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18話:吸収-2

今回の""で囲われている部分は、青文字だった部分です。

「え?」

「聞きたいなら、話すけど。時間はあるし。」

彼の声は、いつになく暗い。

「…聞いておきます。」

「じゃあ、聞いてくれ。長くなるけど…。」




「僕は、元々、この森で生まれたわけじゃないんだ。僕は、山の麓の平原で、普通のスライムとして生まれた。勿論、親も普通のスライムだ。

だけど、僕は、その時点で、スライムらしからぬ思考力があった。突然変異、と言うのがいいかな?

まぁ、それだけで、僕は何倍も生存競争に有利だったよ。

親や兄弟は、すぐに、周りの魔物に襲われたりして、死んでいった。スライムは最弱の魔物と言っても過言ではない。勿論、普通のスライムならそれで終わりだ。でも、僕は違う。

僕は、人間の村の近くへ行ったんだ。スライムを襲おうとする魔物は、どれも弱いものばかりだ。ゴブリン、リーフキャット、キラーラビット…勿論、これらは人間よりも弱い。それらを倒した人間…その時は人間が何かも分かっていなかったけど、そいつらについて行ったんだ。そうしたら、人間の村があった。

暫くは、その近くで暮らしたよ。天敵が居ない環境で、僕は、自分の能力を確かめていった。小さなものになら擬態出来る事にも気づいた。周りの枯れ草や落ち葉なんかを吸収出来ることにも気づいた。で、枯れてない草も行けないかと思って、一回やってみたけど、凄く気分が悪くなったから、それ以来はやってない。スライムが生物をそのまま吸収して、身体の純度が下がると、どうなるかは…君はもう分かっているよね。」

「あの時のように…カオススライムに、変異しちゃうんですよね。理解しています。」

「それで、暫く経ったある時…いつものように、枯れ草を吸収して過ごしていたら、人間が一人、近付いてきたんだ。当然、普通の人間はスライムになんて興味を持たない。でも、彼女は違った。

最初に指でつつかれた時は、ちょっと怖かったね。取って食われるんじゃないかって。でも、逃げられる程、自分の俊敏性が高くない事は僕が一番よく分かってたから、恐怖を抑えて、その場にとどまって居たら、彼女は今度は僕の身体を持ち上げて、眺め始めた。何か独り言をぶつぶつ喋っていたけど、当時の僕は言葉なんて分からないし、敵対したら死ぬと思ったから、もうそこからはずっと身を委ねていた。

…で、気付いたら、彼女の家に連れ帰られていた。後で言語を理解できるようになってから分かったけど、彼女は孤独だったんだ。子供の頃に、冒険者だった親を亡くして…。だから、一人…いや、一匹ぼっちでいた僕を拾って帰ったんだろうね。

彼女は僕に興味津々で…実験していたのか知らないけど、喋りかけたり、色々な食べ物…草や魔物の骨なんかを与えてくれた。それが僕にとっていい方向に働いたようで…そのお陰で言語を習得出来たし、色々な要素を吸収したことによって、僕はどんどん強くなっていった。そのうち、擬態の範囲も広がって、遂には人間クラスの大きさのものにも擬態出来るようになった。初めて人間の姿を見せた時の驚きっぷりは…忘れられないね。

僕だけでなく、彼女も成長していた。彼女は、親と同じように、冒険者になったんだ。

そして、僕達は、沢山の魔物を倒して…もちろん、害のある魔物だけだよ。そうやって、生活していた。


しかし…ある時、旅先で、僕らは、魔族に出くわしてしまった。火の魔王の部下だった。

相手は一人。逃げるという選択肢もあったけど…背後には、村があった。彼女は、逃げられなかった。

…善戦はしたんだけどね。僕も全力を尽くした。でも、人間、魔物、魔族、その中で最初に疲労が起こるのは…大抵の場合、人間だ。彼女も、人間の中では割と強い方だったんだけど…」

「…敗れてしまったという事ですね?」

「いや…正確には、負けてはいない。彼女は、戦闘不能に陥った段階で、自死を選んだんだ。僕の特性を…【吸収】を理解した上で…

その力を受け継いだ僕は…その魔族を、すぐに葬り去った。」

「…!そんな…」

「…後悔してもし切れないよ。もう少し僕に力があれば…、あんな事にはならなかったのに、何度もそう思った。

でも、彼女は今も、"僕の中で生き続けている"と思うと、少し、気が楽になるよ。

…今は勿論、もっと大人びた…強い人間の姿をとる事も出来るけど…短い間とはいえ、彼女と旅した時の、この姿を、どうしても、やめられなくて…。ただの執着心なんだけどね、ハハハ…」

「大切な人を喪う事は、とても辛いですからね…。」

「ん…君は失った事があるのか?」

「あ、いや…()()無いですけど。」

「ふーん…ちなみに、君が何か隠している事くらい、僕はお見通しだからね。それをわざわざ訊く程野暮じゃないけど。まぁ…こんなに長々と話を聴いてくれてありがとう。」

「いえ、(たず)ねたのは私ですから…。」

「そうだね…。あー、もう暗くなってきちゃったね。一旦帰る?」

「もう夜ですか。でも、2日くらい行ってくる、とダーク様には伝えてあるので、今日はこっちで過ごす予定です。」

「そっか。」

「また、魔物狩りしてきていいでしょうか?」

「いいですか、というか、出来るならお願いしたいくらいだよ。最近、本当に、低級の魔物が増えてて…増えたまま放っておくと、変異種が出現したり、集団で襲ってきたりするから、それはそれは厄介なんだ。しかも、低級だからといって、全てが弱いわけでもないから…。」

「トレントとか、オークとか、とても厄介ですよね…。」

「そうそう、そういうの…。下手をすると、返り討ちに遭うからね。」

「ここの皆さんに危険が及ぶ前に、私が処理してしまうのが良さそうですね。では、行ってきます…」

「ちょっと待った、僕もついて行っていいか?」

「え、いいですけど。何故ですか?」

「この前の一件の後、僕は、単独行動を禁止されちゃったんだよね…。僕がというか、1つの属性しか使えない者は、全員。もし単独で、相性の悪い敵に出くわしたら、危険だから。でも、僕と同程度の実力のヤツなんて、一握りしかいないし、相性補完する相手が中々居なくて。でも、君なら、僕と同等か、それ以上の強さを持ってるから…」

【スー Lv.200(202)】

私はまだLv.144だ。強さが全てLv依存で決まるわけでは無いことは理解しているつもりだが、流石に、知能の高いスーと比較したら、単体の強さでは明らかに劣ってしまうだろう。

「謙遜しないでもいいですよ。スーさんはまだ私より数段強いです。そのうち追い抜かして見せますけどね…。まぁ、私で良ければ御供致しますよ。」

「ありがとう。久しぶりに動けそうだ。ずっとここに籠り切りで、暇だったんだ。」

そういえば、スーのLvが少し上がっている。本体は何もしていないようなので、分身体の方が何かしたのだろうか。そもそも、スーの分身体は街で何をしているのだろうか。後で訊いてみる事にした。

第18話です。

過去回想…重い!重いよスーさん、誰だこんな重くしたやつ。自分か、2年半前の。

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