20 都の住人
「くそっ! 走るぞリリィ!!」
「は、はい!」
迂闊だった。
もっと早くから警戒しておくべきだった。
次からは絶対油断しねえぞ!
「グルルル…………ワウッ!!」
「犬まで敵かよ! おらあっ!!!」
突進する犬を全力で蹴り飛ばす。
リリィの体力はどれくらいもつ?
この現象を解決するにはどうしたらいい?
「広場の大道芸人をどうにかするしか……
…………! ちくしょう!!!」
元の道には、既に都の住人がひしめいていた。
建物の窓や屋根にも人が……
住人が操られた人間である可能性が拭えない限り殺しは避けたい。
「リリィ! 砂漠の時みたいに相手の動きを鈍らせられないか!?」
「む、無理、です……
対象が多すぎて、カバーし切れ、ません!」
リリィもきつそうだ。
しゃあない。
「リリィ、しっかり掴まってろ!!」
「へ? ……へ!? ひゃあっ!?」
リリィを抱きかかえて後ろに跳ぶ。
建物の壁、人々の肩を踏み越えて進む。
肩なら、けがはしても死にはしないはずだ。
「ひやああああああ!」
「うるせえリリィ! ちょっと黙ってろ!」
「〜〜〜〜!!!」
涙目で口を閉じている様はすごく滑稽だった。
すまんリリィ。後でなんか奢るから。
広場が見えた。……広場には人がいないのか?
「よっしゃ! 到着だ」
「こ、怖かった……ユウタさんが…………」
「悪かったって……
おい!! 大道芸人さんよお!!」
できるだけ強い口調で語りかける。
相変わらず愛想の良い三日月は貼り付いたままだ。
イライラするぅ。
「聞いてんのかお前!!
黒幕のお前がクリスタルを使って人々を操ってるんだろ!
クリスタルを渡せばけがしないで済むぞ!」
「俺が黒幕っていうのは正解。
ピンポンピンポーン! おめでとー」
男とも女ともつかない、
強いて言えば少年のような声。
人をおちょくるような態度に拍手。
俺はああいう奴が大嫌いだ。
「オーケーオーケー……
両手両足骨折くらいは覚悟しとけよ……」
「ユウタさんが怖い……」
今は見逃せリリィ。俺は絶対にあいつを泣かす。
「でも……2つ違うなあ。
1つ、俺は人々を操ってるんじゃない。
あれは土からできた人形だよ。
律儀に殺さないようにここまで来たみたいだけど、無駄だったね。」
本当にな。ぶった切ってくりゃ良かった。
「そして2つ……」
大道芸人の足が地を離れる。
そのまま5メートルほど浮き上がり、
さっきにも増して楽しそうに笑った。
「俺がクリスタルだ。」
こんにちは
小夜寝草多と申します。
最近リリィがかわいいです(主観)。
書いてて自分でほんわかしております。
以前も後書きで書きましたが、各キャラクターには必ずcvをつけ、脳内変換しています。
皆さんも是非、思い思いの声で再生してみてください。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。




