33 危機
「はっはっはっは!
魔力の隠匿が下手すぎるぞ暗殺者殿?
それをカバーしようとしたのだろうが、魔法使い共も状況把握が苦手なようだな」
「ユウタさん……!
ごめんなさい……ごめんなさい……」
「ユウタ!」
「うるせえぞ2人とも。まだ何ともないから騒ぐな」
急いで下がる。
強がっているわけじゃない。本当に何ともない。
何とも…………
「ゲホッ」
うえ、血だ。健康そのものの人生送ってたから、
吐血は初めての経験だ。
「ユウ……!」
「騒ぐなっつったろ。
ゲホッゲホッ…………解除方法はあんのか」
「ま、魔法は術者の生命力を糧にしています。術者の命が魔法を維持できないくらいまで衰弱すれば……」
なるほど。うえっ、気分悪い。
思ったより進行早いんだな……
「私の<魔聖壁>が物理攻撃を防げないのに気がついたのは褒めてやる。
だが、物理攻撃を得意とする暗殺者がそのざまだ。
魔法強い共は恐るるに足らん。
くくっ、はははははは!!
無様だな暗殺者殿!」
遺跡に響くエルンの笑い声。
勝利を確信した笑い。
人を思うってのは怖いな。人をこんなに強くする。
「……悪いな、ガルーダ…………」
「何を弱気になっている! まだ……」
「お前の師匠、生け捕りは諦めるわ」
絶対に死なねえよ。
もう1度沙由里に逢うまでは。
とは言え、ガルーダには悪いな。
今まで生け捕りにしようと頑張ってたんだが……
ちょっとこれは緊急事態だ。
「ゆ、ユウタさん……?」
「勢い余って殺しちまうと思う。
時間が無い。もう終わらす」
「貴様、一体何を……」
跳ぶ。
ここは四方を壁に囲まれてる。立体的な動きをしても、落下時間とかの無駄が生まれない。
エルンの背後から殴りかかる。
この速度だ。力を入れなくても相当な威力が出る。
命中。自分でもよくわからないくらい速いから
狙いは甘いな。当たったのは……右肩か。
「あぐ、ああああああああああ!!!
く、肩を、貴様っ、その状態でどうして……!
くそっ! <溶赤壁>!!」
溶岩の盾か。
いくつもの盾がエルンを取り囲む。
厄介かと思ったが
「脆いな、魔導師殿」
短刀で1撃。盾を粉砕する。
本気の蹴り。今度はきっちり腹に入った。
「かっ…………!」
声も出ねえか。このままとっとと……
「うっ……ゲホッ! ゴホッ!!」
「ははははは……もう、終わり、だ……
貴様は死ぬ…………絶対に…………」
「死な、ねえ……絶対に…………!」
エルンが更に魔法を使おうとする。
くそっ!
お前の遊びに付き合ってる時間は無いんだよ……!
「<時空破壊>!!」
エルンの魔法陣が歪み、魔法は出ない。
突き出していた腕までひしゃげている。
「ぐおおっ!!
このっ……小娘がああああああああ!!!」
エルンの標的が変わる。
別の魔法陣を出現させたらしい。
だが、
「見苦しいぞエルン!!」
もう1人の魔法使いの怒号が、光と共にエルンに刺さる。
炎の槍が、エルンの胸を貫いていた。
「あ、が…………貴様らあああああああああ!!!」
「失せろ」
エルンの首を、はねた。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
主人公のピンチというものは、ハラハラするものです。それが良い! という方もおられると思いますが、私はいかんせんノミの心臓なので、厳しいものがあります。
ですが、このピンチをどうするんだろう……とワクワクするのもまた事実。私はいったいどうすれば……。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




