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転生女神は自分が創造した世界で平穏に暮らしたい  作者: RYUJIN
最終章 決戦!『デスティウルス』編
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『リルヴァ』との戦い 〜首都『カームクラン』視点〜

 ダダダダダッ!!


 冒険者ギルドを飛び出した『旋風』の三人は、素早い足捌きで『カームクラン』の街を駆け抜ける。


「兄上!あれです!!」


「クウゼンは『浄化魔導』に専念するでござるよ!拙者とほむらは『邪神』と距離を詰めるでござる!」


「承知!」


 クウゼンはハンゾウとほむらを見送ると、懐から大粒の魔導結晶を複数個掴み取った。


「今日は出し惜しみは無しであるぞ!」


 シャラララン・・・。


 バッバッバッ!!


 クウゼンは錫杖を『邪神』に向けて構えると、それとは反対の手で『印』を結びはじむる。


「いくぞ!『ホーリーアロー』!!」


 直後、錫杖の先に展開した魔導式から複数の光の矢が放たれた。




 ダダダダダッ!!


「兄上!ほむら達も行きますよ!!」


 ほむらはクウゼンが放った光の矢がリルヴァに向かったのを確認すると、腰に小太刀を収めている魔(・)導(・)具(・)の起動術式を発動する。


 チチチチチチ・・・ウィーン・・ズゴォォォ!!


 すると、その魔導具に内蔵されている小型のク(・)ラ(・)マ(・)式(・)発(・)導(・)機(・)が唸りを上げ始めた。


「ほむら!その『一型略式魔導小太刀』は、発動限界時間が定格稼働で一時間しかないでござる!気をつけて使うでござるよ!」


「わかりました、兄上!!」


 ほむらはハンゾウの言葉に頷くと、腰に装着した『一型略式魔導小太刀』から二本の小太刀を抜刀する。


 その二本の小太刀の刀身は美しい高純度の魔導銀(ミスリル)で鍛えられており、腰に装着されたウエストバッグ程の大きさの本体とトリガーがついた柄の部分が魔導銀(ミスリル)ケーブルで繋がっていた。


 カチッ!


 シュウウウウン・・・!


 そして、ほむらが小太刀の柄の部分に備わったトリガーを引くと、その美しい刀身に白銀色に輝く魔導式が浮かび上がり始めた。


「ほむら、行きますっ!!」


 小太刀の刀身が輝き出した直後、ほむらの身体から力が漲ってくる。


「はあっ!!」


 ドゴオォォン!!


 ほむらは自分の身体に『ブ(・)ー(・)ス(・)ト(・)』の効果が発動したことを確認すると、一気に地を蹴って飛び上がった。


「拙者も行くでござるよ!」


 シュウウウウン・・・ドゴォッ!!


 ほむらと同じく『一型略式魔導小太刀』を装備したハンゾウも飛び出した。


 ハンゾウとほむらが装備している『一型略式魔導小太刀』は、以前にほむらがクラリスに魔導具の籠手を誂えてもらった時に、ほむらの戦闘スタイルを見たクラリスが構想したものである。


 当初『一型略式魔導小太刀』は小型で出力が高く、マナ劣化による使用時間の制限がない神白銀(プラティウム)での作成を予定していたが、『エメラダ』との戦いや『エルフの国リーフィア』に『白銀の剣』が急ぎ向かうこととなった為に、その計画を断念せざるを得なかった。


 しかし、『一型略式魔導小太刀』の構想を知ったカツや、『白銀の剣』の拠点となる『カームクラン』の屋敷に滞在するレゾニア商会の技術者、帝国魔導省の人間達が『クラマ式発導機』の小型化実験の為に利用できると判断した事で、あくまで試験的ではあるが、その構想が実現する形となったのであった。


『一型略式魔導小太刀』は本体に内蔵された『クラマ式発導機』が生み出すマナを利用して、刀剣部分に付与された『ブースト』、『還元』、そして『防御魔導』を発動する。


 しかし、先天的に人並外れた桁外れのマナ出力を持っているユナやシエラが運用する『神聖魔導甲冑』に比べると、『クラマ式発導機』の出力したマナに依存する分、どうしてもその能力は大きく劣ってしまう。


 また、刀身には魔導銀(ミスリル)が用いられている為、素材が持つマナ抵抗によって運用時間が大幅に制限されてしまう。


 しかし、『一型略式魔導小太刀』はそのような制限があっても、『女神』の力を使わずに戦う一般人にとっては決戦時の戦闘能力を飛躍的に向上させる画期的な技術であった。



 ・・・・・・。




 ズズズズズ・・・。


 クウゼンが『ホーリーアロー』を放った直後、リルヴァの顔面が苦痛に顔を歪めた壮年の男性に切り替わる。


 そして、遠くから自身に向かってくる光の矢がその視界に入ってきた。


「お"ろかな"ぁ"あ"!」


 リルヴァは浮かび上がる男の声を使って不気味に叫びながら、その腕にある赤黒い触手を伸ばした。


 パァァァン!!


 クウゼンの放った『ホーリーアロー』は『邪神』の弱点である『浄化魔導』であったが、常人が放つ程度のものでは牽制に使うのが関の山であった。


 そして、クウゼンが想定していた通り、リルヴァに放った『ホーリーアロー』は、蠢く触手によって容易く迎撃されてしまった。


「やああああ!」


 スバッシャアア!!


 しかし、『ホーリーアロー』に視線が向いたタイミングを狙い、ほむらが二刀の小太刀でリルヴァを斬りつけた。


「・・・・・!?」


 ほむらの小太刀に付与された『還元』の効果により、『防御魔導』を無視してリルヴァの身体が分断される。


 そして、地面を蹴り出して空中に飛び出したほむらは、リルヴァの分断された肉体と共に、そのまま放物線を描いて自由落下し始めた。


 ブジュルルル!


 しかし、リルヴァは分断された身体の断面から赤黒い触手を伸ばし始める。


 ギュルル・・!


 そして、分断された肉体同士から飛び出した触手が絡み合うと、すぐに切り離された身体が融合して元の姿へと再生した。


 ドギュウ!!


 肉体を再生し終えたリルヴァは、間髪を入れずに自由落下するほむらに向かって腕から生える触手を伸ばした。


「くっ・・・!!」


 バッシュウ!


 直後、ほむらは自分に向かってまっすぐ伸びてくる触手を回避する為、籠手からワイヤーを発射した。


 シュルルル!ウィィィィン!!


 籠手から発射したワイヤーの先端が近くの建物の柱に巻き付いたのを確認すると、ほむらは素早くそのワイヤーを巻き取り始めた。


 スギャアン!


 ほむらが巻き取ったワイヤーによって落下の軌道を一気に変えると、間一髪で自分に向かってきた触手を回避した。


「・・・・・」


 ドギュウ!!


 しかし、リルヴァの触手は一本だけではない。


 攻撃を回避されたリルヴァは躊躇なく、ワイヤーが巻き取られる事でほむらが向かうであろう場所に向かって触手を伸ばした。


「まずい!?」


 咄嗟の行動のため、ワイヤーの先にある錘は柱に巻きついた状態になっている。


 つまり、ほむらは籠手のワイヤーを完全に巻き取ってから柱に巻きついた錘を外さない限り、一切の回避行動を取れない状態であった。


 そんな無防備な状態のほむらに、赤黒い触手が無慈悲にも迫る。


「忍刀術!『旋(つむじ)』」


 そのとき、小太刀を構えて螺旋を描きながら飛翔するハンゾウが、ほむらへ向かう触手に目にも止まらぬ速さで斬りかかった。


「この『ブースト』という魔導は素晴らしいでござるな!」


「ありがとうございます、兄上!」


 ほむらはワイヤーを巻き付けていた家屋の屋根に降り立つと、先程のほむらと同じように自由落下するハンゾウに向かって微笑んだ。


「お"ろ"がも"の"ども"が!!」


 直後、触手を切り落とされたリルヴァは不気味な声を上げながら、未だ多数残る触手を再び放つ。


 しかし、今回放たれた触手は二人の方ではなく、まっすぐ地上へと伸びていった。


 スブシュウ!!


 そして、放射状に伸びた触手は、ほむらが着地した建物やハンゾウの落下予想地点を含んだ広範囲へと広がって地面へと突き刺さった。


「まさか!?」


 ほむらはそ(・)れ(・)を見て想像したくない展開を頭によぎらせた。


 ズブズブ・・・。


 しかし、そのほむらの想像を肯定するように、周囲の地面が底のない暗闇に染まってゆく。


 ズブズブ・・・。


 そして、ほむらが降り立った家屋も、生み出された暗闇へと引き摺り込まれ始めた。


 その間にも、ハンゾウは地上に向かって自由落下を続けていた。


「あれは・・『奈落』・・!?」


 刮目するハンゾウの目前に、絶望色に染まる『奈落』が迫っていた。


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