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16話:一歩進む。

土の魔王との戦いから、10日くらい経った頃…。

「おーい、フウカ。今、話せるか?」

「スーさん?良いですよ、何の用でしょうか?」

私は、魔王城の書庫で、本を読んでいた。この世界の知識を蓄えるためだ。前世の、死に際の自分がどれだけ耄碌していたか、今では痛いほどわかる。この身体、記憶や思考の効率が有り得ない程良い。

「まず、前提として話しておくが、僕は、人間の街に分身体を1体、置いているんだ。その分身体は、本体の1/3くらいの力だが、情報収集に大いに役立っている。で、ここからが本題なんだが。今、人間の街で話題になっているのが、『土の魔王との戦争の終結』なんだ。」

「そうなんですね、それで?」

「その噂では、『魔王の軍勢に押され気味だった人間軍。もう負けかと思われたその時、突如として黒い雲が辺りを漂い始め、暴風雨を巻き起こし、雷を落とし、魔王軍を一気に壊滅させた…。そして、それを機に人間軍は勢力を取り戻し、遂には魔王の居城まで攻め入るに至った…しかしそこにあったのは、砕け散った土の魔王の身体の残骸と、《光と闇が世界を平和へと導く》という、地面に大きく書かれた意味深な文章だった…』となっているんだ。さて、単刀直入に訊こう。もしかして、いや、もしかしなくても、この黒い雲っていうのは…」

「…私ですね、それ。」

「やっぱりな…君ってやつは本当に、凄いな…」

「ついでに言うと、意味深な文章を残したのも私です。」

「え。…となると、土の魔王をバラバラにしたのも…?」

「それは私ではなく、光・闇の魔王連合です。ダーク様の強烈な一撃で、奴の身体は粉々に砕け散りました。」

…嘘はついていない。

「そうか。いくらなんでも、魔王をバラバラになんて、出来ないよな…。」

「まぁ、私の攻撃力では、あの堅い土の魔王は倒せなかったでしょう。」

…全て真実だ。

「知り合いがこれだけ色々活躍しているというのは、嬉しい事だね。この話、みんなにも話して大丈夫かい?英雄様が活躍してると知ったら、みんな喜ぶんじゃないかな。」

「…それをされたら、次に森へ行った時に大変な事になりそうなので…やめて欲しいです。」

「…確かに、それもそうだ。残念だけど、この話は皆には内緒だな。」

「あ、もしそちらが良いのなら、明日、森へ行ってもいいですか?」

「え?急だね。僕らはいつでも歓迎だけど。」

「今、とても興味のある話を聞いてしまったので。スーさんと、直接会って、話したいなと思いまして。」

「興味のある話?」

「そう、興味のある話です。さっき、スーさんが言っていた、人間の街…そこに行ってみたいな、と。勿論、本体ではなく分身体で、ですが。」

「え?」

スーは余程驚いたのか、10秒近く会話が止まった。

「…確かに、君の能力なら、僕のように、人間に擬態した分身体を作ることは容易いと思うが…なんでまた、人間の世界へ足を踏み入れたいんだ?」

「まぁ、主には、好奇心ですね。それと、…いや、これ以上の話をするのは明日にします。」

前世が人間だから、この世界の人間が気になる、とは流石に言えなかった。

「分かった。それでは、また明日、待ってるからな。」

「はい。では、さようなら。」


私は読んでいた本を閉じた。明日から、また色々な事が待っているのだろう。前世のように、山に籠り切りというわけには行かない。私には使命があるのだ。

本を棚に戻し、ワクワクしながら部屋に戻る。遠足の前日のような気分だ。

第16話です。

実は第15話は、投稿直前にかなり地の文を追加してから投稿したのですが、16話はあまりやらない方がいい気がしたので、少しだけの追加にとどめました。

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