八話
家に帰ったはずの俺は何故か遠方の過疎ダンジョンに来ている。
正確に言うと拉致された。
麗華達に。
奴等の言い分だとこのダンジョンを成長させてレベルアップダンジョンにしたいと言う事らしい。
実際問題、麗華達クラスの人達は沢山いるらしいのだが、レベル上げの為のダンジョンが無いため引退する者も多い。
ダンジョンの間引きや緊急時のスタンピードに人員が足りなくなっているのが現状。
それに歯止めをかけるのが俺のダンジョンらしい。
まあ、元々ダンジョンテイムしなきゃいけないとは思ってたけどコイツらの前でするのはなぁ。
「中には一人で行く、シュコー」
「いやっでも
「「一緒に行くよ!」」
「アホ二人は笑いたいためだろうが…たく、ウチのステータスさん基準が厳しすぎるんだよ、シュコー」
「「「?」」」
三人ともが何言っているんだと言わんが表情している。
この感じまさか…
「ステータスって舌打ちするよね? シュコー」
三人は首を横に振る。
「煽ってきたり、周囲を警戒しろ的なこと言ってくるよね?シュコー」
三人は再び首を横に振る。
「俺だけなの!?シュコー」
三人が首を縦に振る。
そんな馬鹿な…。
「スキルに付随している機能だと思うよ、私は」
「俺は、ストレスによる幻聴幻覚に一票」
「レオちゃん警察行こう…」
麗華はまともな意見ありがとう。
タロのは…ないとも言えないのが悔しい。
「ハナ、お前はシバく、シュコー。 人を危ないお薬使ってる人扱いするんじゃねーよ、シュコー」
「なんで私だけぇー」
ハナの頭を軽く叩く。
「じゃあ、行ってくる、シュコー」
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やべぇ、シンドい。
ずっと連れ回されて丁度、十ヶ所目のテイムが終了した。
キャンピングカーの中、マスクを外し机に倒れるようにだらける。
「お家帰りたい…」
何がムカつくってコイツら俺よりも圧倒的にレベル高いから体力お化けなんだよ。
「取り敢えず、今日は終わりね」
麗華の非情な言葉が刺さる。
「麗華さん、今日はって言いませんでした?」
「言ったわよ」
「やだ…」
「明日は一ヶ所だけよ。 それとコア化じゃなくて眷属化の実験」
「……どこ?」
「新宿ダンジョンよ」
「新宿ダンジョンねぇ…!? いや、いや、いや、いや!」
「恥ずかしいの?」
「羞恥心の前に入場料!」
俺でも知ってるぞ、国営ダンジョンで入場料百万円って。
そんな所のテイムとか震えるわ。
「それなら私が払うわ、投資百万円でもお釣りが来るのよあなたのダンジョンは」
「おぉ、そっか…?」
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翌日、新宿ダンジョン入口。
俺は人々の視線を集めている…まあ、いつものフル装備だから仕方ないとして…周りの人達に「シュコーマスク男」って言われているんですが。
握手求められたり、写真求められたり誰かと勘違いされてませんか?
長い列を通り抜け新宿ダンジョンのセーフゾーンに。
ダンジョンの壁に手を付ける。
『ダンジョンテイム確率十一%』
称号無かったら九十九%失敗とか絶対に無理だ。
なんせ叫ばなきゃいけないんだから。
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
『この程度でテイム出来ると? テイム失敗しました』
また出てきやがったなステータス。
お前【ダンジョンテイマー】のスキルに付随しているんだろ?
「………」
無視かコノヤロー!
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
あまりの勢いに声が裏返ってしまった。
『プッ、テイム失敗しましたw』
馬鹿にされてるぅ…
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
喉が…
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
『ようやく、テイム成功しました。 眷属化かコア化を選択してください』
「眷属化で」
『眷属化が完了しました。 初めて眷属化した為【従える者】を獲得しました』
〉レベル九
〉スキル【ダンジョンテイマー】レベル二 【身体強化】レベル一
〉力 七十三
〉魔 九→九百九
〉防 四十七
〉速 六十四
〉称号
【ダンジョンをテイムした者】
【ゴブリンの天敵】
【従える者】
…は? 魔力が九百増えてるんだが…思い当たるのは称号?
【従える者】
眷属の力を使用できる
「……今更だけどダンジョン鑑定してみるか」
〉ダンジョン名称:新宿ダンジョン
〉ランクB
〉深度G
〉全五十階
〉徴収魔力 一週間:900
〉ダンジョンコア吸収 魔力9000アップ、最大魔力10,000アップ
今更ながらすげぇな……ウチとは天地の差だな。
周りがざわつき始めてるな。
身体強化からのダッシュ。
「シュコー、シュコー、シュコー」
あれ? 無茶苦茶、自分が速いと言うよりも周りがゆっくりになってる。
よし逃げるぞ。
ダンジョンを抜けると身体強化も解除された。
急ぎキャンピングカーに。
「あっ、おかえりー」
タロがアイスを方張りながら俺を迎える。
俺マスク外しタロの隣へ。
「水くれ」
ガラガラになった俺の声、正直言って声を出すだけでも激痛が走る。
貰った水を一気に飲み干す。
「あ゛ーあ゛ー」
ガラガラになった声は元に戻らなかった。
スマホを取り出しメモで『テイム成功したが喉が死んだ』とタロに見せる。
「マジかぁ、お疲れ様。 のど飴食うか?」
頭を縦に振りのど飴を貰う。
おお…なんか効いてる気がする。
「声出してみ」
「あー、あーっ!? すげぇー痛くない。 この、のど飴って何? 明らかにおかしいよな」
「のど飴っていうのは嘘だ。 ポーションドロップって言う傷薬」
「……お高い?」
「いや、ハナが作ったからタダだぞ」
「ハナが!?」
あの人を小馬鹿にするアホが?
高校の時頭悪すぎて卒業式の時、校長に奇跡が起きたと言われたあのアホが?
「ひでぇな…全部声に出てたぞ」
「失礼」
タロはアホぽいが地頭は良い。
ハナはガチの人だ。
麗華は三年間学年トップ。
俺は中の上くらいだ。
「しかしハナがなぁ」
「アイツその薬学会では世界的権威なんだぜ。 初めて人工的にポーションを作ったのもハナだしな」
「あれって何処ぞの薬剤会社が作ったんんじゃ」
「アイツが面倒だからって丸投げした」
「それは納得だわ…ってあの二人は?」
「なんか用事あるって先に帰ったぞ」
「…自由だな」
俺、拉致されたのに!
「運転手はタロがか?」
「おう」
「んじゃ、よろしく」
俺たちは帰宅の途に着いた。
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ダンジョン掲示板では『シュコーマスク男』が新宿ダンジョンに現れたと話題になっていた。
しかも壁に向かってテイムと叫ぶ姿と共に。
本人が知る由もない所でバズっていたのである。




