再会・参
「全部終わらせて、嶺が死ぬ前に……下界に戻ってくるっ。俺の居場所は天界じゃないっ!」
拳を強く握りしめ「だから、だからっ」と繰り返す薙の頭に触れる嶺。
「わかった。待ってるから早く帰ってこいよ」
「うんっ」
嬉しそうに返事をした薙から視線を外し、嶺は十二神将を呼ぶ。
「薙を送り届けることが、最後の命令だ」
十二神将は嶺の命令に「はい」と返事をし、姿を歪めていく。
歪めた姿は薙が下界に降りる時に通った、空間を歪めた姿。それに近づき、薙は嶺の方を振り向く。
「じゃあ、行ってくる! 待っててね!」
「いってらっしゃい、待ってるよ」
微笑み、嶺は見送る。にこりと笑い、薙は歪んだそこに姿を消す。
「……わかっているな、十二神将────」
嶺の言葉に青龍が姿を戻す。他の十二神将は姿を歪めたままだ。
「この珠が砕けてしまっても……薙には何も言うな」
「……わかっている」
首からかけている黒い珠の首飾りに触れ、呟く嶺に青龍はひと言だけ答える。
「それならいい……お前たちも行け」
促すと十二神将はそこから消えた。同時に、がくんっと嶺は膝から崩れ落ちていく。
(……ごめんな)
謝る彼の脳裏には薙の姿が浮かぶ。
『待っててね!』
そう言って、天界へと戻った薙。
(待つことは出来ないんだ、本当は──……)
スローモーションのように地面へと倒れていく嶺。
(……薙……)
意識を失う直前、薙の名前を呟きながら、嶺の意識は完全に闇に閉ざされた。




