盤古・参
「母さん?」
急に黙った母親に、薙は声をかける。
「黄鳳・・・・・・あの男は復活する」
その言葉に呼応するかのように、黒帝の前にある円形の水晶に人が浮かび上がってくる。
〝それ〟は黄帝の言葉と共に、〝水晶の中〟から〝出て〟くる。
「すべてを統べる者・・・・・・父なる存在、この「地球」を創りし者・・・・・・絶対者、摂理を授けし者・・・・・・偉大なる神」
水晶から抜け出てきたきた人物は黒帝の前に降り立つ。黄帝が言い終えるのと同時に、だ。
その人物は黒帝の生命を────奪う。〝殺した〟のだ。
黒帝は「何故?」と問いかけながら、その場に倒れた。
どろりと血が広がり、手についた血を男が払うと黄帝はまた言葉を紡ぐ。
まるで、黒帝がいる場所で何が起きているのかわかっているかのように。──否、〝わかっている〟のだ。
「忘れては駄目よ・・・・・・我が子よ。お前は父親でもある、あの男も殺さなければならないのだから・・・・・・」
ふわりと黄帝の身体が宙に浮き、彼女は名を告げる。
薙の父親の名を・・・・・・。
「我ら神を解放する者よ。すべては────創造神が考えた物語・・・・・・その名は────盤古!」
名を告げた瞬間、黄帝の身体は光の粒となってそこから消えた。
床一面に広がる血の中に笑みを浮かべて佇んでいるのは、黒帝を殺した人物。
その人物の髪と瞳の色は────紫。
錫花と叶、そして──薙の父親である男は柱に背を預けて座り込んでいる太皇大帝に視線を移す。その表情には狂気とも呼べるほどの深い笑みを浮かべていた・・・・・・。




