表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【不動産】探しているのに無いじゃない~時間をかけ血眼で探しながら、たくさんの有給とお金を無駄にして学んだ家探し~【実録】  作者: roctan


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/11

6 自覚していない自分の望み

 物件を探すことで、自分の内面というか、

 価値観を知ることになります。


 そんなの最初から理解しているつもりでしたが

「頭ではそう思っていても、実際に選ぶのは別」

 というのがあるのです。


 知らず知らずのうちに

 自分自身を欺いている理由の一つとして

「こうあるべき」

 というのがありました。


 論理的にそれを選んでおけば間違いない、

 という”正解”であり

 誰に対しても正当化(納得)できるものです。

 頭で考えると、どうしてもそれを選ぶことになります。


 でも。

 それらは本音と別物かもしれません。


 結婚相手に対しても、そういう面がありそうです。

 収入、職業、性格、趣味、外見。

 そういった明解な基準があるものだけでは

 どうにも決めにくいのではないかと。


 実際にそれらがバッチリそろった人が現れたとて

 恋に落ちるかというと

 また別なのではないでしょうか。


 大嫌いだった上司が間違えて

 警備のアラームを作動させてしまい

 おおいに動揺している姿が

 あまりにも可愛くて恋に落ち、

 ついには結婚した人が知り合いにいます。

 現在においても円満家庭だそうです。


 ちゃぶ台に並んだ条件など

 インパクトのある何かに、

 いっぺんにひっくり返されてしまうのでしょう。


 理屈で考えた条件というのは

 案外、重要視されない者かも知れません。


 まあ、感覚で”言ってみただけ”の条件というのも

 さらにどうでも良いものですが。


 現在の家に越してくる前。

 今よりまだ若かったので(当然だ)

「家の条件? んー、

 近所に美味しいパン屋があると良いな」

 なんて言っていました。


 ……パンは基本、スーパーで買っています。

 そんな事よりももっと重要なことがたくさんあるだろうに。

 まさに若気の至りです。


 ……つまりは。

 ”自分が心の中で真に求めているもの”というのは、

 それを体験したり、直面しないと気付けないのです。


 その”気付かぬ条件”を実感したのは、

 次に内覧した物件Bでした。


 そこは東京でいうところの山手線、

 大阪の御堂筋線といった”重要路線”に相当する、

 とても利便性の良い駅に、

 徒歩10分程度で出られる物件でした。


 ただし駅まではゆるやかな下り坂で、

 つまりは帰宅時はこれを登り続けることになります。


 そして家ですが。ごく普通の建売ですが、

 半地下になっており、

 見た目にも埋まっているように見えます。


 案の定、半地下の部屋の壁は、

 隠すことなくカビだらけでした。


 他の部屋も、窓はあるのですが

 空気の流れが悪く、

 どこか重い空気をまとっていました。


 ここを人間に例えるなら、

 ”どこか不満げで無口な人”。


 私はそういうタイプが職場にいても

 ”無口は無害”、とほおっておけるタイプなので

 そんなに不快ではないのですが、

 かなりの湿度やカビをまき散らされるなどの

 実害があれば別です。


 もちろん夫もここではない、という結論でした。


 ただ日本の家屋は湿気との戦いだと思われます。

 どんな物件に住んだとしても、

 カビ対策は免れないでしょう。


 それを差し引いても、この物件Bは

 どこか牢屋のような陰湿さを醸し出しているようでした。


 ここでシンプルだと思っていた条件の中で

 意外と”風通し”や”日照”も重要に思っているんだな、

 と自分の心の中を知ることになりました。


 物件選びを始めるまでは、

 家族全員が朝から晩まで、

 学校や仕事で外出しており、

 うちの猫2匹も今どきの猫なのか、

 直射日光に当たるのは良しとしない性格だったので

 日当たりなどはまったく条件に入れていませんでした。


 夜、寝に帰るだけなんだから、と。


 しかし思えば現在の家は、

 通路や空き地などがあるため、

 東西南北の四方が全て隣家と離れています。


 また窓もたくさんついているため、

 明るさと通風には事欠かない、

 むしろ眩しすぎの隙間風吹きすぎだったのです。


 南と西が公道ということもあって、

 季節を問わず日がさんさんと照り付け、

 西日は強すぎてチューリップなどの球根は全て滅しました。


 明け方から差し込む朝日から

 ギリギリまで照らしてくれる夕日まで

 私たち家族はあまりにも

 ”日照”が当たり前になっていたのです。


 現在、当たり前にあるものは、

 条件にいれるのも忘れます。

 だって、”あって当然”だったのですから。


 逆に不動産会社の人が

 ”駅からの歩くのが気にならない人もいる”、

 と言っていました。

 見慣れた風景を歩くのは苦にならないらしいです。


 そんな人がもし、

「駅から15分? 今と変わりないからいいか」

 などと新しい物件を選んだら、

 途中の景色や坂の上下などで

 ”いままでの15分とは違う……”

 という思いをするかもしれません。


 今ある条件は”頭で考えたもの”と、

 ”今の家に対する不満”なのでしょう。


 物件探しも結婚相手探しも

 ”こうであってほしい”という”条件”は

 案外あっさりしているものです。


 しかし”これは絶対に避けたい”という

 ネガティブな項目については

 意外に多くならざるを得ないかもしれません。


 浪費や借金をしていない、浮気しない、

 ギャンブルしない、暴力しない、

 食事の時に咀嚼音を建てない、

 決断をこちらに丸投げしない

 かといってモラハラしない……


「完璧な人間はいない」

 というのはもちろん皆が承知していることですが、

 上記の要素に関しては、

 たったひとつでもあれば

 辞退してしまいたくなるのではないでしょうか。


 実際に物件を見て行くことで、

 ”こういうのは案外良いな”や

 ”これは嫌だ”が増えていくことになります。


 それは良い家を買う上でとても重要なことではありますが

 実はどんどん選択肢を狭めていくことにもなったのでした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ