5 解決策
登場人物
ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。
リンナ:異星種族アラマーマの少女。
リンナは地球人の味方になってくれたが、機械奇虫を停止させる事はできなかった。
頭を抱えるジョウ。
「お、落ち着いて、まずは現状を把握しよう。俺が『死んで』から10年というが、その間に地球はどう変わった?」
リンナは「ええとですね……」と呟きながらモニターを操作する。
地図や様々なグラフを出しつつ、彼女の説明を聞くジョウ。
「なんだ? 意外と膠着しているじゃないか。まぁ大陸の国家は本当に一つ残らず壊滅しているし、人口は30億台で、悪化している事はしているが……島国はほとんどそのまま残っている。機械奇虫どもは海を越えられないのか?」
少し安心したジョウに、リンナはモニターを操作しながら頷いた。
「元々が敵地壊滅用なので、すぐには国境線を超えないよう、完全オートにはいくつかの行動優先順位を決めてありましたから。その1つで、海を越えるにも条件が設定してあります」
ふむふむ、と頷き……ジョウの目が険しくなる。
「条件を満たしたら海を越えてくるという事……?」
「はい。敵地を制圧しながら『巣』というべき簡易拠点を増やしていくんですけど、その『巣』が面積あたり一定の数になると海を越えます」
リンナの解説を聞き、ジョウの目がなお険しくなる。
「現状、あとどのぐらいで海を越えそうかな?」
「ええと……2年はかかりませんね。1年ぐらいなら現状のままかも……」
リンナの解析を聞き、ジョウの目がますます険しくなる。
「俺が死んで10年で人類滅亡まで1年の件・我が怒り有頂天……タイトルつけるならそんな感じか」
「有頂天の使い方、それで合ってるんでしょうか?」
リンナの疑問を聞き、ジョウの目がいよいよ険しくなる。額に浮いた青筋はマスクメロンのごとし。
「そんな指摘よりも解決方法を聞きたいかな……! 機械奇虫を駆除する装置とか無いのかなあ!?」
「それなら有りますけど……」
「有るんじゃないか!」
ちょっと怯えるリンナからの情報に、ジョウの表情は一転して明るくなった。
――格納庫――
様々な装置や節足動物のような機械が所々に置いてある格納庫。
それら装置の1つ、球状の結晶とそれを繋ぐ機械機構が入った半透明の箱……その前にリンナはジョウを案内した。
「この消去装置を使えば、周囲の機械奇虫や近距離の『巣』の機能を破壊できます」
「周囲……近距離……これで1つ1つ消してまわれという事か。世界中に128個あって、簡易版の『巣』が増殖中なのに……間に合うのか、それで……」
露骨に不安を見せるジョウだが、リンナはこくりと頷く。
「立方体を1つ機能停止させれば周辺の『巣』も全て凍結しますし、今からでも十分、地球上から機械奇虫を一掃するのに間に合います」
「そうなのか! うん、信じるよ。しかし人間と同じぐらいの大きさがある装置だ、世界中をまわるためには何か乗り物にでも積まないと……」
ジョウは格納庫を見渡すが、どれが乗り物なのかはわからなかった。
ただ一つを除いて。
「FDがあるじゃないか!」
正確にはその部品だが。
一機を組み上げるのに必要な半分ぐらい……しかも酷く焼け焦げたジャンク部品だが、人類が実用化した搭乗式巨大ロボットのパーツが倉庫の隅にまとめられているのだ。
「この有様からして戦場跡から拾ってきたのか。地球側の技術を調査するためかな?」
「いえ、それはジョウさんが乗っていた物です。あなたの体は大半が黒焦げで人の形してませんでしたけど、ヘルメットのおかげで脳味噌は使えるだけの量を確保できたんですよ」
にこにこと笑顔で教えてくれるリンナに、ジョウの顔が渋く歪む。
しかしリンナはFDのジャンク品を見渡した。
「乗りなれているなら、このFDという乗り物を修理……いえ、改造して造り直しましょう。アラマーマ族の兵器技術も『アリスィロピア』から得た物を経ていますから、互いに流用する事は十分に可能な筈です」
「そうか、頼む。何かできる事があるなら俺にも手伝わせてくれ」
ジョウが申し出ると、リンナは機嫌よくうんうんと頷いた。
「はい、一緒に作業しましょう。操縦する人の意見を取り入れながらの方が、きっと使い易い物になります。地球の事も15年の間に何かと調べはしましたが、わかっていない事とか間違って理解している事とか、きっといろいろあると思いますし」
こうして2人は協力して作業を始めた。巨大ロボットの、修理というよりは作り直しに近い作業を。
人里離れた立方体の一つで暮らしながら、FDの構造やデータは人間のネット網から情報を得て、アラマーマ族の技術で再現し、所々に手を加える。
結局、作業には一週間ほどかかった。
やっと主人公が乗るロボット兵器が完成だ。
ここまでは少々スローペースになってしまったが、どんどん進めて行きたいところである。




