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6 共同生活

登場人物

ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。

リンナ:異星種族アラマーマの少女。

 FDの修理が終わるまで、ジョウとリンナは立方体(キューブ)の中で一緒に暮らした。

 短い時間とはいえ色々ある物だ……本来全く接触が無い筈だった文明・文化の二人には、余計に。



 ――初めての食事――



 夕食時。アラマーマ族も食材から料理を作って口から食べる事をジョウは知った。


「地球で獲れる食材で、アラマーマの料理をだいたい作れます。野生の物を採取して使うので、凝った物は難しいですけど……」


 そう言って料理を持った皿を、台車で運んでくるリンナ。

 皿は六角形のワンプレート。それをスプーン兼用フォークと、フォーク兼用ナイフの2つを使って食べるらしい。

 少しとまどいながらもジョウはありがたくいただく。


(これはカニフライか? こっちは焼いたエビ。このつくね……も、エビかな。甲殻類が多めだが、変な物は無いようだ。米は無し……このトウモロコシの団子が主食か)


 食べながら安心するジョウ。

 リンナもテーブル対面で食事をとる。


「それは海で、こちらは川で、それは森で採れた物です。寄せ集めで、ちょっとごちゃまぜですね」

「まぁ贅沢は言わな……森!?」


 エビっぽい味のする()()()を食べながら驚くジョウ。

 まぁ虫を食べる地域は地球にもある。節足動物の肉である事に変わりはないのだ。



 ――初めての入浴――



「地球の用語で説明すれば、タオルではなくスポンジを使って体の汚れを落とします。石鹸は粉石鹸で、浴室に設置された容器に入っています。浴槽はありません……シャワーに近いかな?」


 脱衣所に案内され、リンナの説明を受けるジョウ。

 しばらく「ふむふむ」と頷いた後、気になる事を訊く。


「男女で分けないの?」

「分けませんよ? だいたい家族皆で一緒に入ります」


 脱衣所が一つしかないのでもしやと思ったが、ジョウの予想通りだった。

 非常に困り果てるジョウだが、リンナは平気な顔で服を脱ぎ始める。


「私が先に入って準備しておきますね」

「お、おう」


 目を逸らして自分も服を脱ぎ始めるジョウ。

 リンナが浴室に入ったのが音でわかる。それを確認してから、ジョウも抵抗を感じながらも浴室へ入った。タオルではなくスポンジなのでろくに体も隠せない。


(やましい事をする気は無いが、やっぱり年頃の女の子の裸が見えるのはやり辛いな……)


 そう思いつつ、やはり男の(サガ)か、つい浴室の中を見渡してしまった。


 中は熱い蒸気が濃霧のように立ち込めていた。

 リンナは見えない事もないが、ぼんやりした肌色の影だ。裸体は見えない。

 カラフルな粉石鹸の壺が壁に設置されている。固形石鹸を個人別に渡されない理由がわかった。落とすと無くすからだ。


(ああ、そう……蒸し風呂の文化なのな……)


 それにしても蒸気が濃い。これも文化的な違いか。

 壁で何かを操作しつつ、リンナが訊いてくる。


「ジョウさん、温度はこんな物でどうでしょうか?」

「ああ……いいね……」


 ジョウはスポンジを壺に突っ込むと、体を洗い始めた。スポンジで体をこすった後、手で肌をぬぐうと泡と垢が流れ落ちてゆく。

 リンナも同じように体を洗っているのが見えた――湯気ごしに、肌色の影の動きで。

 まぁ健全なのは良い事なのだ。



 ――初めての夜――



「寝室」に案内されたジョウ。

 ベッドは一人分の広さしかなかったが、壁際の制御盤をリンナが操作すると、壁から寝台が出て追加され、広さが2倍になった。

 リンナはジョウの手をひく。


「では寝ましょう」

「一緒に!?」

「はい! 2人で寝るなんて久しぶりです。長い間、一人でしたから……」


 少し寂しそうに言うリンナを横目に、ジョウは薄々理解した。


(身内は皆で寝る文化なのか? しかし地球の文化では……)


 迷っていると、リンナが壁の戸棚から何か引っ張り出した。

 寝間着だ。浴衣風のネグリジェといった感じである。男女ともこれを使うらしい。

 そして半透明のシーツのような布……それを2枚出すと「はい」とジョウに渡す。


「地球でいう『掛け布団』です。所々に同じような風習があるの、面白いですね」


 そう言って、ジョウの側で服を脱いで寝間着に着替えだした。

 慌てて目を逸らし、自分も着替えるジョウ。


 先に着替え終えたリンナは寝台に上がり、布を自分に巻き付けるようにして、頭から足先まですっぽりと入ってしまった。


(虫の卵か(まゆ)みたいな……)


 立ち尽くすジョウを、リンナは布の中から不思議そうに見つめる。


「寝ないんですか?」

「あ、ああ、そうだな! いや、うん、寝るよ」


 そう言って寝台に上がり、布を体に巻き付けた。

 見かけ通り薄い布で、通気性が良く意外と息苦しくない。照明が落とされたが、それでも外が薄っすらと見え……リンナが自分を嬉しそうに見つめているのが窺えた。


(同じベッドで寝るけど、個人個人は掛け布団でぐるぐる巻きなのか……)


 ほっとしたような、ちょっとだけ肩透かしのような、微妙な気持ち。

 ジョウは複雑な物を感じながらも、とにかく目を閉じた。

 まぁ健全なのは良い事なのだ。



 こんな生活を送りつつ、基地内の工場でFDを組み立てる二人。

 一週間後、完成。

 そして旅の準備をすると、ついに基地から出発した。

日常回なんて今後やる機会はほぼ無いだろうからここでやっておく。

オラッ美少女と一緒に飯だ入浴だ同衾だ。

まぁ年齢制限の要らん範囲でな。

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