27 魔法の話
「大丈夫かリリィ」
「ゆ、ユウタさん冷静すぎます……
ま、<魔導師>って、本当に…………?」
「嘘をついても仕方が無いだろう。事実だ」
俺だってそこそこ驚いている。
自分も最上位職種だから、イマイチすごいって感じがしないだけだ。
しかし、<魔導師>とか言うからもっと歳いってるかと思ったが、案外若いな。
「俺は、97年前にあの<カゴ>を作った」
「は!!?」
「うわぅ、びっくりしたぁ……」
俺の声にびっくりしてる場合じゃないだろ。
ギルドマスターもそうだが、この世界の寿命ってどうなってんだ?
魔法使いは皆長生きなのか。
てことは、
見た目12、13歳にしか見えないリリィも……
「な、なあリリィ。
お前、何歳だ…………?」
「へ? えっと……今年で15歳になります」
あれ? 基準がさっぱりわかんねえ。
ガルーダだって20歳そこらに見えるんだが。
これも魔法の力なのか……?
でもギルドマスターは……
「いつまで余計なことを喋るつもりだ。続きを話すぞ」
あ、話の途中だった。
だって驚いたから。
「あの<カゴ>は、<シオン>の村への侵入を防ぐために作った」
「ちょっとタイム。
その<シオン>ってのは何だ」
「貴様らも先程見ただろう。
俺が焼いた"アレ"だよ」
「それはわかってる。
あの男が、何が起こったのかは知らねえが
突然化け物みたいに噛みついてきた。
"アレ"を<シオン>って呼んでんだろ?
俺が知りたいのは、どういう原因で、どういう仕組みで<シオン>が生まれるか、だ」
まさか、これもクリスタルのせいとか言わないよな。
ギルドマスターは、凶悪なモンスターが近くにいる、
としか言ってなかったぞ。
<魔法の都>の件があるから一概にどうとかは言えねえけど……
「シオンは、1度死んだはずの人間を蘇らせ、意志とは関係なく人を襲わせる魔法……
俺達はその魔法、被害者を総称し、シオンと呼んでいる。
シオンの魔力に侵入された肉体は、およそ10分で死に至る。
そして蘇り、肉体の維持のために人間の肉と魔力を探す。早い話が人を喰い、結果シオンが増える。
もう既に近くの村が2つ滅び、そこの村人が遺跡に入って行くのが確認されてる。
クリスタルが不可思議な現象を起こすのは間違いないが、シオンは十中八九人為的に生み出されたものだ」
完全にゾンビじゃねえか……
肉体の維持と繁殖を同時にやってんのか。
でも喰われた方は体の一部が……
やめよ、気分悪い。
「で、でも、あれが魔法なら近くに術者がいないと変ですよ……」
このテの話になると全然口を挟めねえ。
しばらくリリィに任せよう。
「術者がいるのは間違いない。
だが、近くにはいない」
「あ、ありえません!
それじゃあまるで、魔法が自律して……」
「そうだ。
あれは世界唯一の自律魔法成功例。
それ以外に考えられん。
魔王軍にそこまで腕の立つ魔法使いはいない。
故に術者は完全に正体不明だ」
「そ、そんな……」
「おいおい、ちょっと変じゃねえか? その話」
思わず割って入っちまったが、
俺にも思うところがあるんだ。
「魔法が術者から離れられないってんなら
このリングはどうなる。
今だって制作者とはかなりの距離があるはずだ」
本題から少しずれるようだが、案外重要なことだ。
自律魔法が本当に未知のものなのか。
実はリリィやガルーダがいれば対応できるものなんじゃないか。
単純に興味があるのも事実だが。
「魔法っていうのは、制作者=術者、ではないんです。
ユウタさんのリングの場合、制作者はギルドマスターですけど、術者はユウタさんになるんです」
いやいや、制作者と術者の違いはわかったが
俺魔法使えないんだが?
「現存する魔法のルールの裏をかいた代物だ。
リングの血液が、必要な時にだけ術者に魔力を供給させる。敵の討伐や金銭のやり取りといった際にな。
実際革命的だったから、
考案者である魔導師エルンは今でもちやほやされてる。
100年前に突然姿を消したがな」
へえ……
魔法ってのも万能じゃないんだな。
100年前の革命家、魔導師エルン。
相当頭柔らかかったんだろうな。
「エルンは、俺のかつての師でもある。
エルンの教えが無ければ、カゴを作ることはできなかっただろうな」
「そ、そういえば、大丈夫なんですか?
あんな質の良い魔法を延々発動し続けて……
魔力が切れちゃいますよ……?」
「心配いらん。
俺の魔力量はエルンを超える程だ。
カゴの存在、威力を維持しながらでも
中級魔法程度なら連発できる」
流石魔導師ってところだな。
いいなあ魔法。
リリィも目が輝いてるな。
リリィも相当すごいと思うんだが、やっぱ魔導師とは違うもんなのか。
「だが、カゴを維持しながらの遺跡攻略は無理だった。
カゴで囲んである遺跡の中に、シオンの術者がいるはずなんだが……
うまくいかん。
そこで貴様らに頼みがある」
まあ、わざわざ呼び止めてこの話をしたんだ。
当然の成り行きだな。
どっちみちクリスタルは手に入れなきゃいけねえんだ。
沙由里を蘇らせなきゃならねえんだ。
もちろん答えは
「遺跡攻略を手伝ってほしい」
イエスだ。
こんにちは
小夜寝草多と申します。
今回は
比較的、説明的な文章になっています。
長文が苦手な方は読み飛ばしていただいても一応問題ありませんが、個人的には是非読んでいただきたいです。
言葉足らずかもしれませんが、脳内補完していただけたら幸いです。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




