↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/44

演説

焦げ臭いヴァルの中心の広場。辺りでは、煙が立ちのぼり民衆は消火作業に追われていた。広場の真ん中には、演説をするにふさわしい高台が建てられており、脇には斬首台が置かれていたので、ここが処刑台だとわかったが、構わずにペディとエドガー、それにアルベルトも立っていた。アルベルトはペディを優しく抱いて、今夜はどうだい?と囁やくので、ただ前を向き、よしなにどうぞ、とだけ返した。アルベルトは、ただ露出する肩を撫で、足元に晒す指先を夢中になって見つめていただけだった。

高台の下には、遺体の箱が置かれ、周りにはアルデン兵とローゼリア兵が有象無象に立ち尽くしていた。役者も揃ったというところで、エドガー大佐が口火を切る。


この度、君たちの血の滲む努力により、このヴァル地方にローゼリア主義を芽吹かせることができた。感謝する!


すると兵士たちの耳を劈くような歓声が大きく響いた。それを遮るように、エドガーは再び話し始める。


では、諸君。このローゼリア主義の象徴たる女王陛下に挨拶をしていただく。


ペディに白羽の矢が立ったので、緊張を抑えつつ、前へ出た。


私がローゼリア王国のペディである!この度は、誠にご足労であった。清廉なる心を人々に取り戻すローゼリア主義をプラニアに広げるための第一歩となった。人々の財産を貪るギロティーニュを打ち倒し、ローゼリアの知恵を人々に授けるのである!皆よ、付いてきてくれるな?


再び、兵士どもから大きな歓声が湧いた。その堂々たる姿に太陽の光が照らし、一層赤いドレスや足の爪を輝かせた。

エドガーはアルベルトに順番を回さず、解散命令を出したので、ペディはアルベルトとともに降りていった。アルベルトは語る。


全く疲れちゃうよねぇ正装とか着てると。

誠にそうであるな。


アルベルトにエスコートされるまま馬車に乗った。このままヴァル城で、夜を明かすらしい。アルベルトの節操のなさに、ペディは呆れて外をずっと眺めていた。


なんだ、ペディも疲れたのか。今日は僕が癒してやるよ。


ペディは何も返さなかった。ただ、ふと壁の間から人影がサッと動くのに気づいたので、気になって見ていると、次の瞬間、マントで身を隠した何者かが、サッと馬車に突撃してきて、なんとペディをさらってしまったのだ。きゃあ!と叫びながら、振り返ると、アルベルトは馬車のなかで怯えながら呆気にとられているだけだった。エドガーは、不覚だった!追え!と叫び、何人もの兵士やエレナまでが、ヴァルの街中をくまなく探したが、見つかることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。