27 強化合体
登場人物
ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。
リンナ:異星種族アラマーマの少女。
ファン:旧ベトナム領の中年傭兵。乗機は防御型の盾持ち装備【ディフェンダー】。
萌萌:旧中国領海南地方の女大校。乗機は近接型の槍装備【ランサー】。
エロール:シンガポール軍の兵士。右目をサイボーグ化している。乗機は狙撃装備の【スナイパー】。
ラビ:マレーシア軍の兵士。乗機は奇襲・強襲装備の【アンブッシャー】。
ライズィンザンと敵のライズィンザンもどき――ミミックが空を飛んで隙を窺いあう。
モニターに表示される敵機の性能を見て呟くジョウ。
『運動性、速度、出力――こちらと互角。コピーしたのは外見だけではない、か』
両機の速度がどんどん上がっていく。
そこへ山林から機械奇虫どもが飛び、ジョウの方へと向かった。
味方小隊へ通信を入れるジョウ。
『余計な敵が近づかないようにしてくれ』
『わかった』
シンガポール軍人エロールが応え、彼の【スナイパー】が空飛ぶ金属虫どもを次々と撃ち落とす。
彼の機体へ地上の虫どもが襲いかかるが、それは他の味方機が応戦して食い止めた。
ライズィンザンとミミックは互いに相手を捉えようと飛び回り、時折その砲から光弾を撃つ。
だが互いに高速で飛ぶので互いに当てられない。
味方の援護があってもなお時々空飛ぶ機械奇虫に妨害されるジョウの方が、どうしても手数が少なくなった。
際どい所をついてきた光弾を避けざま、ジョウは消去装置を起動させる。空飛ぶ金属虫どもが機能を停止し、ぼとぼとと墜落していった。
だがその中をミミックは全く影響を受けずに飛ぶ。
(消去装置への耐性も持っているか)
それを確認すると、ジョウは敵機に狙いをつけた。
全く同時にミミックも狙いをつける。
発射も全く同時だった。
空で交錯する2発の光弾。
『だが機体性能が互角なら……俺の勝ちだ』
呟くジョウ。
その操縦席で、脳が無い筈の金属ボディが赤い目を点滅させていた。
ライズィンザンの光弾が敵機に命中する。
一方、ミミックの光弾はライズィンザンが身を捻って避けた。
ジョウが黒い金属ボディで戦った時、人間離れした反射速度や精度での行動が可能だった。それは補助脳とでもいうべき、運動をサポートする回路が複数内臓されているからである。
その機能をライズィンザンの操縦にも役立てるべく、金属ボディも操作用のコンピュータに接続できるよう改良してもらったのだ――これにより戦闘能力を以前に比べて大きく底上げする事に成功していた。
光弾に体をえぐられ、宙でミミックがバランスを崩す。
それでもなんとか立て直そうとしたが、今度は地上からの狙撃が亀裂の入ったボディを貫いた。
そして、爆発!
もちろん地上の小隊からの援護である。
これもジョウが『勝てる』と断言した要因だった。
敵のいなくなった空で、改めて立方体の方を見るジョウ。
あといくらの距離も無い――おそらくもう1つ敵の群れを破れば、大東亜共栄圏のFDでも中枢断裂弾を撃ち込んで立方体を停止させる事ができる。
勝利は目前だった。
(皆を集めて再度前進といくか)
ジョウがそう考えた、その時――
『アイヤー! 救ってー!』
悲鳴と共に地上で爆音が響いた!
レーダーには敵反応……味方小隊と重なる位置に。
(やられてる? まさか!)
山林へ急降下するジョウ。
降り立って見たのは……
二本の手足。両の腕には鋭利なハサミ。
後頭部の、辮髪のような長い尾。
【スコーピオン】装備の、2体目のミミックだった。
片腕を落とされて膝をつく萌萌の【ランサー】。
その側に立つ【スコーピオン】もどきを前に、ジョウは苦々しく呟く。
『そういえば以前のカブトムシも2機いたな……』
するとそれに応えるように、後ろに敵機の反応が。
振り向くと、ジョウの予想通りの敵がそこにいた。
二本の手足。その手には長い刀。
カブトムシを模した鎧のような姿で、頭には長い角。
【ビートル】装備の、3体目のミミック。
ライズィンザンがこれまで手に入れた三形態全てを、機械奇虫は模倣していたのである。
ベトナム傭兵のファンがジョウへ通信を送ってきた。
『俺達がなんとか片方抑える。その間にもう片方を……』
1対1ならジョウが勝つと踏んでの提案だ。
だがしかし。
そこへ羽音を響かせて飛来する物があった。
トンボのような機械奇虫だ。あちこちに亀裂が走り、煙をあげている。
撃破したミミックから【ドラゴンフライ】装備が分離して来たのだ。
それが空中で分離する。
すると2機のミミックも分離した。
宙でパーツ同士が重なり、繋がる。不要な余剰パーツは容赦なく地面に捨てられた。
本体の武装として3機の機械奇虫を奪取・改造したライズィンザン。
その戦闘力を目当てに模倣した3機のミミック。
スタートと経緯が違う……そのため3機には模倣元に無い機能が追加されていた。
合体を終えた体は、FDより頭一つ、一回り大きくなっていた。
トンボのような4枚の翅。
背中に長身の砲。後頭部には自在に動く辮髪のような尾、その先には鋭利なハサミ。
そして両腕で握る巨大な刀。
重なり合った、鎧のような全身の装甲。
『ウソだろ……』
マレーシア軍人のラビが呆然と呟いた。
合体したミミックを前にして。
主人公ロボより先に強化合体を行う敵。これは新しい……事もないか。魔神英雄伝WAタルで30年以上前にやっていたし。




