再会・弐
木々のざわめきの中、錫花と叶の亡骸は砂となって、風に運ばれていくのを見つめていた薙に嶺が声をかけた。
「ぶっ!?」
呼ばれて、振り向いたのと同時に顔面に服が投げつけられ、なんだ!? と呼ぶ。
「……服」
投げ渡された服をひろげて、首を傾げる薙。服は幼い頃、薙が下界に降りた時のモノを今の薙の身長に合わせたモノだ。
「それに着替えて天界に帰れ」
「着替える必要なくね?」
「天界には天界の格好があるだろ。礼儀ってやつだ」
いつつくったんだよ、と薙が言うと「最近だ」と答え、ごほんごほんと咳き込む嶺。
「風邪か? 嶺」
あまりにも咳き込む嶺を見て、そう薙が訊くが嶺の咳は止まらない。そのせいで嶺は再び吐血する。それを見た薙が驚くのも無理はない。
「どこか悪いのか!?」
「気にするな」
「吐血したのに気にするなって無理だろ! 病院は!?」
「行くだけ無駄」
心配する薙に対して嶺がそう言うと「なんで行くだけ無駄なんだよ」とムッとする薙。
「呪術を使えば、寿命も縮む。吐血はその代償だ」
本来、呪術を使うのに自分の生命は使用しない。だが、嶺は己の生命を対価にして、呪術を使うことを余儀なくされていた。
「まあ……お前が天界に帰るまで生きれて良かったよ」
その表情はどこかスッキリしていた。
「……今にも死ぬ言い方をするなッ」
「人間の寿命は、お前ら神と違って短いって知ってるだろ。……いつか別れはやってくる。それが〝今〟ってだけだ。お前が天界にいる間に俺は死ぬだろうしなあ」
「死」を畏れていない嶺の言い方に、薙は表情を曇らせる。
「ほら、さっさと帰れ」
追い払うように言う嶺の言葉を聞きながら、薙は渡された服を羽織るように着る。薙が髪の毛を結うのを嶺は黙って見つめ、彼の言葉を待つ。
「──帰るよ。でも、これだけは言っておくからな」
なんだ? と問い返す嶺に「戻ってきていいだろ?」と薙は問う。
「いや、だからな」
その頃にはいないんだ──と続ける前に「すぐに帰ってくるッ!」と薙は叫んだ。




