赤いドレス
窓から眩しく光が顔に差し、ペディを目覚めさせた。余韻に浸る間もなく、彼女は、真っさらな寝間着のままエレナを部屋に呼んだ。
あの赤いドレスはどこにあるのかの。
参りますか?
それはどういう意味か?
エレナはこの部屋の本棚に向かい、思い切り引き始めた。何をやっているのか?という静止も聞かず、力いっぱいどかすと、扉が現れた。この存在にはペディも知らず、呆気にとられた。
これはいったい?
さぁ中へどうぞ。
エレナに案内されるままドアへ入ろうとしたとき、腐ったような嫌な臭いがしたので、一瞬身を引いたが、恐る恐る踏み入れると、あたりは真っ暗だった。エレナが灯火を入れると、木箱が整然と並んでいて、正面の大きな十字架の元に、赤いドレスが掛けられ、その下には指先の見えるような靴が置かれていた。その仰々しさに、ペディは畏怖の念を覚えた。
エレナは語る。
以前の主様より、赤いドレスならここにあるとだけ伺っておりました。
父のことか。私には一切伝えられていなかったな。
左様でございますか。
時間もない。さっさと着替える。
赤いドレスはだいぶ部屋の匂いを吸っていたが、エレナが匂いを消すように努めたので、着心地も落ち着いてきた。
ずいぶんとお似合いでございます。
そうであるか!派手すぎないかと心配しておったのだ。では参るか。
支度部屋を出るとエドガー大佐がいた。一瞬驚いた顔をした後に、跪き頭を下げたので、以外兵士たちも彼に続いた。
女王陛下!ただいま迎えにあがりました!
急にどうたのだ。楽にしてよい。
ペディはエドガーにエスコートされ共に馬車に乗る。馬車の後ろには、処刑されたマルゲリータの遺体が箱にあり、荷台に乗せている。エドガーは普段飄々としているのに、今日だけは冷や汗をかき体を硬くしてかしこまっていた。
どうした?普段は礼儀も知らないのに、今日はやけに大人しいではないか。
と、とんでもないです。陛下にお目にかかることが何よりも幸せなのです。
私の足の爪をこうやってまざまざと見ることができるのが、そんなに嬉しいかのぉ?
滅相もありません。
今からヴァル国を正式にローゼリアの配下へ置く宣言をする。めったにないことなので緊張しているのだろうとペディは始めは思っていたが、次第に、赤いドレスに何かあるのではないか、そう推察せざるを得なかった。




