悪魔と踊るのは死んでから 2
投稿がかなり遅れてしまい申し訳ありませんでした。
正直な所事情があったわけでもなく単純にネタが定まらなかっただけです。遅れた分次回からは程よい期間で投稿するよう努力しますのでこれからもよろしくお願いします。
2067年
サウジアラビア
偽装されたテクニカル2両は村の中央を堂々と走っていく。見た目はバンボディの2tトラック、コソコソと走らせるよりは怪しまれないだろうというのが運転席の奴の意見だった。
新入りが乗るテクニカルは既に車列から離脱し、後方支援の準備へと取り掛かっている。
ラハティの奴が居るから大丈夫だとは思うが、新入りは無事にこの戦闘を生き残る事が出来るのだろうか.....。朝の出会いーもあってか、ルーキーの事が気になってしょうがなくなってる俺が居た。
今までも新入りは居たが、皆戦闘に憧れて来た早死にか革命に心惹かれた狂信者共、我先にと前に出て敵にぶち抜かれていく。新入りとはそういうもので、いつも忠告しても勇敢に突撃し犬死にするものと思えてきていた。
だがアイツから感じられるものが何か違う、射撃が上手とかじゃねえ、なにかがあるように......
「.....い、...おい、シミター!」
身体を揺さぶられ、頭の中で悩んでいた意識は外へと戻される。
「おい、お前が考え込んでどうしたんだシミター?」
「独りでブツブツとらしくねえぞ?」
どうやら考え事が口から漏れてたようだ。
「もしかしてルーキーの事を気にしてんのか?」
「全くいつもご苦労な事だなシミター。」
俺はつい思った事を話し出していた。
「あのルーキーな、アイツは生き残るように思えるんだよ。」
「そりゃあ後方支援だからベース叩く俺達よりは生存率が高いだろうな。」
「いや、そういう感じじゃあねえんだ。アイツは今までの新入りとは違う感じがする。」
「そりゃあ今までの新入りは大抵話を聞かないで《アッラーアクバル》とご大層な突出をしてくれるからな。」
「そして死ぬ。」
俺の一言で話が止まる。ほんの数秒に過ぎないがそれはトラックの荷台を無に染めた。
「ルーキーは確かに今までの新入りとは違うように感じるね。」
今まで黙っていたタボール(ブルパップライフル)が口を開いた。
「彼、朝会った時は元気そうな顔をしてたけど所々不安の表情が出てたんだよね。」
「ああ、それは俺も感じてた事だ。」
「それだけじゃないよね、彼には戦闘意欲が無いようにも思えるね。」
「戦闘意欲が無い?」
タボールの言った事が一瞬よくわからなく思えた。
「いや、そんなポカーンとした顔をしないでくれよ。じゃあ表現を変えるよ、彼は逃げ腰なんだよね。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・悪かった、これは僕の例えが悪かったからその悩むのを辞めてくれ、お前が感情的であって哲学的ではないのはよくわかったから。言い直そう、ルーキーは戦う事を目的としてるんじゃなくて生き残る事を目的としてるんだよ。」
俺の引っかかる靄が少し晴れた感じがした。
今までの新入りと何かが違う今回の“ルーキー”。
考えてみればわかることだったのかもしれないが今までの新入りは皆革命を(馬鹿みたいに)信じているか戦闘狂の二択に等しい。正直今まで出会った奴らが極端過ぎて思考が硬くなり過ぎてたのかもしれないな。
「生き残るか、そんな考えを持つ奴、こんなところじゃあ誰一人持ち合わせてないかもしれんな。」
トラックの助手席の方からニーモーター(迫撃砲)が口を開けた。
「ルーキーのことを深~く思ってやるのはいいがそろそろ積み荷を下ろす頃合だぜ。」
どうやらガンスミスクラーケンの半包囲が完了したようだ。
「それじゃあ、“生き残れたら”皆で美味い飯でも食いに行くか。」
そして半包囲が完了した俺達は、獲物を手に取りクラーケンへと忍び寄るのであった。
AM 9:58
クラーケン店前
「よう兄弟、ガンスミスクラーケンってのはここであってるのかい?」
俺は店に向かっていたであろう傭兵に声をかける。
するとその男は立ち止まる所かわざわざこっちまで足を向かわせるじゃあないか。警戒心のない男だな。
「ん? ハッハッハ、面白い事を言うなあ。ここらでガンショップ言われてる場所は目の前のクラーケン1つだしクラーケンなんて名前の店はこの店しか無いぜ、新参者かい?お前さん“達”よ。」
そして男は腰にぶら下げている拳銃に手を掛けようとしていた。
「なっ、お前!」
俺は急いでシミターを抜く動作に入る。
「奇襲を掛けようとするには目立ち過ぎたな。」
銃と刀が交じるのはほぼ同時であった。
だが、銃声は轟かない。
ズバッ!
男の腕ごと拳銃を切り落とす。
「ぐっ、うあぁ、あああああ!」
「だが俺の方が腕は上だったようだな。」
もがく男に最期の一撃を加える。
「店を教えてくれてありがとよ、兄弟。」
崩れ落ちる男から目を離し、周りを確認する。
状態は最悪だった。武装した傭兵らしき者達が俺を半包囲しようと動き出していた。ここでアクションを起こさなかったとしても警戒はされてしまうだろう。無駄に思考を走らせる必要はない。
手持ちはイサカM37にシミター、そしてスタングレネード。駄目だ、これじゃあ包囲を抜けられる保証はない。男の切り落とした腕に握られてるのはCz75、これじゃない。男の背に掲げてあった物が目に映った。
ダネルMGL グレネードランチャー (M32)
これだ!
男のM32を取り上げ半包囲しようとした奴等に向け引き金を引く。
カポンッ!カポンッ!
バアアァァァンッ!!!
もう隠密な奇襲をかけることは出来なくなった。既に配置についた皆へ行動に移すように指示を出す。こうなったら勢いを付けるしかない。
トラックの荷台を開き機銃を出すよう腕を振り指示を出す。
その時、さっきM32で吹き飛ばした死体の山が蠢く。小銃らしき銃口と相手の目が死体の間から覗いた。
「シミター伏せろ!」
バラララララッ!
後ろから聞こえたタボールの声
背中から倒される俺
銃口からマズルフラッシュが出る。
バンッ!バンッ!
また別のところからの銃声
「さっさと起き上がれ2人とも。」
タボールと俺はニーモーターに手を差し伸べられた。
「おい、お前は民家を占拠して支援だったはずだろ!」
「シミターがヘマしなけりゃ留まってたよ。」
と俺にベレッタM1934を見せつけた。
止めを刺してくれたのはニーモーターだったようだ。
「皆で帰って飯食うんだろ、ここで死んじゃあ駄目だぜ。」
立ち上がりガンスミスクラーケンを見つめる。
恐ろしいほど静かだった。
そうだろうな、外でドンパチやられてるんだ。まずは出方を伺うだろう。俺は突入の合図をかける。周りの戦闘は既に終わっている。
当初の予定とは違うがやるしかない。
M32を店の入り口へと向ける。攻撃開始だ。
カポンッ!
バアアァァァンッ!
そしてもう1つだな。
スタングレネードを投げ入れる。
ピンッ!
カランッ!カランカランッ!
バァンッ!
一瞬の静寂
そして店の中から銃声と鉛玉が飛んできた。
バラララララッ!バラララララッ!
機関銃の連射音だろう、俺達は遮蔽物へと隠れた。
銃声が止むと、店の中でなにか良く分からない叫ぶ声がして、今度は拳銃弾のような連射音が聞こえ、店の中で悲鳴が響いた。
2度目の静寂
何もアクションが起こらないまま何十秒と時間が経っていく。
仲間が3人、入り口へと近づいていった。
一人が顔を覗かそうとした刹那、3発の銃声と共に仲間が倒れていった。少し前にトラックで飯を食おうと約束した仲間達だった。
だが悲しむのは後だ。此処は戦場。店の中から黒人と東洋人が2人出てきた。
もしかしたら店の中の人間は奴等だけなのかもしれない。
俺は遮蔽物から移動し、横の通路へと移動した。
店を中心に大規模な銃撃音が広がる。
物陰に潜み、様子を伺う。
するとさっきの黒人がこの通路に駆け込んで来た。黒人の後ろを鉛玉が飛んでるのが見え、この通路に逃げたのが確認できた。あの黒人は大通りを確認している。
チャンスは今しかなかった。
考える前に足が伸びていた。
シミターを振り上げ奇声をあげる。
「おりゃあああ!!」
カキィンッ!
振り下ろした曲刀は、既のところで黒人が持っていたガリルによって防がれてしまった。
だが勢いは殺せない。
奴の体に馬乗りになる。
これなら行ける、両手で握っていた曲刀から右手だけ離し奴の首元へ手を近づける。
「ぶっ殺してやる!!」
奴の顔が一瞬苦しくなる。
だが、
だが、
だが!
俺の額には、銃口が突き付けられていた。
パアァンッ!!!
第2話如何だったでしょうか?
シミターなど、登場人物を所持してる武器でそのまま表しましたが最初は名前を付けてあげようと思っていたのですが原作の方を読んでも分かる通り彼等は死んでしまうので、名前はつけない方向にしました。
次の話も戦闘です!是非、まだ生き残っている登場人物達を応援してやってください!




