盤古・弐
「肉体で交わって生まれてくる子供は、〝掟を破った父親と同じ髪の色〟になる。錫花と・・・・・・お前を襲った叶の髪の色がその〈証〉。〝同じ血を引く〟という・・・・・・」
「ちよっと待ってよ。掟を破った父親と同じ色を受け継ぐっていうことは錫花姉とあいつの〝父親〟が同じってことだろ? じゃあ、俺の父親も・・・・・・」
同じよ、と黄帝は息子にはっきりと言う。
「錫花とお前は私が産んだ。でも、叶は違う・・・・・・あの男が五行五帝のひとりである黒帝に生ませた子供よ」
「あいつは俺の異母兄だって・・・・・・いうのかよ」
「叶は〝錫花と死なせる〟ために生まれた子供。──禁忌の子供は禁忌の子供の手でなければ死ねないの・・・・・・〝そのようにした〟のよ、あの男は」
「なんで・・・・・・?」
どうしてそんなことをする必要があるんだと薙は思った。
「すべてはあの男が考えた物語。お前が天界に戻ってきて、私を殺すことも物語のひとつ・・・・・・」
薙の呟きに黄帝は続けて言う。
「四百年が過ぎ・・・・・・お前は大人になり、あの男を封じた神は私の死と共にいなくなる。──私があの男を封じた三人の神のひとりだった・・・・・・」
その人物を封じたのは黄帝を含む三人の神だった。
伏羲と女禍という名の神は、その人物を封じるのに己の生命を使って封じた。そのために、封じたのと同時に死んだ。
黄帝は役目があったために、己の生命を使って封じることは出来なかった。
『憎むわけないわ』
『未来のために犠牲になるよ』
ふたりはそう言って散った。
今でもその時のことは鮮明に思い出せる。
たったひとつの目的のために犠牲になったのだ。




