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16 新たなる戦い

登場人物

ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。

リンナ:異星種族アラマーマの少女。

 ――空港――



 日本に来てほんの数日で、ジョウとリンナは出国する事になった。

 山和(さんわ)長官から招集のコールが入ったからである。


 空港の待合室で、ジョウはぼんやりと考えていた。


(結局、姪っ子には何もしてあげられなかったか……)


怜美(れみ)ちゃんの事、気になります?」


 リンナがジョウの考え事を察して訊いてくる。まぁ日本で他に何かあったか、と言えば何も無いのだから見当はつく。

 ジョウも特に隠さず、壁を眺めながら(うなず)いた。


「正直、ちょっとな。でも10年会ってなかったし、お互いに特に思い入れは無い筈だし……」


 だから気にする理由も無い筈なのだ。


 無い筈なのである。


 浮かないジョウの横顔を見て、リンナが躊躇(ためら)いがちに訊いた。


「初めて会うわけじゃないんですよね?」

「あの子が赤ちゃんの時だけだよ」


 その時の事なら、ジョウはなんとなく覚えてはいる。

 嬉しくてたまらないといった幸せいっぱいの姉に抱かれ、きょとんと、まじまじと自分を見つめてきた赤子のあどけない顔を。

 しかし遠い昔の事だ。


「あの子が俺に何か期待しているわけでもない。人にお節介していられるほど余裕のある身分でもない」


 ジョウの言葉が、自分より本人自身に向けられている……それをリンナはなんとなく察したが。

 ならば何をどう言えばいいのか。それがどうにもわからなかった。


「そう、ですか……」


 リンナも(うつむ)いてそう呟く事しかできなかった。



 ――大東亜共栄圏軍部・マレーシア・カリマンタン島基地――



 基地に着くと、ジョウ達のトレーラーとライズィンザンは既に格納庫へ運び込まれていた。山和(さんわ)長官自らがジョウ達を出迎える。


「機体もトレーラーも万全にしてある。確認してくれて良いぞ」


 リンナはトレーラーコンテナ内部の機器を一通りチェックすると、コンテナから出てジョウへにこやかに告げた。


「いろいろ動かしたりデータにアクセスした形跡はありますが、動作に問題無しです」


 リンナには別に責める意は無いのだが、そこまで見抜かれると思っていなかった長官は「ぐぬう」と唸って目を逸らす。


「せ……整備の都合だ」

「わかりました」


 頷くジョウ。

 肚の中で少々残念には思っていたが。


(知りたい事は聞いてくれればいいのに……やはり怪しまれているか)



 どこからともなく自称異星人クローンどもが解析不能兵器を持ってきたのだ。こんな胡散臭い話を全て信じるわけがない。

 そして事実、ジョウ達は本当の事を全て話してはいないのだ。

 結局お互い様なので、ジョウは長官へ余計な追及をしたりはしない。



 話を変えて、長官は格納庫の反対側を指さす。

 そこにはFDが20機近く整列していた。


「大東亜共栄圏加盟国のマレーシアがマレー半島の領土を回復したいとの事でな。同半島山中にある立方体(キューブ)が今回の目標だ」


 説明しながら長官の言葉に力が入っていく。彼は彼なりに、次の作戦に意気込んでいるのだ。正体不明の助っ人だけに頼らず、自分達の力を見せようという決意が彼にはあった。

 様々な装備のFDを前に彼は叫ぶ。


「今回は最初から制圧目的なので、我が軍も戦闘部隊を編制して君達とともに現地へ渡る。宛てにしてくれたまえ! まだ見ぬ邪悪な異星人ども、全滅だ! 根絶やしだ! 奴らは太陽系を汚す宇宙の害虫だ!」

「そこまで言わなくても……」


 悲し気に半ベソをかくリンナ。


「いいや、弱気はいかん。人間、やる時はやるべきだ。な、ジョウくん!」


 威勢のいい長官の声をかけられたジョウは……


「ええ……まぁ」


 静かにそう言うだけだった。

 反応の薄さに長官が「?」と首を(かし)げる。


「体調でも悪いのか?」

「いいえ。問題ありません」


 (うつむ)き気味で否定するジョウ。

 しかしそれで長官は納得し、腕組みして声を張り上げた。


「うむ、有っては困る。異星人の侵略兵器にいつまでも地球人の土地を好き放題させておくわけにはいかん! 今後の作戦は1戦ごとが人類の希望を背負ったステップなのだ! 万世一系、億兆一心!」


(よくわからないが、皆で頑張ろうという意味か。その「皆」にあの子もいるなら……)


 ジョウはそう考えて前向きになろうとした……が、闘志は燃え上がる事なく、どこか燻るようで、本人自身にも上手く言い表せないもどかしさを感じていた。

マレーシアを次の舞台にしますが、マレーシアに行った事はありません。

もし描写に現実との食い違いがあっても「この世界ではそうなっている」という事でご承知ください。

まー現実のマレーシアに機械モンスターがうろうろしていない事は知っている。

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