section.47_状況確認
「都市国家カルコサは我が国に対して宣戦を布告。都市連合条約上、戦争状態になったわけだが⋯⋯」
「宣戦布告前の方が断りなく越境してきたり、小競り合いが絶えなかった。今の方が静かなくらいだ」
アレク・アーノルド少将に呼び出されたハロルドとバルドゥルは、将官室にある応接用のソファとテーブルに腰掛けていた。
バルドゥルとしては、ハロルドの隣は御免被りたいものの、少将の隣に座るよりはマシだった。
「カルコサの都市軍は再び国境沿いに集結しています。再び越境してくるのは時間の問題ですが⋯⋯」
「ここまで強気な理由は何なんだろうね。何回全滅すれば諦めるかな?」
物量の差か、虎の子でもあるのか。今のところ不明な状況だ。
「軍事衛星での観測映像でも、特別な武装などは確認できていません」
「単純な物量というのも厄介だ。ここまでの殲滅は奇襲による所が大きい」
小規模な越境行為に関してはアイアスはもはや警告をせず迎撃していた。そう言う意味ではアイアスにとって以前から紛争状態だったと言える。
最初の大規模越境では大隊規模の車両部隊に中隊規模のMⅢ部隊。こちらはアイアスの政治的な理由で結果的に奇襲攻撃となった。議会が悲鳴を上げたタイミングが、たまたまカルコサ軍が餌に夢中になっていたタイミングと重なったのだ。全機出撃した都市外活動専任特殊部隊のMⅢ大隊によって奇襲。全滅となった。
2回目の大規模越境。車両とMⅢの混成大隊。こちらに関しては牽制的な意味合いが強かったため、アイアスの都市軍としては静観の姿勢を取った。だが、三つ巴の状態となっていたアルビオン・バイオニクスが癇癪を起こした。実弾演習という狂言のもと新型の大型機動兵器を3機も投入。アイアスに責を押し付けた上でカルコサの大隊を殲滅した。軍事衛星での観測記録を見たが、大型機動兵器がその質量を武器に突進してくるなど誰が思っただろう。その記録画像を見て笑っていたのはハロルドだけだった。
そして、次の大規模越境があれば3度目となる。義母はこれまで以上と見込まれる。
「作戦状況は」
「輸送隊の運び屋とギルドの傭兵も雇って、カルコサ国境側の資源施設の破壊と職員の収容、防衛隊の収容はおおよそ完了している。まだアウトベースからの到着待ちもいるけど、拠点利用されかねない施設は片付いた。流石にウチの隊員だけじゃ回らなかったけど⋯⋯」
「アルビオン・バイオニクスへの法人返還は完了。戦争において協力は取り付けました。戦力の提供に、戦後の資源施設の再開発事業を共同で行うことが決まっています。詳細は報告書の通りです」
中隊規模のアルビオン・バイオニクス実験部隊の参戦。件の新型大型機動兵器に、レーザー兵器を搭載した実験機の防衛部隊編入。
自国を守る防衛戦を試作兵器の実験場にされるのは業腹だが、これ以上の戦力はなかなか無いだろう。
「⋯⋯アルビオン・バイオニクスとの再開発事業を盾に都市長は議会の解散に踏み切ってくれた。選挙期間中の防衛戦に関しては都市軍に一任されることになり、与党が変われば議会の横槍は落ち着く⋯⋯防衛戦争に集中できるな」
都市国家アイアスとしては、カルコサの領土にあまり興味が無かった。資源施設を建てられるだろうが、人狩りの影響でアイアス領土よりもはるかに治安が悪い。
「後は⋯⋯、贈り物は届けられたか?」
「人形も玩具も無事届いたそうだよ」
「やれる事は一通りやった事になるか」




