蛮族
捕虜の私を解放するのか?
解放するとは言ってないよ!ほらこっちに来な!
老婆はドアの方に誰かを呼びかけると、一人の青年が入ってきた。青年は茶髪で短く、顔立ちは幼く、目には純粋さを感じられた。青年は怪訝な目で、顔を近づけられじっと見つめられた。すると、老婆に叩かれた。
こらぁ!失礼だろうが!この嬢ちゃんは一国の主なんだよ!
ごめんなさい。マリアばあちゃん。
カイル!案内してやんな!
この青年はムスッとした顔で、こちらに来いと言わんばかりに振り返っていったので、ペディもついていこうとした。
靴は、これを履けばいいのかしら?
勝手に履いていきな!
木の皮でできたサンダルのようなものが足元にあったので履いていった。足の爪は見えたままだ。カイルは何も言わずドアを出たので、ペディも慌ててついて行った。
そこは蛮族が暮らす土臭い森の中だった。子供が裸足ではしゃぎまわり、木でできた簡素な吹き抜けの家の前で、女が布一枚で動物の肉を洗ったり、男が森の中か山菜を取りに帰るなど、彼らの暮らしを初めて見たので、ペディには新鮮に思えた。
あなた、カイルっていうのね?
そうだが?
私をどこへ連れて行こうってのかしら?
黙ってついてこいよ!
彼は黙々と進むので、ただ彼に従って行った。しばらく歩くと、これまで見てきたような建物のなかに案内されると、長いテーブルに男たちが何人か簡素な椅子に座り、全員がじっとこちらを覗いていた。なんで捕虜を連れてくるんだ?とか、通過儀礼は済ませたのか?と口々に語っていたが、カイルは静かにしてくれ!といい、一番奥の椅子に案内され、カイルと隣り合わせに座った。カイルは口火を切った。
えーまず、この女が誰だかは分かると思うが、ローゼリア王国の女王ペディという。
ペディはこの青年に一度も名乗らなかったので驚いた。彼が何者なのか、興味が湧いた。
あなた、いったい?
黙って!
ペディは、言葉を遮られたので、姿勢を正した。カイルは続けて言う。
まず、過去にローゼリアが我々に行った様々な残虐。みんなは分かっていると思う。でも、僕は奴らと同盟を結びたい。
この場にいた全員が驚いた表情を浮かべたが、一人の男が、この若造が昔のことなど分かってたまるか!と叫ぶと、次々に、俺の親もみんな殺されたんだなど、騒ぎ立てたので、カイルは黙ってくれと!と一喝したので場が静まった。ペディは困惑を隠せないでいる。再び、カイルは語る。
僕だって、家族をみんなローゼリアに殺された。でも今のローゼリアは違うと信じている。たとえペディの爪が赤く染まっていたとしてもだ。でも今のままだとギロティーニュに森をすべて焼かれてしまうんだよ!だから今はローゼリアが必要なんだ!
その迫真にせまる訴えにペディはカイルが本気であることを悟った。
僕についてくる意志がある者のみで組織を編成したいと思う。みんなしっかりと考えてほしい。
そう締めくくると、ペディをまた外へ連れ出した。
あなた。いったい何者なの?
馬は乗れるかい?
ペディの質問には答えず、2頭の馬を引き連れてきた。彼は馬にまたがったので、彼女も続き、共に走った。




