↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
推し活サークルの事件簿  作者: 竹間単
■第一章  姫の私物が盗まれた!?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/19

【side 徳佐翼】1-1

【side 徳佐翼】



 ボクは小さい頃から特撮番組が好きで、歴代ライダーの変身ベルトをコレクションしています。

 普段は棚に飾っていますが、たまに装着して変身もします。もちろんどのライダーの変身ポーズも完璧に再現できます。特撮オタクですから。

 だからその辺の、イケメン俳優目当てに特撮番組を見るライトなファンとは違うんです。

 入りはイケメン俳優なもののその後特撮自体にハマる人に関しては大歓迎ですが、目当てのイケメン俳優が出演しなくなった途端に視聴をやめる人たちとは明確な線引きがしたいところです。そういう人たちとボクは全く違う存在です。

 全く違う……のですが。一人だけ、とんでもないイケメン俳優がいたんです。

 それがタケルンこと竹城健です。

 彼は特撮番組に一話限りの敵キャラとして登場し、圧倒的な表現力と存在感、それでいて主役は食わない絶妙な演技を披露しました。その功績が評価されたのか、しばらくすると、後から主人公たちの仲間に加わる追加キャラという美味しい役をゲットしていました。

 演技力はもちろん、本人がバイク乗りのため、バイクに乗っているところもとてもカッコイイんです。ちゃんとバイクに乗れる人の乗り方なんです。

 それでいて、タケルンはあの特撮番組がテレビ初出演だったというから驚きです。

 ええ、ええ。ボクは特撮オタクであると同時に、タケルンオタクなんです。しかも古くからのファン、いわゆる古参ファンというやつです。だって彼は老若男女に愛される俳優です。魅力が溢れて止まらないんです!

 ですがイケメン俳優に熱を上げているのはちょっとだけ恥ずかしいので、みんなには内緒にしています。

 そしてタケルンオタクゆえに、ボクは知っているんです。

 姫香ちゃんが貰ったメッセージカードが、ファンクラブ会員全員に配られている物だということを。

 もちろんボクも持っています。肌身離さず……あれ。

 泥棒を探すということは、荷物検査をやります、よね?

 どうしましょう!?

 姫香ちゃんはあれを、自分だけに送られた世界に一枚だけのメッセージカードだと思っているので、ボクのカードを見て自分の貰ったカードだと勘違いするかもしれません。

 そうしたらボクが泥棒にされちゃうかも。そんなの困ります。

 助けてヒーロー……。



「姫香ちゃん、メッセージカードの見た目はどんな感じなんだ?」


「えっとね、どこかのお城のイラストが描かれたカードに、タケルンからのメッセージが印刷されてるの」


 うわあ。ボクも、ものすごく見覚えのあるカードです……。


「ふむふむ。そのカードには、姫川氏の名前やタケルン氏の名前は書かれてないのかお?」


「メッセージカードは封筒で送られてきたの。だから住所と名前は封筒に書かれてたんだ。今日大学には、封筒から出したメッセージカードだけを持ってきたんだよ」


「なるほど。宛先の書かれた封筒はこの場には無かったのか」


「あっ、でもメッセージカードの文面は『いつも愛をありがとう。健』だったから、タケルンの名前は書いてあるよ」


 やっぱり姫香ちゃんが持っていたのは、姫香ちゃん一人にではなくタケルンのファンクラブ会員全員に送られたメッセージカードです。

 ちなみにカードに城のイラストが描かれているのは、タケルンが城オタクだからですが、姫香ちゃんは知っているのでしょうか。最近タケルンのファンになったらしい姫香ちゃんは知らないかも。

 いえ、古参振りたいわけではありませんが!

 ……って、そんなことはどうでもいいんです。

 ボクは今、大ピンチなんです。ボクの鞄にも、姫香ちゃんが失くしたものと同じメッセージカードが入っています。

 そりゃあ持ち歩きますよ。ファンクラブ会員全員に送られたものだとしても、推しのタケルンから貰ったメッセージカードなんですから。

 でも姫香ちゃんの言うように、カード本体には宛先が書かれていないので、ボクの持っているものがボクの貰ったカードだと証明する方法がありません。

 こうなったら、荷物検査が行なわれる前に姫香ちゃんのメッセージカードを見つけるしかありません!


「姫香ちゃんが部室に来たときには、確実に鞄の中にメッセージカードが入っていたんですか? 家に忘れてきたという可能性はありませんか?」


 もしそうなら、一番平和に解決するのですが……そんなに甘くはありませんでした。


「それはないよ。みんなが来る前に、姫、部室でメッセージカードを眺めて一人でニヤニヤしてたから」


「ニヤニヤしていたんですか……」


 気持ちはよく分かりますが。

 ここ数日、ボクもあのメッセージカードに元気をもらっていましたから。


「とっくんは何か見てない? 姫の次に部室に来たのはとっくんだよね?」


「なぬ? 拙者が部室に来たときには、姫川氏はいなくて徳佐氏だけがいたんだお」


「姫は教授に呼ばれたから、一度部室を抜けて、教授の研究室に行ってたの」


「俺が部室に来たときには、兄小田と徳佐がいたな。姫香ちゃんはいなかった」


 ……あれ。これって、もしかしてボクが疑われてます?


「確かに今日、ボクは部室に一人っきりの時間がありましたよ!? でもそれだけでボクを疑うのは酷くないですか!?」


「拙者たちはまだ何も言ってないんだお」


「後ろめたいことのある人は、発言すべてが自分への攻撃に聞こえてしまうらしいぞ」


 確かに勘違いされそうなカードを持っているという後ろめたさはありますが! でもボクは、犯人ではないんです!

 しかし犯人ではないことを証明する方法はありません。荷物検査をされたら、ボクはおしまいです。

 どうしようと頭を悩ませるボクを助けてくれたのは、被害者のはずの姫香ちゃんでした。


「姫はとっくんが盗んだなんて思ってないよ。とっくんはずっと部室にいたから何か見てるかも?って思って聞いただけだよ」


「なんだ、そういう意図だったんですか……」


 疑われている気がしたのは、鉄堂先輩が言っていた通り、ボクに後ろめたいことがあったからのようです。

 ボクは犯行の瞬間を目撃したことを期待されていただけのようです。ですが、役には立てなさそうです。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。