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ペディは、エレナ、ニコラと共に南へ馬を走らせた。


ニコラも馬に乗れるのだな。

軍人ですから!


ローゼリア城下の森を抜けると、広大な小麦畑に清々しく空が青く広がっていた。風を切り、颯爽と走り抜ける。その先の石造りの街をまばらに歩く人々を避けながら、軽快に蹄を鳴らす。そして、ギロチン台の広場を通り抜け、街を駆け抜ける。その先の畑の道を走り抜けると、遠くの方に鬱蒼と森が生い茂っているのが見えた。


あの森の奥にお父様のお屋敷がある!


森の中へゆくと、動物たちが茂みの中へ逃げていくのも構わず、木漏れ日の中を駆け抜ける。しばらくして、馬を止める。


この細い道の奥だ。


馬を降り、しばし歩いていくと、小さい屋敷が見えた。辺りを見回すと、きれいに草を刈られたところで椅子に座り荒れた湖の前で茶を飲んでいる痩せてヒゲを生やした壮年の男がいた。


お父様!


ペディの声に、男は驚いた様子で振り返り、急いで茶をテーブルに置き、こちらへやってきた。この男こそ、ペディの父であり、前の国王陛下であるシャルルである。エレナとニコラは膝をつく。


ペディ、急にどうしたと言うんだ。

話をしなければならないことがあって参りました。

とりあえず中へいらっしゃい。


ペディはシャルルにエスコートされ、屋敷のなかに入った。ペディは、待っててというジェスチャーをエレナとニコラにしたので、外で待った。

ペディはソファへ案内され、シャルルと共に座った。古時計などが置いてある穏やかな部屋だった。壮年の侍女がいて、紅茶をいただいた。


国がこれから戦いに向かいつつあるので、あいさつに参りました。

やはりそうなったか。

エドガー大佐のことでしょうか?

そうだ。私はこうして王の座を追われたが、さらに心配なのは、ペディが女王になったことなのだ。

どういう意味でしょうか?

私は、前の女王のことは頑なに語らず、無き者にしていた。だがもう隠す必要はなさそうだな。

一体どういう方だったのでしょう?

彼女は、プラニア一帯を支配する女王にまで上り詰めたが、人々に清廉な心を取り戻すローゼリア主義の元、人を次々に処刑していき、森に暮らす人々を虐殺し、最終的に革命が起きてしまったのだ。

え?

その後女王と親族が捕らえられ、ギロチンで処刑されてしまったのだ。

!?

もしかしたら、すでに赤いドレスは着ているだろう。あれは過去の戒めのために用意された、女王共々の首と体を安置するための部屋だったのだ。

あのドレスにそんな意味が。

そして、親族のなかで私だけが生き残らされ、軍の傀儡として、王座に座った。ローゼリアは次第に解体されていったが、何とか国をここまで維持してきたんだ。ただ、エドガーが大佐になってからあの有様だろう?もともとヴァル国とは、それなりに仲が良かったんだ。

私は間違っているんでしょうか?

靴を脱いでみろ。


ペディは靴を脱ぎ、足を晒した。


この赤い爪。エドガーが命じて塗らせたものなんだ。あの時の女王様にそっくりだ。


この赤い爪にまつわる様々な出来事が今理解できた。


どうしても戦うというのなら止めはしないが、やりすぎるとペディも首が落ちることになる。頭だけのペディなど見たくないからな。


ペディは唾をゴクリとのみ、父の手を握った。自分の身体が存在することを確認したかったのだ。そして、ペディは立った。


お父様、それでも戦います。では、失礼します。


帰り際に振り返ると父は寂しそうな顔をしていた。私はギロティーニュを打ち倒して、プラニア全体の人々が清廉なる心を取り戻し、ちゃんと首が繋がったまま、また父に会おうと決意した。

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