再会・四
嶺の意識が閉ざされた頃、薙は天界に戻ってきていた。
「──やっと、帰ってきたわね」
背後からの声に薙の心臓が、どくりと脈打つ。
「我が息子・・・・・・黄鳳」
振り向いた先には、彼の母親が立っていた。
「かあ、さん・・・・・・」
震えた声で言葉を紡ぎ、別れたままの姿の、若く美しい、自分と同じ黄金の髪の母親を見つめる。
母親もまた、成長した息子を見つめていた。
どちらも無言で見つめあい、沈黙が続く中、人の形に戻った十二神将の首からかけていた黒い珠が割れる。
「割れたのか? 珠」
薙の問いかけに「ああ」と謄蛇が答える。
「なんで割れたんだ?」
「〝知らないわ〟。気にしないで」
「お前らがそう言うなら気にしないけど」
「────十二神将」
薙の言葉を遮るように母親が十二神将を呼ぶ。
「戻りなさい。・・・・・・〝私は何も知らない〟から」
意味深長な言い方をして、彼女は十二神将をさがらせ「黄鳳」と息子を呼ぶ。
「その時がきたわ」
「待ってくれよ。なんで、母さんを殺さなきゃならないんだよ」
その質問に母親はクスリと笑う。
「・・・・・・理解したのね。戦うということは相手を殺すことと。でも、答えるのは私を殺してからよ」
「死んだら無理だろ!?」
「もう一度だけ言うわ。私を殺したら、お前の知りたいことを教えてあげる」
言いながら両手を広げると無数の力の玉が出現する。
「黄帝であり、お前の母でもある私を殺したら!!」
「────!!」
叫び、力の玉を薙に向けて彼女は放った。
回廊の柱に寄りかかり、荒い息をしているのは太皇大帝。
「・・・・・・・・・・・・っ」
彼の息遣いが荒いのは背中の痛みのせいだ。
「・・・・・・う゛、あ゛・・・・・・っ!」
ビキキと激痛が背中に走り、回廊に太皇大帝の悲鳴にも似た声が響き渡った。
「・・・・・・どうしたの? 私は言ったわ。母を殺しなさい、と。力は使えているはず」
放たれた力を避けた息子に母親は言う。
「・・・・・・できないっ、母さんを殺すなんて俺には出来ないっ!」
覚悟はしていた。わかっていたはずなのに、殺すことが出来ずに首を横に振る。
「息子よ・・・・・・神に〈感情〉などいらない。〈人間〉の上に立つ存在が〈神〉と呼ばれる者。──〈神〉は絶対無二の存在、〈神〉がいてこその〈人間〉であり、〈地球〉なの」
諭すように彼女は続ける。




