第46話
修正等完了しましたので投稿します。楽しんでいってね。
「くそ! なんで格納庫になんて居るんだ!」
「艦載機で逃げ出す気なんだろ!」
何を話をしているか分かる場所まで来たようで、よくお話が聞こえて来る。女の子と男の子一人ずつと言ったところだろうか? それにしては足音の数が多い。
しかし音の位置的に入ってくるのは目の前の扉、扉はあるけど重力下でしか使わない扉を使うとか、案外お行儀がいいのかもしれない。軍に居た頃はその扉つかったこと無いんだよね? なんせ格納庫との間には手摺りしかないし、上を見上げてみれば壁は途中で無くなっていて柱しか天井まで伸びていない。
改めてみる不思議な構造である。重力下でのこと考えてなかったんだろうな。
「あんな格好で格納庫まで歩いて行くとか変態だろ!」
「そうさせたのは誰だ!」
本当にそうである。たぶんこの声は最後に見た男の子の声であろう。インテロに命じて俺をすっぽんぽんに引ん剝いて独房に放り込んだ鬼畜外道である。これが優しくて可愛い女の子なら手心も考えようものだが、野郎なら知らん。軍のやんちゃと同じ扱いで良いだろう。
そのぐらいは許されるような扱いを受けたと思う。大人げないと笑いたければ笑えば良い、だが大人がすっぽんぽんに引ん剝かれて独房に放置されたのだ。尊厳の分は怒りをぶつけても許されると思う。
というか俺が率先して不満を言わないと、ナンシュさんが暴走しそうで怖い。
「…………」
「反応そのまま、動いてません」
追加で一名、これは通信機からの音声のようだ。完全にこちらの位置を把握されているわけだけど、ずいぶん把握に時間がかかったものだ。最悪ここまでくる間に捕まると思っていたのだが、なんでだろう。
「突撃! おら変態野郎! そこまでだ!」
「随分な言われようだな」
ひどくない? 百歩譲って俺が変態なら俺を全裸にしたお前はどれだけ変態なんだよ。若いうちからそんな性的趣向に目覚めていたら大変だぞ? もう少し一般的な性癖からスタートした方が良い。肌の色とか耳とか尻尾とか、そういう一般的なルートを通るのは大事だと、知り合いが言っていた。
良くわかんなかったけど、力説してたからきっと大事なことなんだろう。
「殺していいですかアレ」
駄目です。
「やれるもんならやってみろ! その前に俺が「レクスさん?」げぇ!?」
「うわ!?」
こわ、俺と話していた時よりずいぶん低い声で話し出すからびっくりしたじゃないか、ほら目の前の赤紫の髪の子なんて化物見たような顔だぞ? 男の子? そっちは何か天敵に見つかった感じだな。
あとナンシュさんが妙に楽しそうに笑っているな。何故かはわからないけど、艦船ISさんと視線をチラチラ合わせてアイコンタクトを取っている。
「ま、マザー!? なんでここに」
マザー……お母さんですか、確かに雰囲気は合っている気もしなくもない。そんな雰囲気が彼女にはある。家のナンシュさんとは大違いですね。なんで睨んで来るんですか? 乙女の勘? 知らない概念ですね。
「貴方がここに来てすることは、先ず謝罪では無いのですか?」
そうしてもらえると、家のナンシュさんも落ち着くと思うのでよろしく。
「い、いや! そいつが勝手に逃げるのが悪いんだから、それにマザー知ってたならすぐ教えてよ!」
わお! すごい理論だな、てかマザーさんがここを教えたんじゃないの? 俺のこと秘密にしてた? なんで? ちょっと俺にもわかるように説明ください。じゃないと家のナンシュさんが黙ってないぜ、マジで今にも飛び掛かりそうなんで早めの説明大事ですよ。
「今回はすべて自分が指示を出して依頼を達成するからと、私の補助を拒否したのはレクスさんですよ? それに度々私は提言を申し上げましたが?」
「うっ……い、忙しくてつい忘れて……」
忘れんでもろて? というか人間より優秀なISの補助を拒否するとか、ずいぶん自信家なのか、それともストイックなのか。いやまぁさっきの発言を聞く限りストイックとは程遠いか? 他責よくない、よくないよ。
「忙しい? おかしいですね、私にはそれほど忙しそうには見えなかったのですが? ナンパをする余裕……なるほど、貴方にとってナンパは優先項目なのですね?」
「なんぱだぁ?」
ナンパ? 隣の子は凄い顔してるし……もしかしてメテシュお嬢様たちにナンパしたのかな? 奴隷として買ったのに? それともこの船にはたくさん女性が乗っているのか、そっちの可能性の方が高いか、奴隷なんて命令したらいいんだし。大丈夫かな三人とも……。
「ほう、面白い思考形態です。マスターの命よりナンパが優先されるとは、やはりアレは殺すべきでは?」
「しょうがないよ。おとこのこだから」
男の子にはどうしても譲れない時があるんだよナンシュさん。
「う、うるさい! 大体なんで素っ裸にしたのに服着てるんだ!」
「へんたいだぁ」
ひどい、せっかくフォローしたというのに、服を着る事すら許されないのか。やっぱりこの少年の性癖は捻じれ狂ってるんじゃないだろうか? 買った男奴隷を裸にしておかないと気がすまないなんて、同期の変態たちも引くレベルだろ。あいつら基本はノーマルだし、遠回しなのも好きじゃなさそうだったしなぁ? 懐かしいね。
……は!? 何か来る! 危険な予感がする。
「ヨーマ!」
「お? めてぶ!?」
痛いですお嬢様、顔に壁がぶつかってゴリゴリして痛いので頭を抱きしめないで、あぁ力が強い!? 引きはがせない! 呼吸は出来るけど痛い。なんだかすごく悲しくなってきたんですが、なんでだと思います? ナンシュさ―――すごいかおぉ。
「ヨーマ! 大丈夫? 熱があるわ、熱いわヨーマ」
「あぁ酷い目に合って風邪ひいたんだ……メシュは冷たいな」
メテシュお嬢様のおてては冷たいですね、やっぱり体質的に体温が低いのでしょうか? そんなあちこちペタペタ触られたらちょっと気持ちよくなってしまう。むかし、小さかった頃に風邪を引いておでこに張って貰った冷却シートを思い出す。
でもちょっと触り過ぎですメテシュさん、おっさんの顔をそんなに触るとばっちいから止めなされ。てか落ち着いてください顔も近いです。膝の上で揺れないで、支える元気ないから。
「よーまぁ」
あぁ泣き出しちゃったよ、はいはいヨーマですよ。なんていうか基本幼いんだよな、この子。
「ヨーマはん、心配したでぇ」
それに比べてこの落ち着き様ですよ、流石大人の女性だね。見た目は全然大人に見えないのに、見えないこともない気がしないでもないけど、メシュと並んだら……無理だな。いいとこ後期、高等部一年目くらいじゃないかな。
心配と言う言葉は事実なのだろう、大きな目がいつもより潤んでいる気がする。明るい場所で顔を見るのは初めてだから、気のせいかもしれないけど、こうやって見ると実に鮮やかな青肌である。
せっかく心配してきてくれたのだから、あまり心配をかける必要もないだろう。
「無事、とは言えないな……詳しく話は、聞かせてもらえるんだろうな」
どうやら俺が思っていたような状況とは全く違うようだ。さっきから俺のシールドスーツを濡らしてるお嬢様も目の前のケフも真面な、というかちょっと可愛い系の服を着せてもらっているし、視界の向こうからゆっくり歩いて来ているロナも似たような与圧服姿だ。
深めのフード姿ではなくなったロナの美しいこと、赤紫の長い髪の女の子も可愛いけど、何というか芸術品と例えるにふさわしい姿だ。歩く姿もなんかすごい。俺なんかと違って姿勢がとても良い。
「い、いや……それは」
そんなロナの手前でうろたえている少年、目が回遊魚の様にうろうろしてるが、あの真っ赤なツンツン頭はどういう構造なんだろうか? 硬いのか、固めてるのか、おろおろして頭を振っても揺れる様子もない。触ったら刺さりそうである。
「この期に及んでかっこつけはやめなよ……艦橋に行こう。あっちの方がここより空気が良い。病人にここの空気はあまり良くないからね」
それに比べて赤紫の髪の子は気が利くじゃないか、おじさんとても助かります。好感度ポイント1点あげちゃうね。少年と同じくらいの歳だと思うけど、ずいぶん落ち着いた様子がある。女の子ってそういうとこあるよね? 男の子より先に大人になるというか、まぁ男は永遠に少年の心を忘れないらしいから当然か。
「そうですね。ヨーマさんもよろしいですか?」
是非ともそうしていただきたい。重力が軽いから抱えててもどうということがはないけど、いい加減離れてもらわないとビチョビチョになってしまう。沁み込みはしないけど、ちょっときちゃない。
乙女の涙はご褒美? 私は鼻水までご褒美だと思う特殊性癖は持ちあわせていません。あと裸で放置プレイなんて高度な癖も持ち合わせていないので、詳しくその辺の話も聞きたい。
「あぁ、いろいろ聞きたい事があるからね? 素っ裸で独房に放置プレイされた件とか」
「は?」
「あ、いやその、それは違くて」
おや? 空気が急に冷えた気がする。
メシュさん何か空気とか輪郭とか揺らいでません? 目がガンギマリになってらしてよ? ロナさ、貴女もちょっと怖い目してますが? 光ってますね……やっぱり一番落ち着いてるのはネフさんのようで、立ち上がりたいのでおててを貸してほしいな? なんでそんなにスマイルなの? なんか怖いよ。
あとナンシュさんはずっと不機嫌そうですね。誰か助けて。
いかがでしたでしょうか?
かぜっぴきヨーマの体は震えが止まらない。それは風邪の所為か冷気の所為か、果たしてこの先どうなるのか。
目指せ書籍化、応援してもらえたら幸いです。それでは次回もお楽しみに!さようならー




