21 ライバルは一般人だけじゃない
家探しは”早さ”が勝負です。
人気のエリアや条件の良い物件は
公開後すぐに買い手が決まることすらあるのです。
まさにカルタ取りのように、
すぐに手を伸ばし(内覧申し込みし)
買付書を出さなければ、
たくさんのライバルに先を越されてしまいます。
しかし敵は一般の人だけではありません。
中古物件の紹介を依頼した、
とある地元密着型の不動産会社から
「良い物件はねえ……
不動産会社が先に押さえちゃってるんだよ」
と教えてくれたのです。
つまり物件サイトなどで
”中古ですよ~”と市場に出回る前に
勝負はもう決まっているのだと。
不動産会社が売主さんから直接買い取り、
その物件が古ければ建物を撤去して新築物件を建て、
(さらに敷地が広い場合は分割して建てるから儲かる)
まあまあ新しい物件は
適度なリフォームをして売り出すそうなのです。
話を聞いたのは、探し始めてまもなくだったので
”へー、そうなんだ。
まあ、ほとんどの中古は立地が良いからね~”
なんて呑気に思っていたけど。
希望のエリアに新しい物件がなかなか出ない日々が続き
だんだん不安が増してきた頃。
ある日、物件サイトに衝撃的なものを見つけたのです。
”希望の駅近くに新しい物件が出たな、
しかも、完全リフォーム済みじゃん”
そう思いながらいつものように
物件の詳細を確認しました。
駅からの時間、場所、間取り……なんか既視感あるかも。
私、この物件知ってる……?
夫に確認すると、彼はあっさりと告げたのです。
「それ、最初に見た物件Aじゃない?」
もう一度その内容を確認すると、
場所や築年数といった情報が完全に一致するのです。
ただ間取りを一部変更しており
リビング横にあった和室をつぶして
広々なリビング・ダイニングにしていました。
私たちが一番驚いたのは、その価格です。
下見に行った時より、
なんと2000万円も上乗せされていたのです!
私たちは変わった個所を抜き出しながら
リフォーム代金を算出しました。
水回り3点交換、壁と床の張り直し、
そして一部屋潰しても……
いやいや、そうはならんやろ!
確かに戦争の影響で建築資材の価格が上昇していますが
リフォームを個別に単価を調べたら
(うちは中古メインで買おうとしていたので、
リフォーム会社とは常に並走していました)
今回の変更点を合計したって、
1000万円にもならなかったのです。
これには本当にショックを受けました。
アクションホラー映画の続編で、
”ラスボスの正体が前作のヒーロー”
だった時くらい驚きました。
(悪の組織につかまり、
実験のせいで化け物にされていた)
なんでこんな姿に……。
いなくなったと思ったから、
売れたんだと思ってたのに……。
リフォームしてくれるなんて親切じゃん、
なんて思っていましたが、
自分でやった方が選べるだけでなく
予算を抑えることができると思います。
この物件以外にも、
”完全リフォーム済”の物件は多々ありましたが
どこも新築に近い価格で売られていました。
不動産屋が中古物件を買って
自社でリフォームする。
その具体的な例を見せられ、
一般人の買い手より強敵だなあと思いました。
とはいえリフォーム内容については
広々リビングのほうが人気が高いそうなので
需要に合わせているのかもしれません。
さらには”すぐに住み始めることができる”
”リフォームに関するさまざまなやり取りが不要”
といったメリットもあります。
それに以前、不動産会社の方が
”中古物件を内覧した時、わかってはいても
その古さ、汚さに購入意欲が失せる方が多くて……”
とお話されていたので、
リフォームしてから売るのもアリなのかもしれません。
それにしても。
中古物件の購入希望者は、
本業の彼らよりも早く、
物件を抑えなくてはならないのです。
立地がすごく良いものや、
ちょっとのリフォームで化ける物件は
あっという間に消えていきます。
こちらができることとしては、
地元密着型の不動産屋さんや
未公開物件を多く保有する大手などと
しっかりと面談し、希望を詳細に伝えておくことでした。
そうするとたまに、
「これは明後日、スーモに公開予定の物件ですが……」
「売り主から受けたばかりの情報です」
といった物件を紹介してもらうことができました。
(残念ながら条件にあわなかったので辞退しましたが)
なお、メールでの問い合わせや連絡のみでは
まったく情報を得られないどころか、
不動産会社によってはスルー(という名の無視)されます。
仕事しながらの物件探し、
できればメールのやりとりが助かるのですが、
少なくとも電話でお話することが大切です。
休日や仕事の休憩時間、
なるべく電話に出られるようにしていました。
(そうでないと話が進まないので)
一番大事なのが、内覧を申し込むことです。
不動産会社の方と一度でも会うことが
とても大事だと思いました。
なお、不動産会社に直接行くことについてですが
これは何とも言えません。
ほとんどの不動産会社は
「ぜひうちの社内でお打合せを」
と誘ってくるのですが、
行って意味があったことはほとんどありませんでした。
こちらの希望や条件、家族構成や年収など
事細かに記入した後、
あちらから提示されるのは
”うーん、そのエリアじゃないんだけど”
といった微妙な物件ばかりでした。
(その不動産会社が開発したエリアや建売など)
何度か繰り返して思ったのは、
あちらから見て、私たちはただの
”物件を探している人”なので
出来れば自社物件などの
”売りたい物件を買わせるチャンス”
にしているのではなかろうか、ということです。
もちろんこちらの希望を聞き出し
該当エリアから超・大量の物件を
プリントアウトしてきてくださった会社もありました。
そのような会社はメールでやり取りする時も
絶対に”こちらの希望ファースト”でした。
なので、会社へ訪問する最大のメリットは
”不動産会社の、こちらに対するスタンスがわかる”
ということかもしれません。
希望とは程遠い、聞いた事もない駅の、
徒歩25分の分譲住宅地の間取りを前に、
死んだ魚の目でコーヒーを飲み続けることになりますが。




