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19 一刀両断

登場人物

ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。

リンナ:異星種族アラマーマの少女。

 慌ててライフルを撃とうとしたが、エロールの射撃は間に合わなかった。

 カブトムシ型の機械奇虫(マシンバグ)はライフルより先に光線(ビーム)を撃っていた。


 だがそれよりなお先に、カブトムシ()光線(ビーム)で撃たれていた。

 森の中、機械奇虫(マシンバグ)のすぐ上を横切るように飛んだ1機のFDに。

 そのせいでカブトムシの攻撃は外れ、空しく木々を焼く。


『よっしゃあ! 一発ぐらいはお返しさせてもらわないとな!』


 陽気な男の声が通信機を通して響いた。

 カブトムシを妨害したのは、ここで全滅寸前に追い込まれた部隊最後の生き残り。ジョウが駆け付ける事で助けられた機体と操縦者である。


 二丁の拳銃で武装し、背中に翼を持つFD。それはさらにカブトムシへ銃撃を加えようとした。

 だが敵機は激しい放電を始める――先刻のような角の間ではなく、今度は全身からだ。

 拳銃からの光線(ビーム)は弾かれ、一転、FDが放電に飲まれそうになる。


『うわくそ! これさえ無ければもうちょっとやれるんだがよ!』


 そう毒づきながらFDは跳び退いた。

 その翼が稼働して背中に隠れる。装甲の色彩が変わり、森の中に紛れた。

 奇襲型の【アンブッシャー】装備――隠密能力と可変翼を駆使して一撃離脱を成功させるタイプであり、直接的な戦闘力は低い。


 だがそれでいいのだ。

 その時、ジョウは次の行動を起こしていた。



 内側から破裂してボディの半分が吹き飛んだ、もう1機のカブトムシ。その頭をライズィンザンが鷲掴みにした。

 残るボディが分解され、散乱する部品も浮遊し、それらがライズィンザンに追加装甲として装着される。そして赤く染まった。

 最も長い角を手に取り、その中から芯を引き抜いた――緩くカーブした刀剣が現れる。

 ライズィンザンは刀を手にした赤い鎧武者のごとき姿となった。


『名付けて【ビートル】……さぁ、終わらせようか』


 呟くジョウ。新装備をまとい、大股で敵機へ歩くライズィンザン。

 赤い武者が放電の中へ無造作に踏み込む。電撃が追加装甲の表面で火花を散らした――が、内部の機器を焼く事なく弾かれてゆく。

 歩みは止まらない。武者は放電の只中で刀を大上段に構えた。


 すると電撃が消えた。

 カブトムシが放電を止めたのだ。

 しかしその光線(ビーム)発射口が輝いている。電撃が通じない事を察し、攻撃を切り替えたのだ。既にライズィンザンは至近距離……光線(ビーム)を撃たれて避けきれる間合いではない。

 強力な光線(ビーム)が容赦なく撃ちこまれた。

 同時に刀が振り下ろされた。


 ライズィンザンが両手で握る刀は激しい稲妻を放電していた。

 その電撃剣が光線(ビーム)を切り裂く!

 高電力の力場が射線に干渉し、光線(ビーム)の針路を妨害したのだ。

 そのまま刀はカブトムシを捉えた。攻撃中であったがために防御などしようもない。

 強力な敵機を利用して造り出された刃は強力な敵機の装甲を深々と切り裂き、内部の機器を断ち割った。


 爆発!


 膨れ上がる爆炎がライズィンザンをも覆い尽くすが、刀を振れば炎が散る。

 新たな姿と新たな力。ライズィンザンは炎を振り払い、前進を始めた。

 立方体(キューブ)へと。



 結局、カブトムシ型の機械奇虫(マシンバグ)は2機だけだった。

 残る敵機群は当たるを幸い斬り捨てて、その中を一直線に進み、ライズィンザンは立方体(キューブ)に辿り着く。

 そこで消去装置を起動させると――立方体(キューブ)自体には耐性が設けられておらず、煙をあげて機能を停止した。



 大東亜共栄圏はマレー半島の奪還に成功。

 あらかじめ公表していた破壊作戦を成功させたという事は、大東亜共栄圏の連合軍が機械奇虫(マシンバグ)を駆逐する実力を有すると証明した事になる。


 外宇宙からの攻撃が始まり、15年。

 地球で初めて、人類から明確な意思の元に反撃の狼煙(のろし)があがり、そして達成した。

虫型メカと合体するならそりゃカブトムシは入れとくだろ。

これはもはや常識。

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