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40/44

40 作戦

今グラストミアは、木に寄りかかって息を荒らげている。けがが悪化したとかではなく、これは作戦だ。

まさか乗ってくれるとはな。理由をきいたら


『あの犬っころ、反応面白いんだよ』


とのこと。

性格悪いよなホント。嫌いじゃない。

作戦は特にひねったものじゃない。グラストミアの芝居が拝めるだけでも儲けもんだが、その上ケルベロスがあたふたする様を見られるなら、もう万々歳だ。

俺は近くの木に登り、息を潜めている。良いところで仕留めるためだ。

ちゃんとした理由もある。いかにおつむが残念と言えども、クリスタルの力を使う相手をただで仕留められるとは、俺も思っていない。動揺を誘い、楽に終わらせるのも目的の1つだ。本当だよ?


「おらああああ!! 見つけたぞテメェ!!!」


今回のターゲットは……そう、元魔王軍のケルベロスさんです!

見つかるまでに1時間ちょいか、案外早いな。


「ケル……ベロス……」


グラストミアが苦しそうに奴の名を呼ぶ。ノリノリじゃねえか。名演技だわ。


「はっ!! 虫の息だなあグラストミアさんよお! 俺をさんざん馬鹿にしたこと、後悔してんじゃねの?」


「そう……だね……後悔、してるよ……」


始まるぞ……


「こんなことになる前に……君にちゃんと、思いを伝えておけば良かったって…………」


「……は?」


あっぶね、あっっっぶね。吹き出すところだった。

ケルベロスのあの素っ頓狂な顔。グラストミアの少し赤くなった顔。名女優過ぎるだろ。


「最後だから、言うよ……

僕は……君が魔王軍に来た時から、君のことが……」


「ちょっ!! ちょっと待て!!!」


止めたああああああ。根性無しめ。いや、まあわかるけどさ。ちょっとした恐怖だろうな。


「だって、おまっ、え!?」


「最後まで言わせろよ……勇気、出したんだから……」


笑う笑う。ダメだ、耐えろ俺。もうちょっと、もうちょっと泳がせるんだ。


「いや、そ、今までそんな……

そ、そうだ! テメェ俺のことずっとボコボコにしてたじゃねえかよ!! 」


「あれは、その……は、話しかけたかったけど、照れくさくて……」


嘘が苦しい! あとキャラ崩壊がひどい。

これは気づくんじゃねえか……?


「そ、そう……か……」


騙せた……マジかよ……

そろそろ大詰めかな。


「ケルベロス」


「は、はいっ!」


「今度は、ちゃんと聞いて……」


もはやケルベロス顔青いよ。ほっといても倒れそうだなアレ。


「僕は……君のことが……」


「は、え、ちょっ、待っ……」


「ちょっと失礼」


俺参上。ケルベロスの顎を力いっぱい殴る。意識を失ったケルベロスは、その場にぶっ倒れた。


「遅いよ。もうちょっと早くて良かっただろ」


「悪い、面白過ぎて」


手早くクリスタルを奪う。身柄はグラストミアに任せよう。ともあれ、これで


「クリスタル4つ、全部集まった」


「良かったじゃん。

それじゃ、ケルベロスは回収するから」


「おお、協力ありがとな。次会う時は敵ってな」


踵を返し、歩き出す。リリィに良い報告ができる。

ちょっと急ごうかなとか考えていたら、背後から声がかかった。


「あのさ」


「あ? どうした」


「……なんで治療してくれたの」


ん? ああ、背中の傷か……なんでって……


「そりゃ、一時的とは言え味方だったわけだしな。

当然のことだろ……

…………って言いたいところだが、それはまあ建前。

なんかほっとけないっつうか……初めて会った時からさ、なんでかお前が気になっちまって……俺にもよくわかんねえ」


「何それ……僕の告白ごっこの真似?」


「うるせえわ。黙ってとっとと帰れよ」


「はいはい。…………ありがと」


そう呟き、いつぞやの如く黒い穴に消えるグラストミア。さっきのは本当のことだ言わなくていいかとも思ったが、何故かあいつには隠し事をしたくない。

…………やめた。めんどくさいことは考えないようにするのが賢い生き方だ。


さて、リリィと合流したら次に向かうのは


魔界だ。

こんにちは

小夜寝草多と申します。


今までで1番ニコニコしながら書いた話です。

番外編的にショートストーリーをTwitterとかで呟こうかなとか思いました。ショートストーリーというか小ネタになると思いますが。

書いてて楽しい、面白い、心が動くものを書きたいものです。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

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