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十一話



翌日、早朝四時。

一台のハイヤーが我が家の前に止まる。

ハイヤーから降りる人影。

そのスーツ姿で明らかに堅気ではない強面の顔。 この人こそ如月ホールディングスのトップである如月響一である。


「「「「朝早すぎだろ」」」」


俺、麗華、新島兄妹の四人は声を揃えて非難する。


「すまん、すまん。 いやぁ、どうしても早く会って話がしたくてね」


この人顔怖いがノリは軽いんだよな。

挨拶もそぞろにさっさと家に入る。

新島兄妹は自室に俺と麗華と響一さんは囲炉裏の間に。


「早速だが発言して良いかね?」


俺に対して聞いてくる。


「許可します」


そう答えると響一さんの身体がぽわっと光る。

コレが魔導契約書の効果だ。

許可なく話すと死ぬ。

いや、マジで麗華重すぎるだろペナルティだとしても。


「早速だがダンジョンの魔力測定器が完成した」

「おめでとうございます」

「うむ、めでたいが…正確には未完成なのだよ」

「未完成?」

「ああ、人の魔力測定であれば直接データとして残せるんだがダンジョンとなるとデータが無い」


そっか、ダンジョンのステータスで魔力が見れるのは俺だけだもんな。


「そこでだ、如月ホールディングス所有のダンジョンを麗華と共に回りテイムしコア化で吸収して欲しい」

「へ? いやいや、如月ホールディングスのダンジョンって時価何十億とかですよね!?」

「そうだが?」


響一さんが首を傾げる。

オッサンが首傾げても需要ないし怖いよ。


「簡潔に言うとだな、如月ホールディングスのダンジョン部門を子会社として一本化しその社長を麗華に勤めてもらう。 実務は麗華の兄達が請け負うがな」

「簡潔すぎるわよ…如月ギルドを作ってここを拠点にするのよ」

「どっちも簡潔すぎる…第一に如月ホールディングスのダンジョン吸収してどうすれば良いのか? 第二にデータ集めをするんですよね? 第三にウチのダンジョンが拠点?」


はっきり言って理解が追いつかない。

データ集め以外意味不明だ。


「君のダンジョンランクを最大まで上げて欲しい。 無論それに対する報酬は発生する、実のところウチのダンジョン部門には膿があるようでな…この機会に全てだしきろうかと」

「それと同時にこのダンジョンを拠点にしてギルド街を作るのそこに私達、復帰組、如月ホールディングスの一部、研究者が住むわけよ。 好都合な事に住人の許可もちゃんと得たわ」

「えっと、俺の許可は?」

「必要?」


麗華が首を傾げる。

全くこの親子は…


「まあ、いいけどさ…またあのハードなスケジュールじゃないよな?」


一日十ヶ所、今だに夢に見るほどしんどかった…。


「問題ないわ。 如月ホールディングスの保有ダンジョンは八つだけよ」

「絶対、問題あるだろ…一日に八つとか無理だからな」


身体的にも精神的にもな。

しかも、渡された資料によると全てが新宿ダンジョンを遥かに超えるランクだ。

俺の喉潰れるのは必至。


「魔力のデータ集めもあるから一日二ヶ所が限界よ」


おお、神よ感謝します!



……待て、二ヶ所でも理不尽じゃね?


「もしかして四日で終わらせようとしてます? 麗華さん」

「ええ、勿論よ。 移動にはヘリを使うし、ハナには効果の高いポーションを増産させてるわ」

「可哀想に…」


主に俺が…効果の高いポーション使わせられるほど酷使させられることが確定じゃないですかぁ。


「如月ギルドが発足した暁月にはあなたにも所属してもらうわよ?」

「えっ、俺はのんびりと農家する予定なんですけど」


豊穣を得てから農業にどハマりです。

一瞬でニョキニョキ生えてきたの一回限りだったんだけど、こう毎日伸びゆく植物達、草取りをしてるのが最近の幸せなんです。

正直、世界樹生やしたのも後悔してない。

何時間でも見れる俺の癒しスポットになってる。


「ふっ、冗談でしょ」


鼻で笑われましたけど! 本気なんだけど、まず農家、安定したら数組限定の民宿経営でのんびりするんだ。


「本気ですけど」

「…あなたこの二週間で何やらかしたか覚えてないのかしら?」

「ダンジョンテイムしただけですが」

「そのだけ(・・)が今世界を大きく変えてるのよ」

「日本政府は気付いて無いけど、他国ではあなたの事を気付き始めてるわ。 実際、何人か諜報員を潜り込ませて居る国もいるのよ」

「大袈裟すぎじゃない?」

「…質問なんだけど新宿ダンジョンを意図的にスタンピード起こすことが出来るかしら?」


えっと新宿ダンジョンのステータスっと。



〉ダンジョン名称:新宿ダンジョン

〉ランクB

〉深度G

〉全五十階

〉徴収魔力 一週間:1,200

〉スタンピード off

〉魔法陣 off


うーん、魔力残存数の項目無いな。

『世界樹ダンジョンの眷属でありスタンピード設定offの為、残存魔力は世界樹ダンジョンに依存しています』

来たなステータス君。

スタンピードって俺の意思で出来るの?

『テイムダンジョンであれば可能です』


「……出来る」

「やっぱり、あなたの最初の懸念通りバレたら確実に…」

「そこで、我が如月ホールディングスの出番だ。 政府といえど簡単には手を出せん」


今まで黙っていた響一さんが口を出す。


「コレは私の案件です。 お父様は黙っててください」

「はい…」


麗華、容赦ねぇな。 響一さん明らかにショック受けてるぞ。

まあ、ショック受けてても絵面は怖いけど。


「あなたには、明日からこのスケジュールで動いて貰います」


『一日〜四日 ダンジョンテイム及び魔力観測』


コレはわかる今までコレを話してたんだからな。

問題は次だ。


『五日〜未定 玲央、ダンジョンによるレベル上げ』


そうコレだ。

しかも未定…コレ程、恐怖を覚える言葉があるだろうか?


「レベル上げ…」

「最低でも三十は欲しいわね」

「いや、プロレベルじゃん!?」

「そうね」


軽っ、返事が軽いよ。

それに最近わかったことなんだが世界樹ダンジョンのモンスターは俺に近づかない。

つまりホームである世界樹ダンジョンでのレベル上げは不可能。


「…作物の世話が」

「桜が行います」

「ダンジョンの管理が…」

「ダンジョン外でも出来るでしょう?」

「出来ます」


言われるがまま全部教えたのは失敗だったか…!

逃げ道が全て塞がった。


「……わかった」

「素直に応じてくれて良かったわ」


逃げ道塞いだ人の言葉じゃ無いわ。

まあ、怒られるのが怖くて反論出来ないけど。


「後、装備はこちらで用意するわ。 あなたの装備は色々目立ちすぎてるから」

「よろしく」


響一さんは世界樹ダンジョンを外から見て帰っていった。

結局、何しに来たんだ?


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