29 闇を追い払う鬨の鐘
登場人物
ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。
リンナ:異星種族アラマーマの少女。
ファン:旧ベトナム領の中年傭兵。乗機は防御型の盾持ち装備【ディフェンダー】。
萌萌:旧中国領海南地方の女大校。乗機は近接型の槍装備【ランサー】。
エロール:シンガポール軍の兵士。右目をサイボーグ化している。乗機は狙撃装備の【スナイパー】。
ラビ:マレーシア軍の兵士。乗機は奇襲・強襲装備の【アンブッシャー】。
合体ミミックが光弾を地上へ撃った。6本脚でぎくしゃく歩くトレーラーの敏捷性で回避などできない。
だがしかし。
『バリア、えい』
リンナが操縦席でスイッチを押すと、トレーラーが周囲に猛烈な勢いでキラキラ輝く粉を散布した。
その霧に光弾が炸裂!
すると光弾が飛び散った。
トレーラーに当たったのは小さな光の粒で、表面を多少炙っただけで消えてしまう。
高温の流れを阻害して散らす粒子により、威力を極端に減衰させられたのだ。
しかし散布した粉塵はどんどん散って希薄になってゆく。強力な効果とともに、屋外で長持ちしないという致命的な弱点をも同時に披露していた。
ミミックは容赦なく第2射を撃ち込もうとする。
そこへライズィンザンが横から体当たりをしかけた。
空中で激突し、砲身を敵へ押し当てる。間髪入れず発射!
だが合体ミミックも後頭部の尾にあるハサミをライズィンザンに見舞った。
接触しての光線が爆発を起こし、ミミックの重装甲に亀裂を入れ、砲身を吹き飛ばした。
一方、ライズィンザンも砲身を切り裂かれて攻撃力を失った。
敵を蹴飛ばし、宙がえりして急降下するライズィンザン。
ジョウが通信機ごしに叫ぶ。
『リンナ! 2機とも出してくれ!』
『え? あ、はい!』
指示を理解したリンナにより、トレーラーからサソリ型とカブトムシ型のサポートメカが飛び出す。
ジョウは空中で【ドラゴンフライ】装備を解除し、カブトムシに自機への合体命令を出した。
ライズィンザンは着地するや【ビートル】装備の装着を行う、が――
その側に合体ミミックが着地し、太刀を見舞おうと振りかぶった!
直後、四方からの射撃が合体ミミックを襲う。
その重装甲には既にあちこち亀裂が入っていたし、攻撃に使われた弾丸は……
『ははっ、俺の断裂弾は使っちまったぜ!』
『アイヤー、こっちもネ!』
口々に叫ぶラビと萌萌。二人だけでなく小隊全員が、最強の敵相手に、切り札の中枢断裂弾を撃ち込んでいた。
本来は立方体破壊用だが、合体ミミックもアラマーマ族の兵器には違いなく――ミミックがあちこちから火花をあげてよろめく。
それでも太刀を握り直し、ライズィンザンへ改めて振り下ろした。
だがその時にはライズィンザンも装着を終えていた。
ジョウもまた【ビートル】の刀を抜き、渾身の斬撃を叩き込む。
振り下ろされた刀が互いを捉え、斬り裂いた。
装甲が裂けて砕け、金属片が舞う。
大きく切り裂かれたミミックが後ろへよろめいた。
大きく切り裂かれたライズィンザンが後ろへよろめいた……が、【ビートル】装備が弾けるように解除された。
入れ代わりにサソリが分解され、ライズィンザンに装着される。
ミミックの後頭部にある尾が動き、ハサミがライズィンザンの肩を挟んだ。
ライズィンザンも【スコーピオン】装備で両手のハサミを繰り出し、満身創痍のミミックの首と腹を挟んだ。
両者とも敵を捕え、敵に捕らえられ、互いに敵機へトドメを刺すだけの状態。
ここまでやって、ここまで来て、それでも相打ちか。
だがしかし。
ライズィンザンの、操縦席のハッチが開いたではないか。
そこではジョウの黒い戦闘用ボディが、デストロイショットを構えて座席から立っている。その背には壁から伸びたケーブルが接続されていた。そこから流れ込む、機体のパワーとジョウの意思。
戦闘用ボディはライズィンザンに接続されている。それは間接的にジョウと合体しているという事。ジョウは操縦する体を切り替え、戦闘用ボディで敵機を狙っているのだ。
ジョウのカメラアイが赤く輝いた。
『聞け! 明日の夜明けを告げる鐘を!』
引き金がひかれる。
巨大な体のパワーがその中の体を通して供給され、デストロイショットが光線を撃った。
その威力は――
膨大なエネルギーに満ちた光線が、合体ミミックの胸を貫いた。
背中から火を吹くミミック。
操縦席ハッチが閉まり、瞬時に操作対象を切り替えるジョウ。ライズィンザンの両腕のハサミにパワーが籠められる。
合体ミミックに、反撃する力は既に無い。その胴体が裂け、首が斬り落とされた。頭も上半身も失って大地に倒れる。
切り離された部位全てが、火花を幾度もあげて……爆発!
火柱に背を向けるライズィンザン。
ジョウはトレーラーに通信を入れる。
『リンナ、こんな所に来るなんて聞いてないぞ』
『その、バリアができましたので……突入のタイミングは、見計らいましたし……』
恐々と言い訳するリンナの声に、ジョウは溜息をついた。
しかし危険なスタンドプレーを責める気はジョウには無かった。アラマーマ族の定石を捨て、地球人と同じ所でジョウに合わせてくれた彼女へは。
そこへエロールから通信が入る。
『ジョウ、お取込み中すまんが立方体を頼む。俺達は皆、中枢断裂弾を使ってしまったのでな。今回も消去装置で機能を止めてくれ』
『了解した』
立方体へジョウは向かう。
もはやすぐそこで、遮る敵も無い。
早く終わらせるのだ。そして伝える。リンナに、ありがとうを。
こうして大東亜共栄圏は、3つ目の立方体制圧作戦を成功させた。
被害は小さくないし、際どい所ではあったが。それでも。
換装・変形の機体で全乗せ最強機体に能力駆使して勝つ。これも新し……くねーな。GUンダムSEEDのDESTINYでとっくにやってたわ。




