2 はずせない条件とは
結婚相手を探す際、
結婚相談所や紹介してくれる人から
まずは”どんな人が良い?”と聞かれると思います。
性格、収入、外見、趣味、経済観念、社交性、倫理観などなど。
家探しも同様で、
不動産会社からも根掘り葉掘り聞かれます。
まずは引っ越しの理由から。
そして”家族構成”、”何部屋必要か”、”予算はいくらか”。
このあたりは事実関係を述べるので問題ありません。
その他の条件としては、
”複数路線が使えるなどの交通利便性”。
”住むにも売るにも最強の駅近”。
人気の路線や町などの、”ネームバリュー”。
リビングの広さ、日当たり、駐車場の有無……。
こういったものの中から、
”絶対に譲れないもの”と”あるといいな”、
を分けていくことになります。
(しかし時間が経つにつれ
”あるといいな”の存在感が強くなるのですが)
この中で、我が家にとって最も重要なのは”立地”でした。
かつてオープンハウスのCMで、
保健室の先生を演じる田中みな実さんから
「時代が変わっても、価値が変わらないものって何だ?」
と尋ねられ、長瀬智也さんと清野菜名さんは
「愛だと思います」
と答えるのですが、先生に
「駅近の土地だから!」
とバッサリ否定されました。
私はそれを見て、彼女を教育者の鑑だと思いました。
ファイナンシャルプランナーの観点から見ても、
愛情というものに普遍性を求めるのは
リスクが高すぎるからです。
”駅近”。
それは生活においても多大なメリットを有しています。
遅刻しそうな朝も、具合が悪い帰宅時も効果を発揮し、
さらにはコンビニの誘惑につかまる確率も減るため
私たちの資産と体形を守ってくれるのです。
さらには、その駅がある”町選び”も大切です。
小説家・タレントの阿川佐和子さんは、
「歳を取った者ほど、
病院やスーパーが近い都心の便利な場所に住むべき」
というアドバイスを高齢のご友人から得たそうです。
事実、引退後に山や海へ転居した老夫婦が
通院や買い物の不便さに耐えかねて、
戻らざるを得ない例も数多く耳にしました。
もちろん毎朝、美しい山並みを見ながら飲むコーヒーや
海が見える場所などに住まうのも素敵な生活だとは思います。
しかし残念ながら私たち夫婦は
情緒とかナチュラルには縁遠い、
ガチ理系の現実主義の実利主義でした。
そういう場所は旅行で行くのが一番、と考えており、
さらには虫も苦手であり、
住む場所としての関心は皆無だったため
あくまでも市街地や中心街で探すことに決めていました。
そして何よりも譲れなかったのは”将来売れること”、
つまり売却可能な”資産性”を重要視していました。
別に転がして儲けたい、というのではありません。
そういう面倒そうなのも苦手です。
ただ、私たちの環境は変わります。必ず変わるのです。
夫婦のどっちか大病を患う、死ぬ、別れる。
子どもの進学、就職、結婚、出戻り。
それらの可能性を考えると、
いざという時に売れるのは本当に重要だと考えています。
環境が変わった時だけでなく
住んでみたら不便だった時も
ご近所トラブルがあっても
困ったら”売ればいい”というのは最大の強みです。
さらに現代は、売れない場所に親が残した”負動産”の問題が
日本全国に広がっています。
相続した子どもたちは、誰も住んでいない土地に
固定資産税を払うはめになるのです。
だから常に”将来売れるかどうか”を視野に入れ、
不動産会社にも伝えておきました。
マンションではなく戸建てというのは
前回書いたとおり、猫2匹とピアノが主な理由ですが
マンションの価格が異常な高騰を見せていることを
不動産屋さんから聞いていたのです。
「自分が5,6年前に売ったマンションが今
中古なのに一億越えて売ってるんですよ。
おかしくないですか?」
不動産屋さんにそう尋ねられる事態とは。
本当に可笑しいと思いました。
さらに戸建て購入の必須条件のうちに
「所有権であること」
「再建築可能であること」
を含めていました。
対象物件数は減少しますし、購入価格は格段に上がりますが、
借地権で揉めているさまざまな実例を見ていたためです。
借地権とは、土地は大家さんが所有し
”その上に建物を建てる権利や、建てた家”を買うのです。
ぐっと価格が下がる代わりに、
土地の使用料を大家さんに払い続けること、
売買の時には大家さんの承諾がいることなど
さまざまな制約があります。
使用料は大家さんが値上げする可能性もあるため
(特に相続や売却などで所有者が変わった時に)
予測不可能な変化に見舞われる可能性も有しています。
また再建築不可は、その名の通りです。
道路に必ず2m以上面していないと
建築できないと判断され、
リフォームして住むことになります。
価格としては気絶するほど安いです。
これは民泊などで利用されたり、
外国籍の方が古民家に胸をときめかせて
アレンジして住んだりしているので
需要がないわけではありません。
不動産会社の人いわく、
再建築不可ばかり買い集めている会社もあるとのことなので
”住み倒して安く売る”というのも一つの手かもしれません。
とまあ次々と条件を上げましたが、
最も重要なのは価格です。
私はファイナンシャルプランナーの資格を持っていますが、
学んだ”ライフプランニング”においては、
いわゆる3大必要資金、というのがあります。
教育費、住宅取得費、老後資金です。
このうち教育費と住宅取得費は、
まるで”絶対的な高額の必要経費”のような顔をして並んでいますが
削ろうと思えばいくらでも削れるものです。
しかし老後資金はそうではありません。
年金のみに頼らず、不測の事態に備えるためには
ある程度は”動産(お金)”を残しておかねばなりません。
なので住宅取得費は、絶対に無理なく、
自分の払える金額にする事が重要です。
ローンは基本的に、完済時の年齢が80歳未満まで組めますが
組めるからといって実行するのは狂気の沙汰です。
映画”ジュラシック・パーク”に出てくるマルコム博士の言葉
「"出来るかどうか"ということに夢中になるあまり、
"すべきかどうか"を考えようとはしなかった」
これをを肝に銘じ、
退職金も当てにならない現代、
サラリーマンなら定年までが安心ではないでしょうか。
そんないろいろな条件を整理しながら、
私はもう一つ、望みがありました。
”仮住まいも避けたい”ということです。
今の家の明渡日までに決まらない場合は
どこかにいったん仮住まいすることになります。
そうすると仮住まいの間の家賃がかかるうえ、
引っ越しは2回、各種手続きも2回。
これらはすぐに新居に移ったケースに比べ、
全て無駄な費用と手間になってしまいます。
さらに言えばうちは4人家族だけでなく猫が2匹いるため、
ペット可の3LDK以上の賃貸を探すとなれば
かなり限定されるだけでなく家賃や敷金・礼金も高額になります。
それを絶対に避けるために、
どうにか明渡日までに決めたいと思っていました。
……この頃は。




