルトのようだ

 突然、そんな事を言ったマキナに俺は素直な感情が顔に出たのだろう。

 満足そうに頷く。

 

「いや、答えはいいよー。ただ、もう一度自己紹介しようと思って」

 

 そう言いながらも、手をペタリと俺の目に当てる。

 視界が暗くなるが、俺は大人しくそれを受けた。

 

「それで、もしも心当たりとかあったら、嬉しいかな」

 

 そう言って、呟くような声で言葉を続ける。

 

「あたしはI.O.I式特化型4号GUE-33456番AI搭載モデル人形」

 

 そこまでは、聞いたとおりだ。

 意味はわからない。変換されているはずなのに、どういう意味かが。

 

「I.O.I……Innocent(イノセント).One(ワン).Imitation(イミテーション)。純粋な一つの紛い物。GEUって意味知ってる? 詐欺師って意味なんだ」


 そんな独白のようなセリフ。

 

「あたしは色々な姿になれる。本来はね、暗殺用に作られた機械人形」

 

 そこで、重要な単語が、聞こえた。

 

 

「2050年にあたしは生まれた。……そして、ある日あたしは壊れた。はずだった。気がついたらこの世界に居た。最初はすっごい驚いたよ。なにせ、魔法なんて聞いたこともない、別世界なんて聞いたこともない、そんな世界に来ちゃってたんだから」

 

 2050年……かなり未来の話じゃないか。

 しかし、壊れた、か。

 ……それはつまり、死んだ(・・・)って事か。

 

「ねえ……君は、いつの世界から来たんだろうね。あたしは、いつか、もとのせかいにもどるのかな。またさ、人を殺すような、事をさ、するのかな」

 

 視界は暗い。

 だから、どんな顔をしているかは俺には見えない。

 

「機械に心はあるのかな。いくつも顔を変えれるあたしは、あたしなのかな」

 

 …………電気羊は夢を見るか、か。

 

「これは独り言なんだが」

 

 俺は思ったことを口にする。

 

「そんなのはな、その時考えりゃ良い。自分探しの旅は黒歴史しか生まんぞ」

 

「今真面目な話ししてるんだけど」

 

「そんなもん真面目に話す内容じゃねえってことだよ。帰りたくねえなら帰らなきゃいい。顔を変えられるなら変えなきゃいい。それだけだろうが」

 

 単純明快。

 

「そんなもの自分で決めちゃえばいい。ただそれだけだろ、人間だろうが、悪魔だろうが、吸血鬼だろうが、自分で決めた事をやってりゃそれが自分だ」

 

 ったく、思春期の少女みたいな事言いやがって。

 

「もっと優しい言葉を期待してたんだけど」

 

「独り言だからな。誰かに向けた言葉じゃねえよ」

 

「もう……ば~か」

 

 手をどける。

 そこには。

 

 

「ぶぶぅ! お、おま! このタイミングで変顔は卑怯だぞ!!」

 

「べーっだ」

 

 そう言って互いに笑い合う。

 ……今はこんなもんか。

 機械か。俺の時代にも機械はあった。

 

 だけど、人と同じ様な心を持った機械、AIは存在しなかった。

 

 けどよ、だからこそ。

 そういった心があるって自分で思うなら、あるんだろうよ。

 ただそれだけ。なんも難しいことじゃねえ。

 

 

「単純だね……」

 

「そんなもんだ」

 

 そのまま、チルが来るまで何も話さなかった。

 ……いや、真面目な話をするならな。

 せめて服着ろというツッコミをしたかったがな。

 

 



 

 

 

「良くやってくれた。感謝するである」

 

 あの後、エクレアさんが現れ瞬間移動で吸血鬼の城に戻ってきた俺は、そのままシルヴの元まで言って報告する事になった。

 そこには全員揃っている。

 ティリアス、アルマダ、エクレアさん、チル、シルヴ、そしてマキナ。

 

「幸い混乱もそれほどでもないらしい、当然、我が関与しているという事もバレてはいない。完璧な仕事だったぞ」

 

 そう褒められる。

 ぶっちゃけ言って暴れただけで高評価されても妙にくすぐったいだけなんだが。

 まあ、悪い気はしない。

 

「そういえば、結局使わなかったな、コレ」

 

 そう言って黒い手袋を外そうとする俺を手で制すシルヴ。

 

「それは報酬の一部という事で受け取っておいてほしいのである」

 

「そうか、まあ、そういう事なら貰っておくか」

 

 付け心地は良いしな。いい素材使ってるわコレ。

 

「うむ、しかし、そうそうたるメンツが揃ったものであるな」

 

 言われて思う。

 鬼、悪魔、ハーフエルフ、ヒトカタ(機械)、吸血鬼か……。

 

「エクレアさんは人間なのか?」

 

「いえ、わたしくは半吸血鬼。ダンピールと呼ばれる種族で御座いますね」

 

 ってことは純粋な人間は俺だけか。

 ……男性も俺だけってのは中々に辛いな。

 

「うむ、無事に戻ってきた事を祝わなければならんであろう。今日の夕餉は楽しみにするが良い」

 

「やったー! ボクお菓子も欲しいー」

 

「えっと、ええと……いいですかね?」

 

 両手を上げて喜ぶアルマダと興味津々だが俺に伺いを立てるようにチラチラと見るティリアス。

 正直、少し身体は楽になったがまだ万全でもない。

 ……ま、好意に甘えるかね。

 

「ああ、美味しい夕食を期待している」

 

「そうかそうか。うむうむ、では準備を始めるとするか。っとその前にユウ、少し話したいが良いであるか?」

 

「ん、わかった」

 

 恐らく報告の内容を詳しく聞きたいのと、あとなにかあるのかね。

 

「はいはーい、マキナも手伝うっすよ」

 

「仕方ないなあ、アームエッジで野菜を斬るぐらいはするよ」

 

「……いや、手から出した刃で切ってほしくは無いっすね」

 

 そんな事を言いながらチルとマキナが外に出ていく。

 ちらりとこちらをマキナが見てから。

 

「またあとでね」

 

 そう言い残して外に出ていった。

 こっちはなんだろうな。

 

「ではわたくしも準備を手伝って参ります。あの二人に任せるのは、危険ですので」

 

 一礼してエクレアさんも出ていく。

 まあ、その心配はもっともだろう。それ以上に、気を利かせたんだろうが。

 

「……?」

 

「…………?」

 

「いやお前らも出ていけよ」

 

「え、なんで?」

 

 空気でわからんのかこいつら。



 

「構わんよ。まあ、むしろ居たほうが良いのかもしれんのであるしな」

 

 椅子に座りながらシルヴは気にせず言葉を続ける。

 まあ、それでいいなら俺は構わんが。

 俺も椅子に座るか。

 

 なんで左右にお前らは座るんだ。せめえよ。

 

「さて、改めて礼を言うのである」

 

「構わないさ。物も貰っちまったしな」

 

「ふむ、その様子では懸念していた事は起きなかったようであるな」

 

「……ああ、その話か。まあ、運良くというのかね、なかったよ。人を殺すことはな」

 

 ただ、引き金は引いた。

 弾が当たらなかっただけ、というだけではあるけどな。

 

「うむ、これも経験である。が、必ず経験したほうが良いというわけではないであるからな」

 

 しかし、それは本題ではなかったらしい。

 軽く流して次の話題に移った。

 

「気になるのは、お主達が次にどうするか、ということである」

 

「次、か」

 

「元々、時の悪戯の魔導書を探してここに来たのであるな。が、今は謎を解かない限り見れんのである。であれば、お主達の目的が一旦止まった、ということになるな?」

 

「まあ、そうだな」

 

 謎も特に解ける要素もないし、目的は確かにここで止まってしまった。

 

「アルマダ、ティリアスよ。お主達には何か目的はあるか?」

 

「ボク? 特に無いよ~」

 

「私も、何かしたいという目的はありませんね」

 

 その言葉に頷く。

 ……なんか笑みを浮かべているんだが。

 嫌な予感がするな。

 

「何、目的が無いというのも寂しいであろう。本当なら訓練を続けたいが、諸事情で訓練場は今使えなくなっていてな」

 

「訓練場ってあの時のか。使えないって何かあったのか?」

 

「結界に異常が起きてしまってな。流石にそんな状況で客人に使わせるのは危険であるからして」

 

 ふうん、異常か。

 何かあったんだろうか?

 

「そこでだ、お主達……具体的にはユウだが、新王杯に出てみないであるか?」

【TIPS】

電気羊は夢を見るかは簡単に言うとアンドロイドの話である。

人とアンドロイドの違いはなんだろうか、と言う様な意味合いでユウは考えている。

なお、ユウ本人は読んだことはないので事実と合っているかは不明である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ