侍女エレナ
光が静かに射す獣が走るような道を颯爽と走る。木々の間へ日が落ち、影を落とし始めた。
足が蒸れて来たわ。
もう少しの辛抱でございます・・・。
すっかり日も落ち宵闇の中、光が灯っているのが見えた。アルデン国の門だ。光を頼りに、一目散に向かうと、馬が急に倒れ、我々は藪の中へ放り出された。
ペディ様!お怪我は!
擦り傷程度だ。
まもなく、小汚い布身に纏うだけの屈強な男女数名が取り囲んだ。
あんたら女2人が森を通るなんていい度胸じゃないか。
くっ!下劣な。
ペディは、一人の男に捕まり手を後ろに縛られた。
さ、銀髪のお嬢ちゃんも。
ペディは別の男に靴を片足の靴を脱がされ始めると、真っ赤なペディキュアをハッキリ見て、この赤い爪は!と声を出すと、エレナは、見てはならぬ!と男を振り払い、後ろ足で蹴り上げると、連中が怯んでいる間に、ペディを連れて森の奥へ引っ張って逃げた。ペディの片足は脱げて足を晒していたが気にしなかった。アルデン国の光がほど近い場所に広い場所を見つけたので、エレナとペディは一息入れた。
私の不手際でございます・・・
よい。それにしても足もだいぶ汚れてしまったな。
お怪我はないでしょうか?
カバンにしまってあった布を手に取ると、ペディはエレナに片足を委ねた。真っ赤で美しい爪の先の泥を自身の唾で濡らした布の先で丁寧に拭き、汚れた小さくて可愛らしい足裏のアーチを優しくこすり回った。
くすぐったいぞ。
この赤い爪はローゼリア主義の象徴なのでございます。簡単に汚すわけにはいきません。
月明かりで青く透き通った目を反射させるエレナは靴を脱ぎ、ペディのもう片方の靴を脱がせ、自身の靴を履かせた。
裸足でよいのか?
奴隷出身でしたので、構いません。
不憫だったな。
アルデンはもうすぐです。参りましょう。
エレナは小さくも屈曲に見える足で大地を踏みしめ、ペディとともに、光の灯る丘へ目指した。




