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26 第三の作戦開始

登場人物

ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。

リンナ:異星種族アラマーマの少女。


ファン:旧ベトナム領の中年傭兵。乗機は防御型の盾持ち装備【ディフェンダー】。

萌萌モンモン:旧中国領海南地方の女大校。乗機は近接型の槍装備【ランサー】。

エロール:シンガポール軍の兵士。右目をサイボーグ化している。乗機は狙撃装備の【スナイパー】。

ラビ:マレーシア軍の兵士。乗機は奇襲・強襲装備の【アンブッシャー】。

 半島に上陸した、翌朝。

 ジョウは黒い戦闘用ボディでライズィンザンに乗り込んだ。体を座席に固定し、頭から出て甲虫メカの姿で操縦パネルに体を収める。

 コンディションが完全である事を確認していると、味方FDが近づいてきた。


『お、来たアルな!』


 先頭にいる槍持ちの近接格闘装備【ランサー】から、旧中国領の女兵士・萌萌(モンモン)が通信機で声をかけてきた。

 その後ろにいるのは、マシンガンと大きな盾で武装した前衛防御装備【ディフェンダー】。乗るのは旧ベトナム領の中年傭兵・ファンだ。


『今日は世話になる。頼むぞ』


『ああ、こちらこそ頼りにさせてもらう』


 ジョウが通信を返していると、残り2人の機体もやってきた。

 彼らとチームを組み、ジョウは出撃の合図を待った。



 ――旧韓国領・江原道山中――



 立方体(キューブ)へ向かって行進する大東亜共栄圏の連合軍FD。

 先頭を行くのはジョウの小隊だが、ライズィンザンは【ドラゴンフライ】装備で空を飛んでいた。自小隊に少し先行しながら、それでも離れないよう、飛行というより浮遊というべき速度で。


 そんな事をすれば目立ってしまう。

 実際、レーダーに機械奇虫(マシンバグ)の反応を捉えた時、半円を描くような形で囲まれていた。


『来たか』


 ジョウが呟くや山中から多数の射撃が空へ撃たれた。一瞬遅れて翅を広げた金属虫どもが上へと殺到してくる。

 大きく動いて回避しながら、ジョウは長身の砲で反撃の光弾を撃ち込んだ。


 わかりきっていた敵襲に不意は撃たれない。

 ジョウは敵をおびき出す囮なのだ。

 彼の小隊は食いついてきた敵機を破壊する迎撃役である。


 ジョウへ飛ぶハチのような敵機を地上からの射撃が撃ち抜いた。

 小隊の1機、長射程ライフル装備の狙撃機【スナイパー】……操縦者は器械義眼のシンガポール兵・エロール。


 彼の機体へ、木々の間を抜けてアリのような金属虫が走って来る。

 そこへ【ディフェンダー】が割込み【ランサー】が続いた。


『前進して敵を引き付ける』

『アイヤー、わかってはいたけどウジャウジャいるヨ』


 ファンと萌萌(モンモン)が乱戦に持ち込むと、その頭上を飛び越えるようにして翼つきの強襲装備【アンブッシャー】が両手の二丁拳銃で敵機を撃ち抜いた。


『全く、予定通りだぜ!』


 マレーシア兵のラビが操縦席で軽口を叩く。

 そう、予定通りだ。

 彼らの小隊に続いて後続の部隊が交戦し、ジョウを囲んで圧し潰そうとしていた敵の包囲網へと突き刺さるように崩していく。

 周囲の敵機が減るや、ジョウはさらに前進した。さらなる敵を食いつかせるために。



 ――旧韓国領・三陟(サムチョク)の町跡――



 港跡に停泊する軍艦の1つで、山和(さんわ)長官は通信で戦況を聞いて安堵していた。

 中枢断裂弾をある程度製造した今、立方体(キューブ)を破壊できるのはジョウだけではない筈だ。よって当初は複数のルートから立方体(キューブ)到達を目指し、多方向からの攻撃を行う予定だった。

 だが機械奇虫(マシンバグ)の奇襲を受けて戦力が不足してしまった。

 よって一点突破作戦に変更し、それを知ったジョウが自ら先鋒に出る修正案を出したので採用したのだが……現時点では順調に前進している。


「いける、いけるぞ……このままなら立方体(キューブ)まで……」


 長官がそう呟いた、その時。

 現場に新たな敵機が現れた。



 ――旧韓国領・江原道山中――



 前進を続けるジョウの小隊。機械奇虫(マシンバグ)の群れと交戦し、後続からの支援を受けて蹴散らし、また前進。


『よし、次の群れと……なにぃ!?』


 先頭のディフェンダーでファンが驚愕の声をあげた。

 空へ飛び上がり、姿を現した新たな敵機――それは虫や節足動物じみた部分を持ちながら、人の形をしていたのだ。


 背中に広がる4枚の翅。

 二本の手足。腕に抱える長身の砲。

 トンボを思わせる鎧を纏ったような、その姿は……【ドラゴンフライ】装備のライズィンザンによく似ていた。


『こちらをパクッてきたネ!』

『そのようだ。ミミック、とでも命名するか』


 萌萌(モンモン)の言葉に同意するジョウ。


『よし、強さまでマネできてるか探りを入れてやるぜ』


 ラビが【アンブッシャー】を飛ばし、側面上方に回り込んで二丁拳銃を見舞う。


 ライズィンザンもどき――ミミックが動いた。

 高速で上昇し、ラビの射撃を回避しながら次々と光弾を連射したのだ。一発ずつが恐るべき精度で撃ち返されてくる。


『チィ! 本当にライズィンザンと同じか?』


 驚愕して回避行動にでるラビ。だが光弾を避けきれず、翼に食らって地に落ちた。

 追撃の弾を食らう前に、なんとか【ディフェンダー】がカバーに入る。しかし光弾を受け止めた盾に亀裂が走った。

 さらに光弾が撃たれる――


 だが光弾が撃ち込まれたのはミミックだった。急旋回して避けはしたが。

 撃ったのはジョウの、本物のライズィンザン。


 モニターに表示される敵機の性能を見て呟くジョウ。


『運動性、速度、出力――こちらと互角か』

戦場での集団戦。カテゴライズするならこの作品はリアルロボット系。

発端が宇宙人の害獣駆除ではあるが。

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