第47話
修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。
「それで、詳しい話を……聞かせてくれるの?」
体調が悪いせいで自制が緩んでいるのか、ついついお口が悪くなってしまいそうになる。周りにはほとんど自分より年下の子ばかりなのだから、あまりよくない大人の姿を見せるわけにはいかない。自分が良い大人とも思ってはいないけど、努力を止めたらそれこそ悪い大人になってしまう。
ある意味のかっこつけだな。
「それはリーダーのレクスから」
ちゃんと紹介された。ツンツン赤髪少年の名前はレクスと言うらしい。
「え? えっと……何を言えばいいんだ?」
「馬鹿じゃないの?」
「残念です」
「えぇ……」
可哀そうに、今の艦橋には俺以外に男はレクス君しかいない。女性ばかりの環境で男は弱い立場になるのが定番である。経験則でしかないけど、そんなに間違ってないと思う。
それにしても直球で馬鹿とか言われたら普通に傷つくと思うので、釣り目がちな少女はもう少し手心を加えてはどうだろうか? その隣でジト目をレクス君に向けてるおさげの少女も、そんな心底残念そうな表情を浮かべたらほら、彼しおしおになってるよ? 大丈夫かこの子たち。
「あたしら別にあんたらを奴隷として買ったんじゃないんだよ」
あ、結局説明するのは彼じゃないのね。しかし奴隷として買ってないと言うが、世間はそうは見ないと思うんだよね赤紫の髪の子。
「そ、そうそう! 依頼があって三人を探してたんだ。そしたら偶然安く一纏めにされてたから正規の方法で購入したんだよ!」
なるほど……。
「海賊から買うのが正規とは如何に?」
「突っ込んじゃだめよナンシュさん」
頑張って説明してるんだから、俺だって思わず突っ込みそうになったのを我慢したのに。
「これは失礼しました」
「ぐぐっ……」
そんなお澄まし顔で言われても、ほらレクス君の顔赤くなって来てるから。
でもまぁ、事実として海賊との取引は基本的に違法である。通販で相手が海賊と知らずに購入するケースはまぁ別として、取引相手が海賊だと知ってて購入した場合は普通に捕まるし、購入品も没収。特に今回は奴隷なので、特別な理由がないと切り抜けるのはかなり難しい。
しかし、依頼で三人を探していたというのが少し気になる……というか変だ。
「三人、ヨーマはいらないから酷いことしたのね」
なるほど?確かにそうとも言える。鋭いねメテシュお嬢様、なのでわたくしめの肩をそんなに強く握らないで、潰れるから。
「最低やな」
「ち、違う! 大体何も酷い事なんてしてないだろう!」
え? あれが酷いことにあたらないと? ちょっとマザーさん、どういう教育してらっしゃるんですか? ……目を逸らさないでください。
「ヨーマ、何もされて無いのか?」
ロナさんが上から覗き込んでくる。身長が高いからか、床収納式で少し他より背の低い補助椅子に座る俺の顔を覗き込むのも大変そうだ。少し椅子に沈み込もう、こうすれば少しロナの顔も見やすいし、ロナも楽になるだろう。
いや、覗き込まなくてもいいんだけどね。それより、なにもされて無いか? んー? ある意味でそうなのかもしれない。
「確かに何もされてないと言えばそうかもしれないけど、全裸にされて寒くて明るく、何もない……水も食べ物もトイレもない独房にまる一日以上放置するのは、どうなんだろう?」
「最低、変態」
ですよね。特に全裸ってところがね。これがまだシールドスーツ有りなら普通に……いや、やっぱ水も食べ物もなく放置は普通じゃないな。
あと、私の代わりに怒ってくれるのはうれしいんですけど、メテシュお嬢様? 肩に指、というか爪が食い込んでいるので力を抜いてほしい。防御系の刻印術が反応してますから、魔素が防御魔法式に吸われるんです。勘弁してください。
「そんなんじゃねぇし! 危険な奴は武装解除して隔離しておくものだってマザーも言ってたんだ!」
あ、やっぱりあなたの教育……頭抱えてらっしゃる。そりゃそうでしょうね、宇宙船内に裸で放置とか、拷問と言われてもおかしく無い行為ですし? 一応国際的な取り決めでも宇宙船内では与圧服に準ずる服の提供は義務ですしね? 海賊でも割と守る人多いと思う。裸にする害の方が大きいから。
「まぁ確かにそんなことを言われた気がするけど、あんた……」
「普通全裸で放置とかしないでしょ」
ですよね。良かった、この船全体で裸族推奨とかだったらどうしようかと思った。
「でも! どう考えてもあの服は危険だろ……てかなんでその服着てるんだよ! 脱げ!」
という事は、やはりこの少年の癖? なんと業の深い……。
そしてマザーさんが頭を抱える手が両手になった。
「やっぱり変態」
「どう見ても敵対的だな」
まぁ裸にする拷問とか普通にあるからね。宇宙なんて一枚壁の向こうは真空の世界、いくら強靭な肉体を得た人類とはいえ、流石に身一つで宇宙線の飛び交う外に出されたらたまったものではない。その精神的な負荷は想像以上ではないだろうか。
「違う! 三人は救出依頼があったから、だから男はやばい奴だと思って」
なんでだよ。
「なんでそうなるんや」
ほんとだよ。これでも人畜無害と言われてたタイプなのに……いやでも、悪い人間に見られるくらいワイルドになれたってこと? それはそれで、いやでもそれは上姉が泣きそうだな。あの人イケメン王子様キャラなのに泣くと駄々っ子になるから面倒なんだよなぁ。
「話が進まないよマザー」
お、ずっと眠たそうにこっちを見てた女の子が口を開いた。その声は、疲れか呆れか、すごく怠そう。俺も熱の所為で怠いので、簡潔にしてもらえると助かります。濃い緑の髪を掻きながらこっちに目を向ける女の子、目が合うけど何を考えているかはよくわからない。
「仕方ないですね……。先ず、メテシュ・メフデットさん、ネフヘケプ・ムアガさん、ファカローナ・ウリラさん三名の捜索及び救出依頼が傭兵ギルドにて発行、それを我々が受領しました。我々は主に傭兵ギルドなどから依頼を受けて報酬を得る賞金稼ぎと言うものになります」
「……アウトローか」
なるほど理解。ようやっと彼らがどういう人間か分かって来た。
「違う」
違うらしい。
「違いませんね。一般にアウトローと呼ばれるでしょう。ヨーマさんに対しても敵意があったわけではなく、不幸な行き違いの一種だと思ってもらえると幸いです」
不幸な行き違い了解? だいぶ不幸な目に遭って来たから、不幸耐性は付いているつもりだ。つもりであって耐性が本当についてるかは別だけど、まぁ生きてるからまだ何とかなる。
それにしても今の説明には違和感しかない。それはマザーさんも分かっていそうだけど、わかって指摘しないのは教育のためでしょうか? それとも割と甘く考えているのか、その辺はまだ何とも言えないな。
「ごめんなさい、私達もまさかそんなことになってるなんて知らなくて」
勝気な子がしょんぼりすると、ものすごく気落ちしてるように見えるよね。俺に目を向けて俯きがちになっている所為で、明るい茶髪が顔にかかってるところが余計にそう感じさせるのかもしれない。
「すまないね、あたしもついさっき知ったところなんだ」
こちらは頭を掻き上げながら眉を寄せている。何というか姐さんとか将来呼ばれそうな印象がある。軍学校にもこんな教官が居ましたが、誕生日になると毎年女の子から沢山プレゼントをもらっていた記憶がある。
羨ましい限りだ。……おっと、いかんいかん熱の所為か思考が明後日の方向に行ってしまう。
「そうか、まぁ殺し合いにならなくて良かったよ。最悪隠れて艦載機で脱出まで考えてたから」
最悪それで艦橋にしがみついてロックして脅して、そんなワイルドな事にならなくて本当によかった。その場合の生存確率なんて高が知れてるだろうからな。
「ヨーマ、置いて行く気だったの?」
あ……。
「あー……そこまで余裕がなかったから考えても居なかっぐえ、苦しい」
やめて!? 後ろから首を絞めないで!? 貴女、普通にしがみついてるつもりでしょうけど、普通に良い場所に骨ばった手首が入ってるから!? そのままちょっと力籠めたら落ちますが!? ナンシュさん引っ張って! もっと力いっぱいメテシュお嬢様の腕を引っ張って! さては貴女思ったより非力ですねナンシュさん。
「メシュ、やめないか。ヨーマは熱を出していたんだ、真面な思考が働くとは思えない」
そう、そういうこと! わかります? あ、わかってくれたみたい。でも何で今度は頭を撫で始めるんですか? やめてください気持ちよくて寝てしまいます。まだ寝るわけにはいかないんですよ、ちゃんともろもろ確認しておかないといけないことが、
「軟弱すぎだろ」
「はあ?」
寒!? 一瞬で気温下がりましたが? やめて温めたり冷ましたり、体が壊れちゃう。
「やはり敵意が無いとは思えないな」
てか、三人とも体内魔素の放出で空間歪めるのやめてもらえます? え!? 俺のお友達強すぎっ!! てやつなんですよ。
あ、俺が弱すぎるだけでした。いや、そんなことは、ないと思いたい。てか、さっきまで少しは良くなってた、良くなってた? 空気がぎっすぎすなんですけど、レクス君さては空気読めない系ですね? 頼むからもうちょっと読んで、主に俺の命のために……。
いかがでしたでしょうか?
不必要な冷却と加温の連続は体に悪いので、お風呂やサウナなどの整った環境以外ではやめましょう。作者は気温差35℃以上の部屋の往復で体調を壊したこともあります。温度差反復、そして自律神経は死ぬ。
目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー




