↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し活サークルの事件簿  作者: 竹間単
■第一章  姫の私物が盗まれた!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/21

【side 鉄堂哲郎】1-1

【side 鉄堂哲郎】



 俺は推し活サークルのサークル長であり、鉄道オタクだ。

 そして姫香ちゃんのメッセージカードを盗んだ犯人でもある。


 でも違うんだ。いや、盗んだことは事実なのだが!

 俺はあれが、姫香ちゃんの推し俳優であるタケルンからのメッセージカードだなんて思わなかったんだ。


 今日部室に来た俺は、置きっぱなしになっている姫香ちゃんの鞄にラブレターらしきものが入っていることに気付いた。

 だから、てっきり兄小田が姫香ちゃんの鞄にラブレターを忍ばせたと思って……だって前から兄小田は姫香ちゃんのことを狙っていたから。

 兄小田から直接聞いたわけではないが、兄小田の姫香ちゃんに対する態度を見ていれば分かる。姫香ちゃんは今年入ったばかりの新入生だが、兄小田と俺は同じサークルで二年も一緒に過ごしている。今年で三年目だ。

 兄小田の姫香ちゃんに対する態度は、卒業した女の先輩たちに対するものとは明らかに違う。絶対に姫香ちゃんに惚れている。

 ……おっと、逸れた話を今日の出来事に戻そう。

 今日、俺が部室に来たとき、部室の中にはヘッドホンをして配信に夢中になっている徳佐と、ぼーっとしている兄小田がいた。

 だから、徳佐の隙をついて兄小田が姫香ちゃんの鞄にラブレターを忍ばせたと思ったんだ。

 まさか兄小田に抜け駆けをされるなんて、と思っていたら、急に兄小田が走って部室から出て行った。

 今しかない、と思った。

 俺は兄小田が部室におらず、徳佐が配信に夢中になっているタイミングで、姫香ちゃんの鞄から兄小田のラブレターを盗むことに成功した。

 実際にはそれは兄小田のラブレターではなく、タケルンからのメッセージカードだったわけだが。

 なぜ盗んだかというと、それはもちろん、俺も姫香ちゃんのことが好きだからだ。

 卑怯だとは思ったが、ラブレターを奪って兄小田の告白を阻止しようと考えたんだ。

 それにしても、我ながら愚かな勘違いをしてしまった。

 メッセージカードの中に「健」という文字が見えたから、てっきり兄小田の出したラブレターだと思い込んでしまったのだ。

 だって兄小田の名前は、健(けん)だから。

 姫香ちゃんの推し俳優のタケルンが「健」と書いて(たけし)と読むなんて知らなかったんだ。今さら事実が分かったところでどうにもならないが……。

 そんなこんなで、俺は今、超絶大ピンチだ。

 なぜなら俺の鞄の中には、姫香ちゃんの鞄から盗んだメッセージカードが入っているから。

 ……と思っていたのに。



「わーい、メッセージカードがいっぱい……って、なんで全員メッセージカードを持ってるの!?」


 これは一体、どういうことだ!?

 俺たちは三枚のメッセージカードを机に置いて、お互いのことを見た。全員が全員、混乱した顔をしている。


「どうして鉄堂先輩と兄小田先輩もメッセージカードを持っているんですか!? もしかして二人もタケルンのファンクラブ会員なんですか!?」


「ファンクラブ会員? 何のことだお?」


「あっ、いえ、別に、タケルンからのメッセージカードがファンクラブ会員全員に配られたものだということではなくてですね、そんなことをボクが知っているわけがないですし……あの、何でもないです……」


 徳佐が目を泳がせた。

 ……ああ、なるほど。

 姫香ちゃんは少し思い込みの激しいところがあるから、タケルンが自分にだけメッセージカードをくれたと考えているみたいだが、実際のところは大量にばら撒かれたカードの一枚に過ぎなかったということだろう。

 とはいえ、推しからのメッセージカードが大切なものであることに変わりはないが。


「あれ。でも兄小田先輩の鞄から出てきたメッセージカードは、タケルンからのものではありませんよね?」


「そうなのか? これにも『ひめるんへ。I LOVE YOU 健』と書いてあるが」


「タケルンのメッセージカードには『いつも愛をありがとう。健』と書かれているはずです」


 徳佐がやたらとタケルンのメッセージカード事情に詳しい。カードの文面まで知っているなんて。

 それにタケルンからのメッセージカードを徳佐も持っている……つまり、そういうことなのか!? 徳佐もタケルンのファンだったのか!?

 そんなことはこれまで一度も言っていなかったのに……まあ、男がイケメン俳優のファンクラブに入っているとはなかなか言い出せないか。

 そんなことで差別をする気はさらさら無いのだが、本人からしたら言い出しにくいことなのかもしれない。

 誰が誰を好きであろうと、何を好きであろうと、推し活サークルのメンバーが否定するわけはないのに。


「あにおだのこれは、姫のカードじゃないよ。だって姫はタケルンに『ひめるん』なんて呼ばれてないもん」


 全員の視線が兄小田に集まったところで、兄小田は大きく息を吸った。そしてヤケを起こしているとも受け取れるような大声を出した。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。