23話:転生者
「知っています。」
世界の狭間の事…やはりリクウも知っていた。ということは、リクウも私と同じ、転生者なのだろう。
「やっぱりね…何故自分だけが『成功作』か、ずっと考えていたんだ。他の5体にはない、何か…それは自分が『転生者』であることなんじゃないか、そう結論付けたんだけど。その様子だと合ってたみたいだね。」
「そうですか、貴方も転生者…。」
「そうだよ。」
【リクウ Lv.102(139)】
Lvはそこまで高くないようだ。つまり、私のような理由で転生に至ったわけでは無さそうだ。
「私は寿命寸前で神様に拾われたような感じだったのですが…貴方はどのようにして転生したのですか?」
「死の淵で、狭間へ繋がる亀裂に飲み込まれたんだ。そこで神と会って、その縁で転生に至った。」
「…私は元は人間でした。貴方は?」
「奇遇だね。俺も人間だった。この世界の人間では無かったけどね。俺は、建築を生業としていたんだけど、ある日、足を踏み外して高所から落下してしまったんだ。落下寸前、亀裂に呑まれた。そんなだから、こっちでも建築がしたいって神に頼んだんだけど…そしたらこんな姿に。流石に最初は可笑しくて堪らなかったね。ハハハ。」
「私は特に何も言わなかったのにこんなですよ…。」
私は身体の一部を霧状にしてみせる。リクウは大きな声で笑った。
「ま、お互い今の生活は気に入ってるだろ?他の魔王と違って、ダーク様は危険思想を持ってる訳じゃないしな。」
「そうですね。」
「あ、そうだ。折角地下5階に来たんだ、君に見せたいものがある。」
「何ですか?」
「見れば分かるさ。」
リクウは変形ロボットのように形を変えると、二足歩行し始めた。私が子供の頃だったら目を輝かせていただろう。
そうして、連れてこられた場所は、墓地だった。
「ここは…」
「見ての通り、墓地だ。ただ、見せたいのはここじゃない。もう少しで着くから…」
私達は、墓地の奥へと進んだ。壁の一部に大穴があり、道が続いている。そこへ入っていく。
「ほら、これだ。」
突き当たりの場所には、小さな5つの碑。番号が振られていて、左端から1,2,飛んで4,5,6となっている。
「見せたかったものはこれだよ。これは…」
「説明は要りません。私でも、これが何なのかは理解できます。」
「そうか。」
…静かに時が流れてゆく。私は目を瞑り、両手を合わせた。
「何をしているんだ?」
「…」
10秒程後、私は目を開けた。
「これは、私の元居た世界で、死者に弔いの意を示すために行われる儀式です。」
「そういう事か。…こいつらの分まで、俺達が生きないとな…。」
「ええ、そうですね…。」
再び沈黙が訪れた。…何も供える物を持っていないのが残念だ。次に来る時は何か持ってこようと思った。
「そろそろ、戻るか。」
「はい。」
「今日は、貴方と話が出来て、有意義な時間でした。ありがとうございます。」
「いやいや、こちらこそ。俺は基本的にここから出ないし、そのうち君と話がしたいと思ってたんだけど、中々機会が無くてね。今日こうして話せたのは嬉しいよ。」
「貴方は地上に出る事はないんですか?」
「出ようと思えば出れるけど…僕は光の魔王に嫌われているみたいだし、ダーク様に迷惑はかけたくないから、大人しくしていた方がいいんだよ。別に、外に出たいと思う事も無いかな。見たことのない世界を見てみたくはあるけど、ここでの活動も楽しいから。まさに天職って感じで。」
「そうですか。」
一つのことに没頭するのも楽しい、それは前世の経験から理解できる。ただ私はそうはいかない、やることが山積みだから。
「ま、暇なときはまた来ておくれよ。雑談でもしに。いつでも…いや、作業の合間なら歓迎するよ。」
「分かりました。また、そのうち会いましょう。」
私は地下3階の自室に辿り着き、いつものように扉を開ける。
暫くはこの本体を動かす事は無いだろう。私はカプセルに入り、力を抜いた。そして意識を分身体へ集中させる。
第23話です。
この話を書いてから1年半後の自分より:
「この話凄いよく出来てない?よくこんなの書けたね。」
ちなみに2話後にもう1回同じ反応をする予定です。
この辺り本当に気に入ってるので、ここだけ爆速で投稿する予定です。




