1 家探しと婚活は少し似ている
新居を探し続けて、はや数ヶ月。
”家探しと婚活は似ているところがある”、そう思いました。
まず自分の条件とか好みなどを前提に、
紹介してくれる場所へ赴き、
次から次へと対象を検討する。
何よりも……
”あるかどうかわからないものを探す”、
というところが一番似ています。
「家だったらたくさんあるからすぐ決まるでしょ」
「不動産なんて条件さえ合えばいい」
「家から断られることなんてないだから」
もし、そう思う人がいるなら、
それは”一つの正解”に過ぎません。
いつでも、誰にでも通用する万能な答えではないのです。
何故なら、不動産会社の人たちは最初から、
まるでそのような決まりでもあるかのように
口を揃えて、何度も同じことを言いました。
「100点の物件はありません。
60点、70点で良しとしてください」
そう、結婚相手と同じなのです。
人類はたくさんいますね?
そりゃもう、うじゃうじゃいる。
だけどその中から一人を決められるとは限りません。
もちろん決められる人は決められます。
しかし、
”もっと良い人がいるはず”
”この人の、ここがちょっと許せない”
”いい人だけど決め手に欠ける”
なんて思っている人は
当然、試行錯誤を繰り返すことになります。
必死に探したからといって必ずしも
”運命の人”に出会えるわけでも
”最高の家”を見つけるわけでもないのです。
なお、よく討論となる
”家は購入すべきか、賃貸がお得か”といった議論は
”キノコ派かタケノコ派か”くらいどうでも良いことです。
もちろんそれぞれの派閥が
具体的な数字を出して立証するのだろうけど
結局人は、自分が望む結論の数字を選択するでしょう。
購入派は買えるものを買え、
賃貸派は将来的な対策を立てておけ……
それに尽きるのではないでしょうか。
私たち夫婦は”戸建てを買う派”ではありますが
だからといって家に対して、
ものすごいこだわりがあるわけではありません。
まず戸建てというのは、
猫2匹いて娘がピアノも弾くため、
戸建てが良かろう、ということになりました。
おりしもマンション価格がアホみたいに高騰している今
エリアによっては戸建てのほうが全然安い場合も多々あります。
そして住みたい土地は情報収集してなんとなく決めたので、
ものすごい広範囲のエリアから探すことになりました。
さらに条件は極めて平凡かつシンプル。
家族全員が出勤・出社しているので、
ある程度、交通利便性が良い事。
(引っ越したせいで不便になるのは避けたかったので)
あとは3LDK。これもごく普通。
基本的にはそれだけです。
また家の売買について無知だったわけでもありません。
そもそも住宅購入は二回目でしたし、
夫は実家の土地の相続について関わったことがあり
私はファイナンシャルプランナーの資格を持っています。
そのため二人とも、不動産に関わる情報や法律など
それなりの知識を持っていました。
だけど私たちは知らずにいたのです。
知識や経験が、かえって判断の邪魔をすることを。
あたかも結婚を決める時と同じように、
”一途”にも”盲目”にもなれないようでは
なかなか決められない、ということを。
駅にも土地にも家の間取りにも
たいしたこだわりがないが、情報や知識だけはある。
この話は、そんな私たちが、
不動産価格が異常に跳ね上がっていく時期とも重なり
”新居探し”という迷宮を彷徨った記録です。
間違っても新居探しのワクワクした話ではなく、
「すっごく迷ったけど、海が見える白亜の豪邸に落ち着きましたあ~」
「リビングにつけた特注の窓、掃除がたいへーん☆」
「玄関ポーチ、大理石じゃなくてテラコッタも良かったかも(泣」
といった、失敗談と言いつつ
どこかキラめきを隠しきれていない語りでもありません。
失敗し、迷走し、悩み続けながらも
家探しによって自分の価値観を再確認していく過程です。
そういった楽しかったというより苦労した話を
ファイナンシャルプランナーとしての知識を交えつつ
お話していきたいと思っています。
もしご興味がおありでしたら、
お付き合いいただけると幸いです。
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まずは現在の家の売却経緯です。
うちは20年近く前、
子どもたちがまだ幼かったころに購入した中古住宅でした。
だから現在はかなり劣化が進んでおり、
ここ数年は、近隣を訪れるリフォーム会社の営業からモテモテでした。
私たちは今後について、
”子どもが就職したら、上物を建て換えて住もう”
と話し合い、のんびり暮らしていたのですが。
ある日、大手デベロッパーが我が家を訪れ
「この家を売っていただけませんか?」
と売却を持ちかけてきたのです。
さらに買取価格として、
なかなかの好条件を提示してきたのです。
その胡散臭さに対し、売る予定もなかった私たちは
”信じてたまるか”とスルーしていたのですが、
大手デベロッパーが声をかけていたのは
我が家だけでなくこの近隣一帯だったのです。
しだいに隣家の人々がOKの様子を見せ始め
その中でも最も広範囲の土地を有していた家が
とうとう交渉に応じたのをきっかけに
話がどんどん本格化していきました。
この辺り一帯はまたたくまに、
巨大マンションの計画地へと変わっていったのです。
そんな中に”ポツンと一軒家”残されても、
日当たりは悪いだろうし、
そもそもこちらの土地は夫婦ともに地元ではなく
強い思い入れなどは特にありませんでした。
目まぐるしく対応するうちに話はまとまっていき、
こちらも”屋根の一部が落ち、壁紙が剥がれ始める”という
家の限界が見えてきたため、
この話を受け入れることになりました。
この家はもう、リフォーム無しでは数年も持たないだろうし、
中途半端なリフォームするくらいなら
建て替えたほうが良さそうなくらい劣化していました。
それならば、この機に引っ越そうと決断したのです。
そうして騙されていないか、
自治体の法律相談などで
買付書や契約書を確認してもらいながら、
無事に売買契約が終結されました。
売却益は、新居を買うにはまあ十分だろうと思えました。
しかしこの時点で、私たちは深く考えていなかったのです。
”不動産は、高く売れたら、高く買う”、ということを。




