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十三話




漸く如月ホールディングスのダンジョンをテイムし終わった俺は世界樹の見えるデッキチェアでコーヒーを飲みながら優雅な時を過ごしていた。

魔力測定器が完成し麗華が忙しくなったから、四日の予定が十日まで伸びたからな。

そしていまの世界樹ダンジョンがこれだ。


〉テイムダンジョン

〉レベル三十七

〉ダンジョン名 世界樹のダンジョン

〉ランクAAA

〉深度AAA〜Z

〉全280階階層

〉魔力198,432/249,076

〉スタンピード 設定off

〉魔法陣 on ランク制限on

〉聖域化 


ランク及び深度、全て最大化となりました。

まさかトリプルAがあるとは思いもしなかった。

如月所属の研究者及び響一さんも狂喜乱舞してたな。


「ふぅ…」

「麗華居ないからって気を抜きすぎじゃないか?」


俺の横にはタロが。

今日の俺のボディーガードらしい。

更には世界樹ダンジョンに一人で挑んでちゃっかりレベル上げてきたらしい。


「うっさい、四日が十日になったんだぞ。 一日くらい楽しても良いじゃないか。 そう言えばハナは?」

「ダンジョンで新しい薬草発見したからそっちに夢中だ」


ランクトリプルAになってから新しい素材のオンパレード。

しかも深度毎に取れるものが違うと来たもんだ。

更にランク制限により自分の力量の階層にまでしか行けないように設定。


まだ流石に深度Bまで行ける探索者は少ないが…。

俺は自分のダンジョンだからトリプルAでも散歩出来るけどな!

二度と行きたくないけど。

寒くて熱いとか意味のわからない世界だった、行ってすぐ戻ってきてポーションがぶ飲みよ。

初めて明確な死を確信したね。


そして麗華がいない今、チャンスと言ってもいい。


ダンジョンステータスから魔力を選択。


〉世界樹の精霊を生み出す(消費魔力100,000)

〉半径100kmまで豊穣(消費魔力200,000)

〉テイマーも自分のダンジョンに挑戦できる (消費魔力100)


二番目は魔力が足りない。

三番目は単純に嫌。 これに関しては麗華にも言ってない。 墓場まで持っていく所存であります。

つまり残るは精霊さん。

おっと指が滑った。


〉世界樹の精霊を生み出す(消費魔力100,000)をポチッとな。


世界樹が金色に輝きその光が集まり人の体を成していく。

タロはいきなりの事態に剣を構える。


「タロ、問題ない。 多分」

「またやらかしたな…お前」


光が消えたそこには薄っすら輝く翠色の髪と目を持つ十歳くらいの少女が一人佇んでいた。


「ふむ、どうやら貴殿が父上のようだな」


少女が俺に向かって爆弾を投下する。


「俺、独身なんだが」

「レオ、そう言う事じゃ無い、一から説明しろ…」


タロが剣を収めながら問う。

俺は世界樹の精霊を生み出した事を伝えると呆れた表情になった。


「お前さ報連相知ってるか?」

「勿論だ。報告、連絡、相談だっけ」

「お前麗華に言われてたよな何か起こす前に報連相って」

「…忘れてた」


やべぇ、何も考えてなかった…何か言い訳を考えなくては…そろそろ処される気がする。


「父上よ忙しいところ申し訳ないが名を貰えぬか?」

「名前? (みどり)で」

「翠ってまた安直な」

「直感が大事なんだよな? 翠」

「精霊を統べるものとして名付け感謝する」


精霊を統べるもの?


「えっと、どう言う意味かな? 翠」

「世界樹の精霊は原初の精霊の頂点に立つ者の事。 すなわち私の事」

「俺が知ってる限り精霊なんてこの世界に居ないけど…」

「父上、安心なされよ。 今から私が四大の精霊を生み出すゆえ」

「安心材料がないし!俺、おじいちゃんになっちゃうの!?」

「心配するのはそこじゃねーだろ!? 精霊って具体的に何をするんだ?」

「では」


タロのことを完全に無視する翠。

精霊にもうざがられてやんの、ぷぷぷぷ。


「待て、翠」


俺はまだおじいちゃんになる覚悟はないぞ。

それにタロが尋ねたこと俺も気になる。


「精霊とは何をするんだ?」

「気に入った人間に力を貸したり、この歪んだ世界の安定化をします」

「歪んだ世界の安定化? それを修正したらどうなるんだ?」

「乱雑に生まれるダンジョンが無くなります」

「よし許可する!」


俺は親指を立てて翠にgoサインを出す。


「だから報連相って言ってるだろうが!」

「タロ…俺はな俺と同じ思いしてる人たちを助けたいんだよ」


ええ、思ってますよ少しは。

本音はただただ怒られたく無いだけです。

何事にも大義名分は必要ですから。


「レオ…お前、怒られたく無いだけだろ」

「タロ、お前って奴は…」


チッ、バレちまった。

そうこう言ってるウチに翠の周りには赤、青、茶、黄の光が生まれる。

光は天へと飛び発ち消えていった。


「おぉ…? どうなった?」


おいおい、証拠がないと怒られちゃうよ俺。


「世界に溶け込みました。 世界が安定すれば私達の目の前へと現れてくれるでしょう。 私も少し休みます」

「う、うん」


翠は光となって世界樹に吸い込まれていった。

…ヤバい。

麗華は魔力測定器の完成版を持っていて暇あれば計測しているのだ。

魔力が100,000も減ったと知られれば…

仕方ない。


俺は暇をやめるゾォォォ!


ポチッとな。

〉テイマーも自分のダンジョンに挑戦できる (消費魔力100)


押しちゃった。

麗華が戻ってきたら確実にダンジョンに送られるわ。

うん、明日のことは明日の俺にと言うわけで今を楽しもうじゃないか………


「なぁタロ君」

「何がだよ」

「ダンジョンって怖いよな…」

「どうした急に」

「報連相だよ。 俺も世界樹ダンジョンに挑戦できる身体になってしまった」

「ご愁傷様」

「そこは頑張ってじゃないの?」

「それは麗華から聞けよ」

「聞けるとお思いで?」

「黙秘する」

「はぁ…憂鬱だ」





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