クーデター
ペディはエドガーとともに執務室にいて、アルベルトの首の入った箱を持っていた。
アルベルトを見たよ。みっともない顔をしていたな。
誠にそのとおりでございます。
エドガーにとってはアルベルトは面倒な存在でしかなかったが、ペディにとっては初めて協力した仲間だっただけに、むなしさを感じていた。
エドガー。私は今、体調がすぐれないのだ。ローゼリア城へ連れて行ってはくれないか?エレナの顔も見たい。
かしこまりました。では手配いたします。
エドガーはアルベルトの首を預かり、馬車を手配した。そして、ペディは、エドガーとともに、馬車をローゼリアへ向けて出発した。
私は正しかったのだろうか?
もちろんです。
人々に清廉な心を取り戻すどころか、混乱を生んでしまったようだ。ギロティーニュ主義のほうが良かったのかもしれない。
それは違いますよ。人々は知恵を出し合い、皆が豊かに暮らせる社会が次第に戻ってくるのです。その知恵をローゼリア主義が授けたのです。
本当にそうであるといいがな。
この赤い爪が物語っていますよ。
エドガーが感慨深く自分の足の爪を見てくるので、ペディは少し気恥ずかしくなったが、自分も爪を見てみると、すでに、歴史を繰り返している自分と過去の女王と爪を重ね合わせているような幻覚が見え、恐怖を感じた。
馬車はローゼリアまで戻ってきた。広大な小麦畑は踏み荒らされてしまっているが、ペディは、いずれもとに戻るだろう、と植物の回復力を信じ、空を見上げた。太陽の光は常に大地に注ぎ、恵みをもたらすのだ、そう感傷に浸っていると馬車が急に止まった。エドガーは急いで馬車を降りると、多くの軍勢に囲まれ、その前に立つニコラが剣を向けていた。
エドガー!ここで差し違える!
ニコラ!裏切りか!
エドガーも剣を抜き戦うが、防戦一方で、体力のあるニコラに剣を弾かれ、そのまま斬り倒された。ニコラはエドガーを踏み、剣を首に差し向ける。
なぜ貴様はここまでローゼリア主義にこだわるのだ。
それは、もう一度、綺麗な赤の女王に会いたかったのだ。あの赤い爪の女王!
老獪が!
ニコラはエドガーの首を突き刺し、血を噴き出しながら息絶えた。ニコラは、間もなく馬車に乗り込み、剣を喉に突き立て自害しようとしているペディの手を捻った。
くっ!
あなたをこのまま死なせるわけにはいかない。妊娠もされているのでしょう?
ペディは全て終わったと感じ、涙が溢れ、そのままうなだれた。そのまま馬車でローゼリア城へ向かった。




