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12 敵拠点破壊

登場人物

ジョウ:主人公。異星技術で蘇ったサイボーグ。

リンナ:異星種族アラマーマの少女。

 ――旧中国領・河池近郊山中――



 機械奇虫(マシンバグ)の巣をいくつか潰しつつ、山の中を走り続けたジョウ達。それを追って同行する、現地の軍人・(フォン)萌萌(モンモン)が乗るFD【ランサー】。

 目指すは立方体(キューブ)だが、その手前でリンナが告げた。


「FDが何機か戦っているようですよ?」

萌萌(モンモン)の組織かな?』


 疑問に思うジョウ。

 戦場はすぐに見えてきた。

 山中でカミキリムシのような機械奇虫(マシンバグ)の群れと戦っている数機のFDがいる。機体に施されたマーキングは――


『あれは大東亜共栄圏の軍部! 我が政府に断りなく部隊を上陸させるなんて!』


 怒りに叫ぶ萌萌(モンモン)


 大東亜共栄圏は確かに彼女が所属する組織に断りを入れていない。これは政治的な問題であり、他に中国政府の正統な後継を主張する組織が10以上あるためだ。

 どこか1つだけを認める決定的要素が今は無いので、どこも等しく認めない――現段階ではそれしかないのである。

 また大東亜共栄圏に加盟している中華民国が「本来うちこそ正統。よって我々が認めれば本土での作戦に問題なし」と主張しているという事情まである。


 しかしそれらの事情は萌萌(モンモン)にとって見過ごせる事ではない。

 よって彼女は怒りの声をあげ、FD【ランサー】に槍を構えさせて突撃した。

 無謀である。


「とにかく加勢するか」


 溜息混じりにそう言うと、ジョウはトレーラーの運転席からコンテナの開口部へ飛んだ。



 機械奇虫(マシンバグ)の群れを相手に、大東亜共栄圏のFD部隊はよく戦っていた。しかしやはり圧されている。森の中なのでいくら銃火器を撃ってもどこかで接近戦になるが、カミキリムシ型の機械奇虫(マシンバグ)は鋭利な顎を持ち、FDの装甲を容易く切断するのだ。


 そこに萌萌(モンモン)の【ランサー】が切り込み、槍のリーチで接近戦を有利に展開する。食いつこうとした敵の口中に槍を突き刺し、引き抜くや次の敵へ。


『助かる! しかしあんたは一体?』

『正統中華人民共和国政府海南支部だ! 後で謝罪を要求するアル!』


 大東亜共栄圏のFDにそう返事し、萌萌(モンモン)は次の敵へ槍を繰り出した。

 また1機、敵が貫かれる!

 勢いに乗って槍を引き抜くと……その頃には機械奇虫(マシンバグ)の群れが周囲に蠢いていた。


『アイヤー! 増援多い!』

『だから我々は退こうとしているんだ。本当なら気づかれずに立方体(キューブ)へ近づきたかったんで、正直もう作戦失敗というか……』


 叫ぶ萌萌(モンモン)にそう説明しながら、大東亜共栄圏のFDがビームガンを撃ち続けた。


 だがそこへ光線(ビーム)を何発も撃ち込み、ジョウのライズィンザンが飛び込んできた。カミキリムシ型の敵機へ腕のシザースカッターを繰り出す。


 交錯! そして両断される機械奇虫(マシンバグ)

 同じ機構の武器同士だが、威力はライズィンザンが圧倒していた。


『強い! なんだあの機体は?』

「え? 日本の新型じゃないのか?」


 共栄圏の軍人と萌萌(モンモン)が疑問を交わす。

 その間にもライズィンザンは次々と敵機を斬り裂き、光線(ビーム)で撃ち抜いた。


 だが突如、重なる枝葉を貫いて、上からの光線(ビーム)がライズィンザンを撃つ!

 頑丈な装甲で痛手にはならない……と思いきや、2発目、3発目が突き刺さった。

 流石に吹き飛ばされ、ライズィンザンは側の大木に叩きつけられる。


『空から!? それもこれだけの精度でこちらを捉えるなんて!』


 操作パネルと一体化したジョウの本体が呻いた。

 レーダーは複数の敵機を捉えている。だがジョウにはそれらが視認できない。敵は空を飛んでおり、ここは森なので頭上は木の枝と葉で覆われているのだ。

 リンナから通信が入る。


『地上の機械奇虫(マシンバグ)が位置を送信しているんです!』


 周囲で蠢き、倒されても倒されても食らいついてくる敵機ども。

 それらは相手を逃さない……自分達が破壊されのも(いと)わずに。

 群がる敵と戦い、上からの光線(ビーム)を食らい、ライズィンザンにダメージが蓄積していく。


 それでもジョウはタイミングを見計らって消去装置を起動させた。

 周囲のカミキリムシが動かなくなり、そして枝葉を散らして上から落ちてくる敵も1機。上空にいる敵も1体だけ効果範囲に入ったのだ。

 無論、そのタイミングをジョウが狙ったのだが。


 落ちてきた機械奇虫(マシンバグ)はトンボのような姿をしていた。だが両眼の間に光線(ビーム)の発射口がある。

 ライズィンザンはそれの頭を掴んだ。トンボがバラバラに分解される。

 胸の赤いランプが点滅し、ライズィンザンの装甲が弾け飛んだ。周囲にいたカミキリムシどもを吹き飛ばす。入れ替わりに分解されたトンボの部品が全身に装着され、新たな鎧となった。

 鎧が青く染まる。背中にはトンボの物だった4枚の翅。それが広がり、翅脈が輝いた。

 地を蹴ってライズィンザンは飛ぶ。頭上の枝葉を突き破り、上空へ。


 上空にはトンボ型の機械奇虫(マシンバグ)が無秩序に飛んでいた。

 ライズィンザンが新たな武器を構える――脇に抱えた砲身を。


『この装備、名付けるなら【ドラゴンフライ】か……こっちはこれで応戦させてもらう』


 ジョウの呟きとともに、砲身が光線(ビーム)の光球を撃った。それは飛んでいたトンボの1機を捉え、一撃で派手な爆発を起こす!

 トンボどもが光線(ビーム)を撃ち込んでくるが、ライズィンザンは高速で飛んでそれらを避けた。速度が文字通り段違いだ。避けて移動しながらも光球を撃ち、次々とトンボどもを爆破する。


 数の多いトンボは宙で敵機を囲もうとしたが、近距離に接近されるや、ライズィンザンは恐れる事なく敵へ突っ込む。

 すれ違いざまに回し蹴り、一閃!

 トンボの1機が吹っ飛び、ライズィンザンはそこから囲みを脱した。

 人間の形をし、操縦者と一体化して動く機械(マシン)。操縦者の戦闘技術をそのまま発揮できるという強みをジョウは空中で発揮し、切り抜けてみせた。


 トンボどもと戦いながら、ジョウは森の向こうを確認する。

 そこには目標としていた立方体(キューブ)がある。その大きさゆえ、森から上側がはみ出している。


 空に遮る物など無い。


 狙いをつけるジョウ。ライズィンザンの砲から一際大きい光球が撃ち出された。

 それは立方体(キューブ)の側まで飛んでいき――宙で()()()。拡散した光線(ビーム)が四方の物全てを貫き、宙のトンボどもを、森の中にいるカミキリムシどもをことごとく貫く。

 ライズィンザンと立方体(キューブ)の間に大きな空白が生まれた。


 立方体(キューブ)へと飛ぶライズィンザン。

 消去装置により立方体(キューブ)が機能を停止するのは、その僅か数分後の事だった。

地球に128個ある設定の敵拠点を初撃破。

ここまで10話少々。

最後までやれば全1280話という所か。

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