十二話
響一さんがきた同日の午前中、俺はヘリに乗せられて如月ホールディングス所有のダンジョンに向かっている。
って、軍用ヘリじゃねか!?
如月ホールディングスは軍事企業だったけ?
『麗華さん』
俺はインカムで問う。
『何かしら?』
『俺の記憶違いかな、明日からの予定じゃなかったけ?』
『午前七時過ぎたら翌日よ』
何それ。
そんなルール知らないよ!?
世界の常識に喧嘩売ってるの?
『…あとさ、目の前にいる目がバッキバッキに決まってる方々は?』
『如月ホールディングスのダンジョン研究部門の人達と討伐隊の人達よ。 主にあなたの被害者達よ』
『もしや、スタンピード関係の?』
『そうよ、日夜魔力測定器の作成とそれを守ってきた討伐隊の面々よ。 今回の魔力測定の為の班員でもあるわ』
麗華がインカムを外し俺の耳元に。
「討伐前と討伐後の魔力の鑑定をお願いしたいの」
「テイムは観測後だな」
「ええ、一応、この面々は魔道誓約済みだから問題ないわよ」
ヘリが着陸し到着した。
如月ホールディングスのダンジョンは全面バリケードが貼られていた。
「おぉ、凄いな…」
「管理ダンジョンでは最低限よ、早速行くわよ」
俺は麗華の後、後ろを歩くダンジョンに入った時点でダンジョン鑑定を行う。
〉ダンジョン名称:如月第八ダンジョン
〉ランクA
〉深度D
〉全六十階
〉魔力総量 15,967/19,646
〉徴収魔力 一週間:3,000
〉吸収魔力 魔力15,000 最高魔力20,000
「麗華、魔力総量出た。15,967。 そっちの機器は?」
「こちらは、14,709ですね…調整をお願い…後討伐隊は辺りのモンスターの討伐を」
「「はっ! 了解しました」」
研究員と討伐隊はそれぞれの仕事に取り掛かった。
…落ち着かない何するわけではなくダンジョンの入口に座っているだけ。
〉ダンジョン名称:如月第八ダンジョン
〉ランクA
〉深度D
〉全六十階
〉魔力総量 16,784/19,646
〉徴収魔力 一週間:4,300
〉吸収魔力 魔力15,000 最高魔力20,000
「魔力総量16,784」
「こちらは16,109誤差修正します」
「やっぱりモンスター倒すと魔力総量増えるのね」
「みたいだな。 人が居るだけでもわずかだが上がるみたいだぞ」
「そうなのね」
そんなことを繰り返し三時間ここでのデータ取得は完了した。
後はテイムだけ。
麗華以外は既にヘリへと戻っている。
「麗華も戻っていいぞ。 て言うか、やり辛いからヘリで待機してて」
「仕方ないわね、ポーションを置いていくから…無理しちゃダメよ?」
「わかった」
麗華が出ていった後壁に手を添える。
『テイム確率二十%』
通常ならゼロ%だったとか恐ろし過ぎる。
深い息を吐く。
緊張が凄い。
だってこのダンジョンだけで時価でも数十億円なんだぞ。
まあ,やるけどね。
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました』
「テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!」
『テイム失敗しました。 毎回、同じで飽きた。 別のベクトルのテイムで』
別ベクトルのテイムって…
俺は流れるように土下座をする。
「よろしくおねがいします。 テイムゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
『テイム成功しました』
「コア化で」
『ダンジョンコア化が選択されました。 二十四時間後にダンジョンは消滅します。 その際に発生したダンジョンコアは自動的にメインダンジョンに吸収されます』
高ランクのテイムは相変わらず喉が痛くなる、ポーションを一本飲み干す。
その足でヘリに乗り込みテイム成功したことを伝えた。
「お疲れ様、次の場所に行くわよ」
「はぁ、帰りたい…」
『出発して』
俺の意見は無視ですか。
俺は五月蝿いヘリの中インカムを付ける。
『で、麗華。 魔力測定器の方はどう?』
『まだ百単位のズレがあるわね』
『それは結構なズレだな』
色々見てきたんだが、ランクが高いダンジョンほど最大魔力保有量は多い。
モンスターの深度は関係ない。
化け物みたいに強かろうが、弱かろうが魔力消費に差がないことがわかった。
つまりは、この魔力計測器が出来れば間引きを計画的に行えるし事前にスタンピードも抑えられる。
この事は政府を通じて通告されている。
低ランクダンジョン管理者は大騒ぎらしい。
プロハンターは仕事が増えてウハウハらしいぞ、タロが言ってた。
そう考えるとうちのダンジョンやばかったんだなぁ。
初期残存魔力15だったし。
この【ダンジョンテイマー】のスキル得てなきゃ今頃大災害になってた訳だ。
背筋がゾッとする。
『どうかしたの? 顔色悪いわよ』
インカムを通じて麗華が聞いてくる。
『いや、初期スキル得た事ともし違うスキルだったらヤバいことになってたなって今更ながら考えていた』
『ランクZの深度Cだったわね。 下手したら災害地区に指定されてたかも知れないわね』
『災害地区かぁ…』
実際に深度Bのダンジョンがスタンピードを起こしたことがある。
その地区は某県の市内だったが今でも魔物が闊歩しており災害地区と言われ立ち入り厳禁で厳重に封鎖されている。
たまにバカな配信者が潜入するがもれなく死亡。生きて帰ってきたのは上位のプロハンター達だけだろう。
『今回の機器が出来たら低ランクダンジョン、高深度のダンジョンから配布予定よ』
『如月ホールディングスの仕事か?』
『ええ、日本政府からの受注になるわ。 それに海外にもね』
『コピー商品とかやばくない?』
『出来たとしてもウチのより正確では無いでしょうね。 あなたがいないもの』
うん、そう言われたらそうか。
魔力測定器無しで正確な数値出せるの知ってる限り俺だけだもんな。
再び目的地に到着。
ダンジョンの中に入り鑑定。
〉ダンジョン名称:如月第三ダンジョン
〉ランクB
〉深度E
〉全四十階
〉魔力総量 1,087/4,703
〉徴収魔力 一週間:480
〉吸収魔力 魔力1,800 最高魔力3,400
「魔力残存数1,087。 五分の二まで低下してるぞ」
「機器では1,208です」
「誤差修正、討伐班は作戦を開始」
「ランクは高いけど魔力が少ないな」
「ココは魔導武器の実験場だったからかしら」
「空気中に漂う魔力をエネルギーに変換して使用するとか言うアレか」
ダンジョン管理者になって色々調べた中でも異質な論文だったからな。
正直言ってワクワクした。
論文制作者と語り合いたいものだ。
「その論文書いたのは彼よ」
目がバッキバッキ研究者の一人を指した。
うん、前言撤回。 語り合う事はないだろう。
それに残念なことに魔導武器は封印すべきな物だ。
最大魔力や残存魔力の低下に繋がりスタンピードを誘発する可能性があるからな。
〉ダンジョン名称:如月第三ダンジョン
〉ランクB
〉深度E
〉全四十階
〉魔力総量 1,887/4,703
〉徴収魔力 一週間:480
〉吸収魔力 魔力1,800 最高魔力3,400
「魔力数1,887」
「測定器1,958です」
「誤差100以内まで合ってきたな」
「まだよ、最低でも誤差5〜0まで持っていかないと」
「結構シビアだな…」
「その誤差が一番良いのよ」
…つまりその誤差になるまでこの仕事は終われないって事ですね。
麗華のストイックさを完全に忘れてました。
私、泣いても良いですか?
因みに魔力測定後のテイムは一発で出来ました。
ステータス君にいたく同情されました…。




