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【不動産】探しているのに無いじゃない~時間をかけ血眼で探しながら、たくさんの有給とお金を無駄にして学んだ家探し~【実録】  作者: roctan


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30 ここなら……良いかも

 ある日、物件サイトからの新着メールに

 最も希望している駅の物件情報が届きました。


 家族の通勤・通学が15分~30分以内に収まる

 お店も病院も充実した駅です。


 しかもその中古物件は

 4LDKプラス納戸もあり、広さは充分、

 東西南北全てにおいて

 隣としっかり距離があるのです。

(後ろの家が旗竿地で、

 その入り口用通路があるため)


 南側は歩道付きの幅広な公道に面しているため、

 日当たりも通風も抜群。

 接道も7mと充分で、駐車場も駐輪場も確保できます。


 ただ、築年数はけっこう経っており、

 最も根深い問題点は

 駅から徒歩12、3分近くかかる、ということでした。

(ルートの選択や信号のタイミングなどで変わる)


 我が友 AIくんたちは、それに強い難色を示しました。

『徒歩13分なんて将来売りにくいですよ。

 みな”10分以内”の条件で検索するのですから』

『外装も間取りも変えられますが、

 立地だけは動かせませんからね』


 しかしその欠点以外は

 ありあまる魅力に溢れていたので

 彼らの制止?を振り切り

 とりあえず見に行くことにしたのです。


 私たちは内覧 第一号でした。

 物件サイトに掲載してすぐに

 連絡をしたのが私たちだったようです。


 中に入り、私も夫も思わずつぶやきました。

「なんか、うちに似てるね」

 その家は構造や間取り、

 室内の雰囲気などが

 今住んでいる家に似ていたのです。


 今の家も四方を隣家から離れ、

 どの壁にも窓があり、

 そこから日が差し込んでいました。

(たぶんこれは欠点でもあった)


 とても明るいけど静かなのです。


 リビングに併設された和室や

 昔ながらの幅広の階段、

 オシャレではないけど

 家具が配置しやすく動線も無駄なく

 デッドスペースも無い間取り。


 自分の持つ”家”のイメージに近いせいか

 自然と落ち着き、

 今までのような違和感を

 感じることはありませんでした。


 最近の美しい建売とは違い、

 洗練されているとはいいがたいです。


 外観も今までみた中古住宅のような無難さもなく

 鉄骨造のためか無骨な感じはあります。


 しかし窓や収納が多く、

 部屋の仕切りが可動であることや

 家で仕事ができるスペースが作りやすかったことなど

 いろいろポイントが高かったのです。


「見た目無口だけど、話せば接しやすい人」

 そういう雰囲気を醸していました。


 夫も私も結構気に入り、

 帰り道にはすでに、

 ”ここで良いかも”という気持ちになっていました。


 やっと”住んでみたい”と思える物件に出会えたのです。

 いや、住んでみたいというよりも、

 住んでいるところが想像できる物件でした。


 きっと第三者から見たら

 ”……なんで?”と思う物件かもしれません。

 でも”こういうのを住処として

 求めていたんだな”と思いました。


 多少希望より駅から離れても、

 お店も病院もある落ち着いた住宅街で

 周囲と間隔があって日照・通風が良く

 将来的な家族の変化に対応できる間取り。


 ここから通勤することも、

 老後を過ごすことも想像できる家だったのです。


 町が持つ静寂さとお店の利便性、

 家が持つ堅牢さとフレキシブルな面、

 そのバランスが理想的だったのでしょう。


 今まで見てきた物件は、

 そのどちらかに特化しており、

 静寂な町はコンビニすらないため帰宅時に暗く、

 築浅の中古住宅は間取りに対し

 こちらが合わせなくてはなりませんでした。


 今までになく気に入ったこの物件に対し、

 私たちはついにここで決めることにし

 その翌日には購入の意思を伝えました。


 申込書を出すにあたり、

 多大なリフォーム分を考慮し、

 価格交渉をしてみたところ

 あっさりと希望の金額にしてもらえました。


 そうして私たちは申込書を提出し、

 次の週末に契約書を交わすことが決まったのです。


 そして次に仮のローン審査をはじめました。


 以前も別の物件で、

 2つの銀行で仮審査は通してみましたが、

 これば物件ごとにやらなくてはならないので

 新たに申請することになりました。


 並行してリフォームについて見積もりました。

 とにかく古いため、壁も床も直さなくてはなりません。

 水回りも交換です。


 明渡日まで時間との戦いですが、

 最低限の床と壁、水回りなどを済ませておけば、

 気になる部分は住みながらでもできるため、

 不動産会社の人にも大丈夫だろうと言われました。


 私たちはたくさんのリフォーム会社に問い合わせ、

 相見積もりのための下見を予約しました。


 しかし。

 ここまではドンドン進んで行ったのですが。


 リフォーム下見の前々日の晩のこと。


 仲介不動産会社の担当さんからの一本の電話が、

 全てを覆したのです。


「隣人たちから越境を指摘されました。

 ……南面以外、全てです」





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