再会・陸
巨大な水晶が脈打つ音を聴きながら、黒髪の女性──黒帝はふふと笑っていた。
「もうすぐ・・・・・・もうすぐ復活する。──愛しい人」
水晶を見つめ、呟いた彼女の耳に扉を開く音が届くと黒帝は振り向き、苦々しく言葉を発した。
「やはり来たわね・・・・・・我が弟、斗白っ」
姉の憎悪が込められた視線から目をそらすことなく、太皇大帝は静かに呟く。
「姉さん・・・・・・」
──と。
辺り一面に煙が広がるのを、黄帝は嬉しそうに見ていた。
「・・・・・・やれば出来るわね、私の力を防ぐことが」
視界が晴れ、杖でもって母親の力を防いだ薙は無言のままだ。
「では・・・・・・殺しなさい、我が息子」
「どうしても・・・・・・?」
「未来に進むには・・・・・・〝解放される〟ためには、こうするしかないの。──早く、下界に戻らないとならないのでしょう?」
母親の問いかけに薙の杖を持つ指が、ぴくりと反応する。
「天界と下界では時間の流れが違う。ここで1日でも下界では一週間ほどの日数。──時間がないのでしょ? お前が下界に帰りたい理由の人物には」
何故、そのことを知っているのか──と思う。だが、薙は理解する。
自分が神であるように、母親も神だ。しかも五行五帝 の中で最高位にいる神なのだ。知っていても不思議ではない。
「さあ・・・・・・どうするの、黄鳳?」
「・・・・・・っ」
脳裏に嶺の姿が浮かぶ。
(・・・・・・嶺・・・・・・)
ぎゅっと目を瞑り、その後、開いた瞳には迷いがなかった。その瞳を見て、母親は「覚悟を決めたわね」と言う。
「ああ、俺は約束したんだっ。だから──ごめんね、母さん・・・・・・」
「私のことは気にしなくていいのよ。お前がすべてを握っているのだから・・・・・・」
静かに双眸を閉じながら言う母親に向かって、薙は走り出す。
そして────・・・・・・
「────っ」
ドクンッと心臓が高鳴り、太皇大帝はその場に膝をつく。それでも心臓の高鳴りは治まらず、息が荒くなってくる。
「辛そうね、斗白」
苦しんでいる弟を、クスクスと笑いながら見つめている黒帝。
「────っう!」
心臓の高鳴りに呼応するように、水晶も脈打つ。
──否、水晶の脈打つ音に、太皇大帝の心臓の鼓動が呼応した・・・・・・。




