帰還
すでに背中で寝ているペディを抱き、兵の集まるところに戻った。
皆、ペディは連れて帰った。今から帰還する。くれぐれも蛮族の強襲には注意しろよ!
兵士たちは喜ぶ間もなく、撤収命令に従い、各地に散らばった兵を呼び戻した。すでに、日も沈みかけていたので、なるべく獣を寄せ付けないように鈴を鳴らしながらローゼリア城へ戻る。蛮族側も、捕虜の交換のことはすでに伝わっているので、襲われることはなかった。
ただいまニコラ大尉、女王陛下を連れ帰還しました。
よくやったぞ大尉!
王室でエドガーが出迎えた。エレナはすぐさまペディ様!と叫び、彼女を抱きかかえ、医務室へ連れて行った。ニコラは、ホッとしたのもつかの間、エドガーに呼びかけられた。
ニコラよ。すでに決定したことなのだが、君を少佐に任命する。ついては、陛下の親衛隊を任されたい。
は!ご期待に添えられるように努めてまいります。
突然のことでニコラは驚いたが、軍の命令は絶対なので、その場では紋切り型で返した。しかし、内心は本当に務まるのか不安で仕方なかった。その様子を見かねたエドガーがニコラを激励する。
国が拡大する中で、私もやらねばならないことが増えたのだ。頼むよ少佐殿。今日は休み給え。
ありがとうございます!では、失礼します。
ニコラは緊張した様子で部屋を立ち去っていった。一方ペディは傷の治療を受けていた。すでに目覚めており、受け答えもできた。エレナはその様子に緊張の糸が切れて、涙をこぼした。
エレナよ。どうして泣く。
申し訳ありません。私は、ペディ様がおらず、不安で不安で仕方なかったのです。
私もよい侍女を持ったものだ。
エルヴァ村で見たエレナの温もり、カイルという青年の優しさ。まだ名前を知らない兵の背中の大きさ。そして目の前のエレナの涙。すべてがペディに生きる希望をくれた。ペディは足の指をぎゅっと閉じた。




