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15話:光を救う闇

「ライト様…そんな…」

「嘘だろ…?」

隊長たちはライトの無残な姿を見て立ち尽くす。

「くそっ、俺が不甲斐無いばかりに…!」

ダークも悔しそうにそう吐き捨てる。


「…諦めるのはまだ早いですよ…。」

「え…?」

まだライトの命は尽きていない。微かに光が視える。ならば私は、やれることをやるべきだ。

【ダークヒール】…

岩が貫通していた、腹部の穴が塞がる。このレベルの重傷者に対して使用するのは初めてだが、スキルLv.100なだけあって、ダークヒールの効き目はかなり強い。

しかし、灯はまだ小さく、今にも途切れてしまいそうだ。ダークヒールは、実は、再使用するのにクールタイムが必要だ。だが、そのクールタイムを短縮する方法がある。

『自分の身体を、エネルギーに変換する』という、荒業。

元々、癒しの闇とダークヒール、この2つのスキルは実質的に私固有のものだ。それ故、色々な仕様確認が必要だった。分身体を作って、色々試していたあの時、無理やり2回目のダークヒールを使おうとして、激痛と共にLvを2持って行かれたのは忘れられない。

だが、今の私は分身体。分身体のLvが下がった所で、本体には影響はないはずだ。構わず代償を捧げる。

痛みを我慢し、【ダークヒール】2度目…

「うぁ…」

「ライト様!」

少し反応があった。灯も輝きを取り戻して来た。だが、依然として不安定だ。仕方がないので、もう一度代償を…

「いっ…」

痛い!!体感さっきの2倍持って行かれた。複数回の連続使用の副作用か。ただ、今はどうでもいい。身体的なの苦痛より、目の前の、助けが必要な者を見捨てる方が何倍も辛いから。

【ダークヒール】3度目…

「うっ…私…は…」

「すげぇ、あの状態から回復させるのかよ…」

ライトはなんとか意識を取り戻す所まで回復した。私は、ほっと安堵した。灯も少し小さいが、安定している。

「ふぅ…なんとか、なるもんですね。諦めなくて良かったです。」

【フウカ Lv.84(91)】

やはり、2回目の再使用の時はLv.4を持って行かれたようだ。代償が2倍、3倍…と増えると仮定すると、再使用はやはりハイリスクだ。もう使う時が来ないといいが…。

「奴は…土の魔王は…」

「安心しろ、あのクソ野郎はぶっ倒した。」

「そう、か…」

「まぁ…俺はトドメを刺しただけだがな。殆どはフウカの功績だ。お前を救ったのもな。」

「なるほど…私が見込んだだけは、あるな…ダーク、お前も、なかなかいいモノを作るじゃないか…。」

「そうだな。フウカは間違いなく俺の最高傑作だ。」

本人の目の前でそういう話をされると、なんだかむず痒い。

「…実を言うと…私の部下達には、私が死んだら、お前の(もと)につくよう、指示していたんだ…。幸運にも、そうさせずに済んだが…。」

「ライト様、普段はあんなだが、実は貴方のことを深く信頼していらっしゃるのだ。」

「ふーん、あんななのにかよ。」

私もジャズと同じ感想だ。普段から仲良くしていた方がいいだろうに。

「まぁ…私は、悪い人ではないと思っていましたけどね。」

これは本音だ。今までの行動から見て、ライトが悪人とは思えなかった。ただダークと反りが合わないだけ…と思っていたのだが、そんな事も無かったと…よく分からない。

「ハッ、こんなしおらしいお前の姿なんてもう見たく無ぇよ。」

ダークはダークで、別にライトの事を嫌っている様子はない。属性が相反している割に結構相性はいいのか…。


「ライト様、城まで戻ろう。」

そう言うと、レイはライトの肢体を軽々と持ち上げ、背中の翼を羽ばたかせ、空へ駆けて行った。

「はぇ~…あいつ、力も結構あるんだな…」

ジャズが呆然とした目で彼女らを眺める。確かに彼女は華奢な身体つきだが、人は見かけで判断すべきでは無い。

レイ達の後に続き、ライトの部下達は続々と城へ飛んで行く。

「其方達も早く来い!置いて行かれるぞ!」

レイの声が遠くから聞こえる。私は、皆の方を見る。声を聴いて、ダークの部下達も慌てて飛び立つ。

「ダーク様、早く行かないと、置いて行かれてしまいますよ。」

「お前は行かないのか?」

「…私はもう少しここに残ります。やりたいことがあるので。今の私は使い捨ての分身体なので、そのうち消滅して本体に還元されますよ。」

「そうか。…その…なんだ、ありがとう。」

「え…?」

突然の言葉に、私は一瞬凍り付いた。

「その…今回はお前が居なかったら、俺達二人とも…いや、部下諸共殺されていただろう。全てはお前のお陰だ、フウカ。」

「か、感謝は本体の前で言ってくれたら、より喜びますよ…?」

「そうか、分かった。では、俺も行くとしよう。さらばだ!」

私は天空城を見送り、残った仕事を片付けにかかった。

第15話です。

どうでもいい話:「感謝は本体の前で言ってくれたらより喜びます」とフウカは言っていますが、本体と分身体は勿論、意識を共有している為、この台詞は動揺して咄嗟に口から出たでまかせだと推察できます。

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