七話
どうやら俺のダンジョンは異質だったようだ。
本来ダンジョンの深度は階層が浅かろうが深かろうが変わらないらしい。
そんな中落とした俺の異常発言。
始まったのは俺に対する取り調べだった。
勿論、下手人、私。
取り調べ担当、麗華。
「どう言う事かしら?」
「何に対して?」
「あなたのダンジョンよ…どの位、異常なことかわかってる?」
「………?」
いや、知ってるけど無知なフリを決め込むことにした。
「他のダンジョン行ったことは?」
「昨日、行ったぞ。 うちとは違って深度Zだったけど」
「スキルね。 あなたはどんなスキルを得たの?」
「身体強化」
嘘ではない。
実際に持ってるから証明もできる。
「そう…レベル五は…無理ね。 何が要因なのかしら…」
「コレってダンジョン庁に知らせるべき?」
「今はやめといた方がいいわ。 攻略者も居ないのに急にダンジョンが消える事態が起きてダンジョン庁の上層部から末端まで大忙しだから、後回しになるだけよ」
それ俺のせい…ごめなさい。
ダンジョン庁の人達。
コレからもっと消していく所存であります!
「んで、お前らダンジョン入るの?」
「ええ、あなたの言う通りなら物凄く有益なダンジョンになるわよここ」
「何故に?」
「深度D、E、Fのダンジョンはランクが高いかところが多いからレベル上げに専念すると大赤字になってしまうのよ」
「そんなに?」
「入場料だけでも三人でも時価計算で数百万近く取られるわ」
ほうほう、深度E、深度Fも良いのか。
しかしなぁ。
「数百万近くって暴利じゃないか?」
「素材採取って面で見ればそうでもないのよね…一人頭数千万稼ぐギルドもあるし」
アレか異世界の話でもしてるのか? 俺が知ってるダンジョンの世界が違いすぎる。
俺の知ってるダンジョンは不良債権だぞ。
「………ちょっと泣いてくる」
俺の発言に苦笑いする麗華。
「まあ、明日、私達が覗いてくるわ良いわよね?」
「「オッケー」」
「本当に深度DだったらランクZでも五十万くらい払っても入りたい人とかいっぱい居るわよ」
「嘘やろ…」
もっとダンジョンテイムしなきゃ。
レベル上げる、階層増える、客増える、お金いっぱい。
オレ、ガンバル。
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翌日、ウチのダンジョンに潜っていく三人を見送る。
深度Dだったら二日ほど潜るらしい。
…と、言う訳でまたウチから離れた所にある最低ランクの過疎ダンジョンに来ている。
勿論,マスク込みのフル装備だ。
相変わらず「シュコー、シュコー」言ってます。
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!! シュコー」
『テイムが成功しました。』
「コア化で、シュコー」
『ダンジョンコア化が選択されました。 二十四時間後にダンジョンは消滅します。 その際に発生したダンジョンコアは自動的にメインダンジョンに吸収されます。 あと周りを気にした方がいいですよ』
…スキルが助言を?
なんか寒気がした。
後ろを振り向くと…見覚えのある三人。
「シュコー、シュコー、シュコー」
身体強化からのダッシュ!
エヘッ、秒で捕まっちゃいました。
ですよねー。
プロと素人じゃ天地の差があるからな…。
オレは正座。
目の前には軽装備の三人。
「お前らダンジョン行ったじゃん、シュコー」
「ふぅ、あなた嘘が下手すぎるのよ。 身体強化のスキルを持ってるのは確かだけどなんか怪しかったのよね…秘匿事項のダンジョン消滅も知っていたようだし」
「秘匿事項話しちゃダメでしょう、シュコー」
新島兄妹は俺の姿を見て腹を抱えて笑っている。
あのアホ二人にも気づかれていたのか?
「その姿で正論を語られてもね?」
ぐうの根も出ないと言うのはこの状況を言うのだな。
確かに、現在の見た目ヒャッハー風味の俺です。
「取り敢えず場所を移すわよ、後、そのマスク外しなさい」
「…一応、ダンジョン出て素顔晒せるところまで出るまではつけとく、シュコー」
「なんでかしら?」
「お前ら目立つし、身バレ防止、シュコー」
「そこまでなのね」
「そこまでなの、シュコー」
万が一場合での顔バレは怖いし、コイツら存在がキラキラしてて目立つんだよ。
ここ過疎ダンジョンなのにちらほら人見かけるし。
恐らくこの三人のファンだろうな。
場所は変わってコイツらのキャンピングカーの中。
「豪華だな、シュコー」
「「いや、マスク外せよ。 腹痛い」」
新島兄妹にこの姿はクリティカルヒットのようだ。
マスクを外した俺はソファーに座ろうとしたが麗華に言われるがまま正座をさせられた。
「不服申し立てる。 嘘はついてない、言ってないことがあるだけだ」
「その言ってないことがさっきの奇行?」
「「ブッ……」」
麗華の視線に双子が耐えた。
やっぱり奇行だよな、俺だってわかってやってるんだよ!? だからマスクつけてるじゃん。
「説明して」
「あー、今から言うことアレだからな。 俺、正気だからな」
「「格好は正気じゃないw」」
「麗華さん、あの双子邪魔なんですけど」
「そうね、タロはレオのバイクを乗って帰って、ハナはレオの家まで運転」
「「えーヤダヤダ」」
相変わらずのシンクロ率だ。
コイツらウザい時だけシンクロするんだよな。
「二回も言わせるのかしら?」
麗華の冷めた声。
顔色が悪くなった双子は「Yes mam!!」と言ってそれぞれ指示された行動を始めた。
麗華、怖いってマジで。
将来コイツの旦那になるやつ毛という毛全て抜けるんじゃね。
正座から立ち上がる際、足の痺れから麗華に抱きつくような形になってしまった。
「!?」
「悪い、足が痺れて…」
「い、いいわよ別に」
俺はソファーの腰をかける。
「んで、話の続きなんだけど…麗華? おーい、さっきどっかぶつけたか?」
「はっ、んん…問題ないわ」
ソファーの向かいに座る麗華の耳が真っ赤だったがそれに気づくことはなかった。
「んで、話の続きな」
初めてダンジョンに入った時にスキル【ダンジョンテイマー】を得たこと幾つものダンジョンをテイムしコアとして吸収していること、それがダンジョン庁の騒動の原因と言うことを説明した。
麗華を机を指でトントントンと叩く。
コレは考え事をしている時の癖だ。
「【ダンジョンテイマー】のこと、ダンジョン消滅に関しては理解したわ。 納得いかないのは【身体強化】のスキルを持っていることよ」
レベルには五の壁と言うものがあるらしくレベル五になるまでにはどんなに有望な人でも一ヵ月は掛かるらしい。
言いたくないと言うか説明できない。
「あー、実はなレベル九まで上がってるんだわ」
「は? 馬鹿してるの?」
怖いってマジで!
「馬鹿にしてない。 いやな二回目のレベル上げの時さ角ウサギ狩りをしてたけどレベル四から急に上がらなくなった訳。 んで更に下層のゴブリン狩りに変更した訳。 んで、効率を求めるためにゴブリンに着いて行ったの」
「…今の時点で頭痛いわ。 効率求めるって…はぁ」
「そしたら狭い洞窟? と言うか穴に入って行ったわけよその穴にホームセンターのおまけで貰った対魔物用催涙弾を投げ込んだらドッカン!ドッカン!爆発音やら悲鳴ぽいのが聞こえたわけよ。 んでね訳もわからずゴブリンキング倒しちゃった」
麗華の指トントンが高速になってる。
テーブルにヒビ入ってるよ!!
「んで」
「まだ続くの!?」
「【ゴブリンの天敵】って言う称号手に入れた。 効果がゴブリンに対するダメージが三倍だってさ」
「!? 三倍なんて聞いたことないわよ……」
「あっ、一番大事なこと言い忘れた。 テイムダンジョンはスタンピードのon、off切り替えられる」
「………!?」
「俺が隠した意味わかったでしょ?」
「そうね…最後のは聞かなかった事にするわ。 それ以外はタロとハナにも共有しておくわ、いいかしら」
「おう、ありがとうな」
麗華の指トントンが止まる。
「あなたの言い分では明日のこのくらいの時間にダンジョンレベル上がるのよね?あと深度Eのエリアも」
「前回と同じならって注釈は付くけど」
「そう」
流石の麗華もここまでとは予想してなかったんだろうな。




