4 内覧はとても大事
そうして毎日、物件サイトを開くのが日課になりました。
スーモ、アットホーム、ホームズ……
仕事に行く前の朝、お昼休み、就寝前。
自分の条件で検索し、次々に確認していきます。
条件を保存し、”新着物件はメールを送る”にしておけば
毎日朝、昼、夕と送られてくるのですが、
ずっと前からある物件なのに
”新着”として登場することもあり、
エリアにこだわりがなかった私たちは
他のエリアや条件も確認したいと思っていたのです。
そして実は、物件情報を得るのに意外と頼りになる
(ここ良いかも、という物件に出会える)のは
ヤフーや小説投稿サイトなどを閲覧している時に
画面の横や下にしゃしゃり出てくる広告枠でした。
ここには最近検索した内容に関するものが出るため、
例えば”パソコンデスク”を検索したら
当分の間はそればかりが並ぶことになります。
購入後も出てくるので、
内心”2個もいらないんだよ”と思いますが。
”駅名” + ”戸建て”で何回かググるだけで、
あっという間に宣伝欄には
希望エリアの中古物件が並ぶことになります。
(宣伝内容によってはLDKなどの間取りや駅名、
価格まで表示してくれます)
しかしながら、どういうメカニズムなのか
希望の駅だけではなく、
唐突に、かなり離れた場所の物件も出てくるのです。
「わあ! こんな豪邸がこの価格で?!」
などとクリックしようものなら、
飛行機で行くような遠方の地だったりするので要注意です。
とはいえ、豪邸や避暑地の別荘の物件情報は
家探しに疲れた心を現実逃避させるのにうってつけでした。
吹き抜けとスケルトン階段、
タイル張りの中庭、そして室内プール。
でもまあベルサイユ宮殿を観光した時にも思ったのですが
住んでも絶対落ち着かないだろうな、という予感はあります。
そんなこんなで、前回リモートで打ち合わせした不動産屋が
紹介してくれた物件を見に行くことになりました。
今回、初の内覧です。
内覧のポイントはいくつかあります。
持ち物としては、メジャーは必須アイテムでした。
感覚と実測は大きく異なりますので
洗濯機や冷蔵庫を設置する場所の幅を確認しておきました。
引っ越しの際に
「あれ?! 置けない!」
というのは意外とあるそうです。
中古物件の場合はビー玉もあるといいです。
傾斜があることなどを確認できます。
あと手袋があると慣れている人っぽいです。
別に現場で鑑識ごっこをするのではなく、
中古物件の場合は売主さんも同行する場合が多いので
「まだ買ってもいない人の家を素手で触ったりしません」
という気遣いの表れです。
……まあ基本的には不要ですが。
なお、間取り図と実物が異なる場合も少なくありません。
なので物件サイトには必ず、
「図面と異なる場合は現況を優先する」
という免責事項が記載されていますが
何を優先するというのでしょうか。
下駄箱やクローゼットの扉は出来る限り開けましょう。
収納スペースの奥行きと高さを見ます。
一度、大きなクローゼットを開いたら、
上半分は壁で、下しか入れられない物件がありました。
最初から下だけに扉を付けるんじゃ駄目だったんでしょうか。
誰に対する見栄なのでしょう。
ダイニングテーブルなど、家具の設置をイメージしてみます。
狭小住宅のLDKは、たとえ”15畳”と書いてあっても
細長かったりデコボコしていたり、
耐震のためかヘンなところに柱や壁があるので
いざ家具を置くとなると難しい場合もあります。
窓やコンセントの位置を確認する事も重要です。
注文住宅の中古物件の場合、かなり独特な場所にあります。
少なすぎて焦ることもあります。
日当たりや風通し、騒音の有無を調べる事。
また中古物件の場合、匂いも大事です。
排水溝やカビ臭さなどもかぎ取らねばなりません。
今回見に行った物件Aは、東京でいうところの山手線、
大阪の御堂筋線といった”重要路線”ではなく、
そこへつながるラインである”補助路線”の駅でした。
それでも充分に交通利便性は高く、
間取りも4LDKと広めで
こちらの基本的な条件を満たしていました。
ワクワクしながら挑んだ当日。
現地集合しながら気が付いたのは、
車で送ってもらうのではなく、
駅までの道のりは必ず歩いた方が良い、ということでした。
その物件Aは大通りを離れた後、
ちょっと狭い路地に入ったところにありました。
その路地は暗く、道路に自転車や荷物が置かれ、
手入れされていない樹木が道に溢れています。
周辺環境ですでに萎えてしまいそうでしたが
なんとか現地に到着しました。
3軒ほど同じデザインの建売が並んでおり、
その中央が、対象の物件でした。
(何軒か見てきましたが、3軒並んだ物件というのは
真ん中の物件が売り出されている確率が高かったです)
その物件を人物に例えるなら
”大人しそうだけど、どこか卑屈な感じの人”でした。
中古住宅、しかもクリーニングしただけなので
汚れや古さはたいしたものではありませんでしたが
密集した住宅地に縦に長く伸びるその姿は
中に入ってからも圧迫感を感じるほどでした。
価格としては比較的お買い得でしたが
水回り3点(バスユニット、キッチン、トイレ)を壁、床など
リフォームはある程度かけたほうが良さそうでした。
内覧の時に重要なことのひとつに
”自分の反応”を見ることです。
この家をどう感じているか。
具体的な理由の無い第一印象って
案外当たると思っています。
この家に関しては、私も夫も心が動きませんでした。
住宅の密集ぐあいも日照的にも
強い息苦しさを感じていたからだと思われます。
そうして私たちの最初の”お見合い”は不発に終わったのです。




