アルベルトの反乱
ペディはこの頃身体に異変を感じ始めていた。この感覚はもしかしたら、ルシアンの子を孕んでしまったのかもしれないというものだった。政敵の子であったとしても、ペディは何とか産んであげたいと思った。それほどに、愛の感情が懐かしかったのだ。それでも仕事はあるので、執務室で忙しく書類を捌いていると、エドガー将軍がノックもせず颯爽と入ってきた。
やはり不躾な男だな。
これは失礼しました。
何用なのか?
アルベルトが反乱を始めようというのです。
なんだと!?ではすぐに軍を出せ!アルベルトやその婚約者、フェデリコは殺して構わない。
は!では失礼します!
ここに最後の戦いが始まったのだ。
エドガーは大量の軍勢をアルデン国とヴァル国へ派遣した。主に、過去にヴァル国を制圧した集団で構成されている。すでに山の地形の戦いに慣れた兵士たちはヴァル国を討伐するなど簡単なことであった。南から来るアルデン軍を大量の軍勢で牽制しつつ、四方からヴァル城を攻め、抑えきれなくなったフェデリコは自害した。
一方で、アルデン城まで攻め込んだニコラは、小さい城の部屋中をくまなく探したが、アルベルトの姿は見えなかった。そこで、森の奥まで入っていくと、残存兵たちが、次々に襲ってくるので、斬り倒した。おそらくこの奥にいるに違いない。そう考え、藪の中をどんどんと進んでいくと、崖から石が転がってきたのでとっさに避けた。ニコラはこの奥にいそうだぞと、どんどん兵士を送り込んだ。泥沼の戦いであった。石に踏みつぶされた兵士たちをよそに、どんどんと山の上へ攻め込み、藪の奥まで逃げ込んだ敵兵までも容赦なく斬った。山を登り進めると、一つの小屋が見えたが、その外には、すでに、アルベルトと、婚約者のギロティーニュの領主の娘が兵士に縛られていた。アルベルトは、ペディの命令だろ?だったら助けてくれよ、と命乞いをする。女は、助けてと叫ぶだけだった。ニコラは近づくと黙って2つの首を刎ねて一瞬で場は静まった。身体は血を噴き出しながら倒れ、首は転がり涙と泥で汚れた情けない顔を浮かべていた。
いいのですか?ニコラ隊長。
殺害命令は出ている。
身体と女の首は放置して、アルベルトの首だけ持ち帰った。ただ、ニコラには、アルベルトに本当に反乱の意思があったのか、実際に反乱行動を起こそうとしていたのかは知る由もなかった。それが、ペディに対してどんどんと疑心暗鬼を強めていくことになる。




