32 炎と光
「<飛燕>!」
ガルーダの得意魔法なのだろう。
中級と言いつつ相当な威力。
「炎の柵の維持に魔力を割きすぎだ。
この程度の威力では、私に届くことはない」
エルンが魔法を使わない……?
……ああ、元から仕込んであるとかそういうオチか。
ガルーダの魔法は、エルンに届く直前で見えない壁に阻まれて消えた。
「やっぱ小細工じゃねえか!!」
まあ、俺は特攻以外にすることは無い。
短刀を握り、駆ける。
「愚かだな。
魔法による肉体強化もせずに突っ込むか。
<紫苑>」
シオン!?
早速名前使ってんじゃねえよ!
じゃあ、あの黒い光が……
「あっ、ぶねえな!!」
1度後ろに下がる。
当たったらアウトの魔法とか、やりづらっ。
「<肉体強化>、ユウタさん!」
「サンキューリリィ!」
体が更に軽い。
今もガルーダは魔法を撃ち続けているが、見るからにつらそうだ。
「<重力破砕>!!」
リリィも魔法で攻撃を始める。
初めて聞く魔法だ。名前は怖い。
「重力……空間魔法の応用だな。
その歳でこの魔法を使うとは、私の弟子に欲しいくらいだ」
エルンの周囲の地面が沈み込む。
本人は至って平然としている。
魔法使い2人に気をとられてるな。
まあ、魔法を使えない俺が陽動に回った方が良いんだろうが、
「とりあえずくらえ!」
「見え見えだ」
顔目掛け拳を振るが、難なく避けられる。
……ん?
「<彼岸花>」
「あっちぃ!!」
炎が! ぶわあって! あっつい!
くっそあのジジイ……
だが、対策(仮)みっけ。
「ガルーダ、リリィ、奴の防御は
対魔法用だ」
「ど、どういうことですか?」
「今まで微動だにせずお前らの魔法を防いでたあいつが、俺の物理攻撃は、避けたんだ。
あいつの防御魔法は、魔法専用ってことだろ」
「確証は?」
「無い」
質問したガルーダが苦い顔をする。
「やってみる価値はあんだろ」
「…………わかった。
俺が次の魔法を撃ったら行け」
リリィがガルーダの魔力を回復する。
何やら2人で作戦会議をしているようだ。
俺は敵の警戒。
エルンの笑みは消えない。
「…………<炎帝>」
視界を埋め尽くす炎の渦。
魔法の後ろにいても、すごい熱だ。
「ほう。
本当に成長したな。修得したとは」
余裕だな。
言われた通り、魔法で死角になるように走る。
「<空間収縮>!!」
リリィの声?
炎がエルンの周囲に留まる。
俺のことはもう見えないはずだ。
「うおらああああああああ!!!」
短刀を振り下ろすタイミングで炎が消えた。
良いタイミング! 当たっ
「待っていたぞ。
暗殺者殿」
「ユウタさん!!」
黒い光に、目が眩んだ。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
この回の戦闘シーンは、すごく楽しく書けたような気がします。
往々にして戦闘シーンは苦手だとのたまってきまし
たが、ここにきて良いものだなあと思います。
スピーディなのが良いですね
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




